走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

時間がかかっても重要な事

2020年07月16日 | 仕事
HIV とかエイズとか、ひと昔前は多くの人が恐れていた病気。最近は?あまり見聞きしないし、エイズが発症しない良薬も開発された。服用を続けてウイルスの量を抑えれれば他者に感染する比率は限りなく低い。そして今の仕事を始めてから一度も陽性の方を診察したことはない。

しかしその確実にHIV陽性者にかかわった事のない記録は途絶えた。私の患者の彼がHIV陽性で治療を始めたと。彼女は半パニック状態。どうすれば良いの!!!!と彼女は私に聞く。彼は私の患者ではない。

カナダBC州にはHIV感染可能性のプロトコールが2つ。感染者と感染ルートでの接触後72時間以内の予防的策、とHIV陽性者と感染ルートでの接触の可能性が非常に高い人の予防的策(両方とも予防的に抗ウイルス剤を開始する)。

彼女から丁寧に問診をして、その二つのプロトコールを熟読する。しかし彼女はどちらにも当てはまらない、と判断する。しかしそれらを読んでいて質問が浮かぶし、自分の判断が正しいか確認したい。州の感染センターのオンコールの医師に電話を入れる。私の判断は間違っていなかった。予防的治療の対象にはならず、陽性化する可能性でしばらく定期的に血液検査をするのみ。彼女は彼と別れる意思はなく、これからも同棲を続けると言う。色々なシナリオを想定して、患者教育を行う。時間のかかる作業ですが重要なので時間をかけます。はああああ、、、、今日もぐったりです。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。