走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

多様性の共生

2021年05月30日 | 仕事
カナダにはとても暗い歴史があります。白人が移民としてやってきて、この広大な土地に国を作りました。先住民族として住んでいたインディアンたちにキリスト教を教え、教育もしなければならないと子供達を親元から引き離し寄宿舎へ住まわせ、先住民族の言葉の使用や風習の継続を禁止しました。自分の意思ではなく白人が決めた政策としてこれは長年行われました。

言語や文化を失った民族は散り散りに。現首相は数年前この事について先住民族へ正式に謝罪をしました。寄宿舎や学校では教師や寮夫の立場の大人が子供たちを身体的と性的虐待していた事は認めましたが先住民族が言っていたジェノサイド(大虐殺)と言う言葉は避けていました。

今週、BC州のカムループスと言う市にある、先住民族の学校地から215体の子供の遺体が埋められている事が発表されました。小さいもので3歳ぐらいだそうです。この学校の運営は1890-1969年の間で運営されていました。この子供たちは何故死亡して、何故ここに埋められたのでしょうか?親は連絡を受けていたのでしょうか?

首相はこのニュースを受けて

“a painful reminder of that dark and shameful chapter of our country’s history.”
“I am thinking about everyone affected by this distressing news. We are here for you,”

とSNSで述べています。一つの学校でこの遺体の数です。カナダ全土で同じような学校が何校あったのか?それを考えるとジェノサイドは正しい言葉だったと、心に重く沈みます。

私もこの政策でPTSDになった方を多く診察しています。どれだけ恐ろしい体験だったか、そして何年経っても心や体に影響を与えているのか間近に感じます。カナダ政府は二度と同じ間違いを繰り返さないように人権教育に力を入れています。その成果は自分の子供と話していて、知る事ができます。しかし先住民族に対する差別的な対応はまだまだ社会に根強く残っています。特に医療システムの中に。昨年秋のケースはこちらです

昨日バンクーバーアートギャラリー前に215足の子供靴が並べられました。ニュースに対する抗議です。

多様性と共生できる社会作りの重要性を改めて思いました。


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