走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

選ぶ権利

2018年01月17日 | 仕事
久しぶりに受診に来た彼女は妊娠していると思う、と言う。生理は不順で最後の生理がいつだったかも覚えていない。多分9月か10月か、、、、。

診察すると妊娠14から19週あたりの憶測が。胎児の心音も確認できた。尿検査も陽性。

どうしたいの?産むか産まないのか考えた?

産んでも良いのですか? 私、薬物依存があってずっと使っているし、産むって選択もありですか?

もちろん選択はあり。薬物依存者だからと産む権利を奪ったりしない。障害を持った子供が生まれる可能性は?ゼロではない。しかし必ず障害があるとは言い切れない。

彼女の質問に次々と答え、胎児の発育状況と出産予定日を確認するために至急エコーを受けるように指示した。遅くとも2週間以内に、どうするかを決めて再診するようにと伝えた。

学生は言う。こんな大事なことを2週間で決めなければならないのですか?カウンセリングをしてくれる人はいないですか?と患者が帰った後に私に言う。

私だって、もっと時間を割いて彼女の気持ちをサポートしたい。しかし診察は詰まっていてできる状態ではなかった。それにこんなギリギリまで何もしなかったのは彼女。時間をあげたくてもそれは残っていないのだ。23週を越えれば中絶は彼女の選択肢から消えてしまう。

妊娠を継続し、母親になる。
妊娠を継続し、出産後、子供を養子に出す。
妊娠を中断させる。
この3つからの選択を彼女は今決めなければならない。

薬物依存については、その決断の後に、、、、



先日のスキー旅行から。お気に入りのコース。山頂で風が強く、雪が積もるよりも飛んでいってしまうためまだまだ緑が出ているところが多い。

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