走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

正当化

2019年03月10日 | 仕事
この彼女の診察はとても興味深く濃いものでした。

彼女は今も週一のペースでカウンセラーに会っていると言います。淡々とどんなことをしても私の悲しさは変わらない。誰も何も出来ない。お酒を飲むと一時でもリラックスする事が出来る。その効果は永遠でなくても、酒量は増えてもそれは構わない。肝不全があるから、酒を飲む事は肝不全を悪化させるとも分かっている、、、と語る。

麻薬依存の時の苦しみとは状況も心情も全く違う。後悔はない。自殺企図もない。ただ、やりたい事をして息子の元へ行けたらそれで良いと思う、とも。

アルコールに依存しているのは確か。しかしその動機を完全に正当化している。私はどうしたら良いのだろう?

そのままで良いのよ。今まで通り、とさえ言う。美加にお酒の事を言わなかったのは、言えば貴方がそれを問題にするから。医療的には問題でも私にとっては問題じゃないのよ、と。ハッとさせられる言葉だった。

疾病により健康が害され苦しむから問題であり、本人が苦痛でないと言うのであればそれは問題ではない、、、、

答えはどこにあるのだろう。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。