走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

自分で蒔いた種

2015年10月31日 | 仕事
日本はまだまだ行楽の秋かもしれませんが、カナダ西部は冬です!雨ザーザーの曇り空。週末はずっと雨。風も強く、また停電になるかも。

そして冬を感じるのは仕事が忙しくなること。忙しさが増すと、あー冬だな、と感じる。このまま年末まで、きっとクレイジーな毎日のことでしょう。

で、この彼はまだ治療施設へ行けません。必ず必要な結核検査が3週間待ちで、自費で治療費が払えないので政府のお金を動かすにも時間がかかり、、、しかし、きっと来週には行けるでしょう。

そして今日は毎月の麻薬の処方日。いつも通りの再診だったが、ヘロインの使用量を聞くと3倍に膨れ上がっている。

んんん~これでは痛み止め用の麻薬の処方に意味なし。と、言うことであっさり中止へ。

途端に泣き出す彼。ヘロインを買うお金はもうないんだ。

遅い、遅いよ。もう遅すぎます。医療者側として、この状況は処方の意味はなくなり、治療施設で退薬としっかり向き合ってくださいと言うことしかできない。

じゃあメサドンを出してくれ!

って、あなた過去に何度も話したじゃない。難色を示して断ったのはあなたでしょう。メサドンクリニックは今日の午後も開いています。どうぞ受診してください。


医療者は先回りして最悪を避けようとする、しかし私の患者さんたちは目の前にドーンと現実が現れるまで聞こうとしないし、わかろうともしない。で、現実が現れた時にパニックになる。

泣いても、喚いも、脅しても、結果は変わりません。
あああ、後味が悪いな。





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