走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

高齢者の薬物依存

2020年06月20日 | 仕事
本日のウエヴィナー(学会をオンラインで参加)は高齢者と薬物依存。いやー良かった。ドップリ内容に浸かりました。薬物依存と聞くと覚醒剤とか麻薬と想像される方が多いと思いますが、世界の定義はタバコ、アルコール、大麻、そして覚醒系、鎮静系の薬物となります。

で、カナダの統計ですが、どれぐらいの人がタバコを除く薬物依存なのでしょうか(依存ですから、軽症の方は入りません。詳しくはこちらをどうぞ)。答えは全人口の10%。精神科系の疾患を持っている人口内では21〜44%。高齢者では14〜21%と言われています。高齢者の人口層に高い比率で驚きました。そしてベイビーブーマーが高齢者に加わり、高齢者の薬物依存比率は確実に上がると世界中の研究者が声を大にしています。これについてはいつか詳しく書いてみます。

で、薬物依存医療の研究は今まで若年層や壮年期に強化されており、高齢者は入っていませんでした。

Under study, under funding!

とスピーカーは言っていました。鶏が先か卵が先かの話になりますが、政策により資金が出るのと研究の数や質は関係していて、今まで光が当たっていなかったこの分野は研究がないと言うわけです。

現代医療はエビデンスが最も重要。エビデンスとは良質な研究により効果が明らかである事。と言うことは高齢者の薬物依存医療分野はエビデンスがない、と言う状態で治療するのが難しい、という事。

そして「もうすぐ死んじゃうんだから、放っておけばいいでしょう?!」なんて言う治療者だっているわけです。しかしスピーカーは声を大にしていました。彼女の経験によると高齢者の治療効果の高さ、生活の質の向上、と緩和ケアに似たような話をされていました。

これから注目される分野です。興味のある方は是非!


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2 コメント

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Unknown (missy0806)
2020-06-24 06:10:00
ゆりさん 初コメントありがとうございます。BC州での免許申請中なのですね。スムーズに行きますように!
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Unknown (ゆり)
2020-06-21 02:16:06
こんにちは!!!
何と素晴らしいブログでしょう。全ての記事を読みたいと思ったのですが、12年もブログ書いているのですね…全部は多分読みきれませんが、毎日コツコツ読みます。
今私はバンクーバーで看護師免許の書き換えにトライしてます。BCCNPがオープン次第、テストを受けてLPNかRNになる予定です(おそらくLPN)で行くと思います。
もしLPNなら将来RPNの道も考えているので、ほんとうにブログ記事が興味深いです。
毎日読みにきます。
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