走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

成り行きなのか被害者なのか

2016年10月27日 | 仕事
昨日の彼女。1つだけ考えさせられるコメントがあった。

処方薬の依存になった彼女。彼女はハイリスクだった。しかし彼女の主治医はそれに気づかなかったのか、彼女の不定愁訴攻撃に耐えられなかったのか、彼女の麻薬とベンゾ系の薬はうなぎのぼりに増量されていった。依存症状が強くなり仕事も家も失った。

高容量の処方を指摘され減量を図ったが、容易な事ではなかった。麻薬は依存治療のメサドンに切り替えられ、ベンゾも減量を始めた。

不安症がもともと強く、もちろんそれは悪化した。リカバリーに向かって長い道のりを歩んでいる彼女。減量される度に不安がつきまとう。l

彼女が昨日言っていたコメントは

私はちゃんと受診して、症状を説明し、処方をもらっていた。処方通りに薬を飲んでいた。私は何も悪くない。それなのに基準が変わったかどうかで、急に処方量が多い、減らさなければならない、ベンゾも辞めなければならない。全部そちら側に言い分だ!

機械的痛みの原因がない人に、痛みのレベルの主訴だけで処方をしていくとこうなるのだ。なんたって患者は永遠に痛みゼロの状態にはならないから。痛みゼロを目標に麻薬だけで対処しようとすれば起こり得ることなのだ。詳しくはシリーズのこちらを

彼女の叫び声は医療の被害者となった被害者の叫び声にも聞こえた。


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