走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

鵜呑みにすると、、、

2018年03月15日 | 仕事
自分の患者が病院へ入院すると入院中のコンサルトの記録が送られてくる。救急医や内科医が書いてるわけだが、結構いい加減な事が書いてあるなーと思う事がある。

自分も同じ立場だからよく分かる。患者が自分の病状をしっかり説明できる人だったらどんなに楽だろうと。しかし、そう言う人はあまり多くない。だから患者が言っている事が本当かどうか見極める力と患者から情報を得られない場合、どこから正確な情報を得られるのか探偵的な能力も必要になるのだ。

例えば自分は喘息持ちと言う人がいます。しかし病歴を取ると喘息より慢性閉塞性疾患(COPD)が疑われます。過去の呼吸機能検査結果を取り寄せるとそれが確証されます。他には自分はCOPDがあると言いますが一度も呼吸機能検査を受けた経験がありません。「可能性がある」と「診断された」の間には大きな違いがあります。検査をしてみるとCOPDでない人もいます。

腎不全でも急性だったのか慢性なのかでも異なります(もちろん急性腎不全を罹患すると慢性へ移行する確率は高くなるけれど)。

で、今週入院した彼は長年の薬物使用による心不全で心肥大。心筋梗塞を起こした記録はありません。不整脈の病歴もありません。

しかしこの救急医、EFが低いから心不全で心筋梗塞の既往あり、抗血栓剤を服用しているから不整脈の既往ありと書いています。この患者は左心室に大きな血栓があるから抗血栓剤を服用しているの!なんてこったい。

ホスピスで働いていた時、肝癌で入院していた人がいました。あまりに病状が安定していたので病歴や過去の検査を読み直すと、最終的な画像診断も細胞診断もありませんでした。念のためと画像診断をとるとそこに癌はありませんでした。何も治療したくないと治療を拒否した方だった為か最終的な診断なしにホスピスまでたどり着いたケースでした。

人の言うことを鵜呑みにするとこんな事が起こるのです。


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