走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

無用な励まし

2022年12月27日 | 仕事
年末年始を過ごすスキー場へ向かっているので、普段は聞かないラジオ局を聞いています。

2つ印象に残ったメッセージ。

一つ目は地域の精神科医から。
12月になるとHappyとかJoyとかHeart warming などお互いの挨拶からカードや手紙にまで、そのような言葉が飛び交う。しかし、そう思っている人は全員ではない事を忘れないで欲しい。そう思えない人、そのような言葉が孤独へ追込むこともある、と。相手の反応や状況を確かめて欲しい、と。

これ、とっても大事なメッセージ。

私が初めて勤めていた病棟。スタッフの1人がお姉さんを事故で亡くした。8ヶ月ぐらい?経って彼女はお姉さんのいない初めてのクリスマスを迎える。勤務中辛そうだった。そんなところにきた師長。メリークリスマス!と大きな笑顔でさっきあげたような言葉を連呼する。俯いている彼女に向かって

Are you sick? What’s the matter? (病気なの?何を気にしているの?)

と覗き込むように言った。彼女は吐くように、クリスマスの音楽も灯りもプレゼントも姉を思い出す。辛いんです!!!

普通ここまで来ればハッピームードになれない理由もわかるし、彼女の気持ちも理解できるでしょ。でもこの後の追い込みが

顎をあげてスマイルをしていればお姉さんのことを忘れられるわよ

スタッフ全員唖然とした。この人本当に看護師?状況や感情に疎くない???グリーフとか知らないの????と

彼女は泣いて病棟を出て行った。欠勤が出て師長は大怒り。私は励まそうと思って言ったのに、何よ!!!

励ます、、、、、

これがどんなに危険な行為か知らないのか!と思ったものです。不用意な励まし、押し付け、こうあるべきのような「べき」論はとても危険です。12月、特に気をつけましょう。

もう一つは明日、、、、

冒頭写真:アメリカとの国境に近いHWY3を東へ


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