走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

エキスパートと高度実践看護師

2020年07月23日 | 仕事
看護師のスペシャリスト、エキスパート、高度実践看護師も日本でごっちゃになっている言葉だと私は思っています。以下私の見解を書きますね。

以前にも書きましたが私が働くカナダでは専門分野を極めた看護師にCertified Nurse と言う称号を与えます。私はこれを日本語で訳すなら認定看護師と言います。これを持っている人はその分野の事を熟知しているのでエキスパートと言って良いでしょう。しかしこれは専門分野の看護のエキスパート。医師ではありません。スペシャリスト看護師と言っても良いかもしれませんが医師と間違えられる可能性が高いし、専門看護師の英訳(Certified Nurse Specialist) にもスペシャリストが含まれているのでで避けた方が良いと思います。

で、日本には専門看護師がありますよね。カナダではClinical Nurse Specialist (CNS)と略します。CNSの多くはCertified Nurseの背景を持ち大学院へ行きCNSの称号をもらいます。

で、よく日本で聞くのが認定も専門も特定行為研修終了看護師も診療看護師もエキスパートやスペシャリストと呼ぶ事です。確かにそうかもしれません。しかしブログで何度も書いているように海外で高度実践看護師がAdvanced Practice Nurse (APN)と呼ばれる所以はその専門分野を極めたからではなくて、「違う次元」の看護の視野、思考力、開発力、リーダーシップを修士課程で極めたからです。ここには大きな違いがあります。だから以前も書いたようにここを一括りにしてエキスパートだ、スペシャリストだ、APNと呼ぶのはAPN教育に対する冒涜だと思います。

逆に言えば修士を持っていない方がどんなに自己学習しても修士修了者とは同じにならない、と言いたい。その分野を極めるのは悪いことではありません。しかし修士課程では自己学習ではできない違う高度なものですから。もし認定の方で違う次元の看護を修得したい方は修士課程への進学を勧めます。それこそカナダで言うCertified NurseからCNSへのキャリアチェンジです。

私はOO看護師のどれが凄いとか上だとかそんな事を言っているのではないのです。同じフルーツでもリンゴとバナナとオレンジと苺が違うように同じ看護師でもOO看護師は違うと言っているだけです。OO看護師はみなエキスパートでスペシャリストと言うのなら名称をつけることさえ意味がなくなり、お金と時間をかけて行く修士にも意味がなくなります。

さて、これらは全て私が教育を受け働いているカナダを基準に考えています。日本の大学院教育もそうなって欲しいとここのブログで何度も書いています。では日本が好きなように好き勝手に看護師を呼べば良いではないか?と思われるかもしれません。いえいえ、はっきりしていない事が問題のですよ。はっきりしていないのはそれぞれの教育が系統化されていない現れであり、リーダーシップが欠損してレギュレーションがない現れなのです。それを是正していくためにもそれぞれが意識を高くしてOO看護師の違いを理解していかなければならないのです。これが世界の看護と並ぶ一歩で、看護の水準を上げる事にも繋がります。言葉は行動や考え認識に影響を与えます。たかが言葉されど言葉。今日からあなたも日本の看護界を変えていく事が出来ます。使う言葉に細心の注意を払いましょう。

ここにあげている図を頭に焼き付けてくださいませ。


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