走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

カナダBC州のNPの歴史

2018年08月14日 | 仕事
BC州NPの歴史の裏話。

BC州の大学院で教えているのは赤ちゃんから老人まで診る事ができるファミリーNPのみ。そうなったのはカナダの他の州やアメリカを視察した結果。例えばアメリカでは
ファミリー
老人
精神
ウイメンズ
小児
などなどの専門化されたNPのコースが存在するし、 資格試験もある。

専門化していればそれぞれの質の管理をしなければならず、管理する側は仕事が増える。そして専門化は職場を限ってしまう。ウイメンズをするけど子供は診れないとか。そして病棟の急性期から地域でプライマリーをするためにはもう一度大学院に入り直して他の専門領域を受講し、資格試験を受けなければならない。実際1つ2つと専門領域を持つNPはアメリカでは珍しくないのだ。それを良いこととするのか、それともNPの活動の妨げになるのか?BC州は後者を選んだのだ。だからあえて専門化を避け、全分野を診る事ができるファミリー1本に絞ったのだ。

しかしファミリー1本に絞ってしまうと他州やアメリカで教育を受けたファミリー以外のNPが来れなくなる。そこで学部では教えないけど、資格試験として設けたのが小児と成人のNP。ファミリー以外の専門はこの2つの振り分けられるのだ。
小児NPは小児病院系で働く事が多いし、成人は急性期の成人病棟や地域なら老人や緩和に絞ったケアをしている。

と言う事で、BC州の免許管理は3つだけで収まったのだ。

オンタリオ州のNP友達は、急性期NPの資格を持って病院で働いています。訳あってBCへ引っ越そうとした時、成人のNPの試験を受けなければなりませんでした。しかし試験回数は1年に1度。就職先もかなり限られる。ファミリーを受けるには?と聞くとファミリーを取り直してください、と言われたそうだ。オンタリオ州では他の専門領域を持っているNPに1年でファミリーが取得できるコースがあるが、BC州にはなし。という事で2年間学生に戻らなければならなかったのだ。

因みにファミリーは周産期を含む全年齢が診れるので、プライマリーに限らず、小児で働く人もいれば老人や精神で働く人も。急性期の病棟もあり。そうファミリーはマルチプレイヤーなのだ。だから、それ一本に絞ったBC州を凄いと思う。



広島公園、平和の鐘の横の池に咲く睡蓮の花

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