もっと沢山

薬物依存があったジル。最後に使用したのは昨年の9月。幻覚幻聴を伴う双極性障害もあるジル。最後に入院したのは6年前。症状は落ち着き、ホームレスから脱出。ボランティアを始め社会復帰を喜んでいた。徐々にボランティアの日を増やし、先月からは週に1日働くようになった。

そして先週診察に来る。仕事とボランティアが忙しくてストレスがたまっている。眠れない。睡眠薬を増やして欲しいと懇願するジル。ベンゾジアゼピン系の薬にも依存性がある彼女。私が診るようになってから、量を減らしていった。ここで増加するわけにはいかない。そもそも増やした仕事でストレスが溜まるのなら、薬で対処するよりもストレス因子を減らすべきだ。

しかしジルは納得しない。以前の医師に連絡するべきだ！彼はもっと沢山処方してくれていた。私はベンゾが必要なの！！！すでにありとあらゆる精神系の薬を服用しているジル。私は精神科医への紹介を勧めた。断固として断るジル。
次の日他の医師から睡眠薬を処方してもらったようだった。

ジルの姉から電話が入る。ジルの様子がおかしい。寝ていないからだ。頼むから睡眠薬を処方してほしいと。ジルに電話をすると先週と同じようにベンゾをくれと言う。双極性障害が悪化しているのか？しかし症状はしっくりこない。幻覚幻聴もない。薬物使用はしていないとはっきり言う。

サポートの医師と相談して折り返し電話をすると、
私は死ぬの。天国へ行くわ。あー神よ！と早口で繰り返していて、全く私の問いかけに返答しないそしてガチャンと電話が切れる。

続く