走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

全体像が見えなくる時

2019年02月09日 | 仕事
慢性膵炎がある彼。人格障害もあります。そんな彼が久し振りに来ました。予約を入れてきたのは2時を過ぎた頃。第1印象はいつもより穏やかな感じ。

学生さんが診察をしました。不定愁訴がある彼なので引きずりこまれないようにと学生さんに伝えておきました。

で、問診、診察と終えた学生に鑑別診断とプランは?と聞くとはっきりしません。しかし検査項目は上がってきます。で、その検査をする理由を尋ねると急性膵炎か鑑別する為にと言います。

急性膵炎がある人が2時間もかけて隣町からバスに乗ってくる?
禁食にして点滴を始めないといけないような状態だった?
主訴以外に急性膵炎が疑われる初見や症状は?

で、足りなかった事の問診を私が足しました。

彼は24時間介護がある施設に住んでいるのですが、今日そのスタッフの1人と折り合いがつかず、口論になり警察まで呼ぶ騒ぎになったそうです。来週マネージャーを交えて話し合いの機会があると。私に会いたくなって、具合が悪くないと診察してもらえないからと腹痛や薬の増量を主訴に来たのです。話を聞いてみてもらいたかったんだ、と。

学生さん完全におったまげ状態です。

患者全体を一歩下がったところでみて得る第1印象って、この仕事で非常に大切です。主訴に引きずり込まれて全体像を見失う事はありますから。特に学生さんは緊張しているから視野が狭くなってこういう事は往々として起こるんだけどね!


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