走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

高血圧の薬

2015年10月05日 | 仕事
難しいと言われる患者層相手の仕事。なかなか介入による前進を経験することがないのですが、勿論たまにはあることで、そうなると正直大変嬉しく思う。

以前に書いた記事はこちら。その後、定期的に再診に来るようになって3週目。ようやく血圧が目標の域まで下がってきました。本人も耳鳴りの様な拍動がなくなって驚いています。心雑音の音量も下がりました。

しかし長期間にわたり高血圧を治療しなかったダメージが消えるわけではなく、これからも定期的な診察、検査も大事。継続的に内服を続け数週間後に控えた心臓内科医の診察をすっぽかさない様に念を押す。

高血圧の治療に使われる内服薬は大きく分けて4種類のグループに分けられます。どういう発生機序で高血圧になったのかを考え、一番可能性の高いものから治療に取り掛かります。他の慢性期病の有無も考慮に入れます。私の患者層は高い新薬などを買うことができないので、プランでカバーされたものから薬を選ばなければなりません。最新のリサーチ結果にもとづいた、治療計画も求められます。ガイドラインも参考にします。患者さんの人種とかも考慮しなければなりません。

患者にとっては医療者がチョロチョロっと書いてハイっと渡す処方箋。簡単に出すんだーと思われるかもしれません。しかしその背景では色々考えてるんですよ。高血圧の薬って言っても沢山あるのだから、その中からこれ!と決めるのは簡単ではありません。

彼には1種類目を処方し、効果がないので増量しました。それでも下がらないので2種類目を足しました。1種類目が効かなかったのは、もしかしたら腎臓の血管が硬化している可能性があるので、もう一度腎臓の機能検査に行ってもらわなければなりません。リサーチ的に1種類目の薬の有効性があるので、検査結果が出るまで続けます。心臓肥大があり、心機能の低下が認められれば、心不全予防も踏まえた心機能を最大限にするべく治療を足していかなければなりません。患者教育もしていかなければなりません。

看護師をしていた時には考えなかった色んなことを考慮しなければならない。それだけにチョットでも上手く行った時の喜びはひときわです。



秋晴れの雲ひとつない空。しかし風邪で未だにベッドでゴロゴロしています。二階のバルコニーからの空。

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