私の患者層の方々は会話が苦手な人が多い。苦手というより恐怖に近い。怖いから早口になるし、相手の反応なんて見ない。機関銃のように言葉を発しても上手く伝わらず、それが苛立ちに繋がり声をあげたりしてしまう。
そんな人を多く患者として接しているからか、これが私の特技なのか、私の診察を受ける患者の満足度は高い。初めて真剣に聞いてもらえた。思いが伝わった。わかってもらえた、と。
きっと聞き上手なんでしょ?と言われる。しかしそうとは思わない。
私はプライマリーケアをしているので、患者は症状があり、それを治して欲しいから診察に来ている。だから鑑別診断に行き着く様にポイントを抑えた問診がとても重要。その流れが明確だから、それに関わる情報集めが上手い、といった方が正確だと思う。横道にそれる患者は、逸れだした時点で話を止めて軌道修正をする。答えが長くなりすぎて、何を言っているかわからなくなる様な返事をする人にはハイかイイエで答えれる質問に切り変える。ハイかイイエ以外は言わないように、とも言う。
満足度が高い理由は、症状を明確化してもらえた事で治療を受けることができ、症状がなくなるから。もちろん診断にたどり着くにはただの症状だけではなく、社会的な要因だって入っている時もあります。つまり病態生理だけに終わらず、全人的な要因が取り込まれている。悪い言い方をすれば、目的意識が高い会話(問診)が得意なのです。
優しいとか傾聴とかとはかけ離れた、そんな技術でプライマリーケアで難しい患者を相手に信頼を得ています。いろんな形があって良いと思います。