走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

黙っている人

2020年03月25日 | 仕事

彼女は3度目の妊娠。今回は何故か診察にこない。普通は4週間ごとに定期検診に来ることになっています。血液検査や超音波検査もタイムリーに行っていかなければなりません。再診の日を指定しても忘れたりキャンセルしたり。

産科へケアの移行をする事を決めました。ハイリスクの妊娠になるからです。その事を電話で伝えると(だって診察に来ないのだから)泣き崩れます。出来ない馬鹿な女のように扱わないで!3度目の妊娠よ。何もかも順調だから診察に来なくたっていいでしょ!と。

いやいや、これはレッテルを貼るためではなく、エキストラのサポートをつけるためです、と話す。

確かにそうだ。見方によってはそう取られても仕方ない。しかし検査などが全て遅れ遅れになっているのは事実。母体と赤ちゃんの健康のためには赤旗が上がればそれなりの事をして安全なお産ができるようにしなければならないのだ。

第一子の事で小児科医にも通っている。1年半前に弟を亡くしてから安定していた不安症が再燃。今も服薬中。今回の妊娠は前回と彼女を取り巻く状況が違うのだ。彼女が再診をないがしろにしている理由がわからないでもない。渦中にいると自分が見えなくなってしまうとはこの事か、、、。そう自覚があって口に出してくれる人は簡単なんです。一番難しいのは声に出さない人。その見極めを忙しいプラクティスの中でも見逃さない。言われたことだけに反応して仕事をしていると見逃してしまう恐ろしさがあります。大切な私の仕事の1つです。


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