走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

日本の診療看護師へのヒント

2019年07月19日 | 仕事
シンポジウムの午後のセッションの中でも言いましたが、医師が嫌う分野はAPN、特に診療看護師にとって穴場となります。その理由は以前書きました。

精神科系疾患、薬物依存、高齢者ケアが代表的です。カナダでは病院に入院している患者の診察は高額な収入をもたらしますが、在宅訪問や長期療養型施設などは支払額が病院と比べ低い上に交通費も出ない、と嫌がる家庭医は多くいます。なので寝たきりで家から診察に来るのが困難な方の在宅医療、長期療養型施設などで働くナースプラクティショナー(NP)は大勢います。

日本では外科系の病棟で医師が手術中に病棟患者の管理をすると言うのを多く聞きます。それもたしかに1つの手だと思います。以前書いたようにカナダの約1/3のNPが病院で働いています。その人たちは病院で何をしているのでしょうか?

外科系や麻酔科系では術前診察や術後の疼痛管理。これは多いですね。救急室も多い。救急と言っても緊急度の低い患者を取り扱う限られた救急室の一角が多い。外来も多い。心不全外来、慢性呼吸器系疾患外来、糖尿病外来、透析外来。モニター管理的な内容の診察が多くなるとNPに渡されるケースが多くなる。

ガン系では、寛解期に入った人の外来診察。私の学生時代のがんセンターの実習では脳疾患系ガン科外来NPと遺伝性ガンの外来で働くNPにつきました。同級生は卒業以来、前立腺がんの外来で働いています。

こうしてざっとあげても医師があまり好まない地道な作業(特に患者教育の面が強く出る) の分野がNPの仕事となっています。

こうやってあげると認定看護師でもできるのではないか?と思われる方もいると思います。認定はあくまで看護師として許される範囲内の業務で、専門外の疾患が関与している可能性がある診察全体は広い疾患に関する診断知識と技術のあるNPとなります。NPは診察一般と患者教育ができますが、認定は患者教育のみです。私の働くBC州ではそう言うように明確に提示されています。お間違えのないように。

こう言う視点からも認定に特定行為研修を抱き合わせて、診断学をちょこっとかじらせたからってどうなるのよ?と看護協会様に聞いてみたいと思ってしまいます。



超忙しいスケジュールでしたが両親と一泊の温泉宿へ行きました。古代史にも出てくる歴史深いこの湯はコンコンと湧き出る湯の質に極上湯と呼ばれる所以を感じました。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。