走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

一筋の光

2015年10月30日 | 仕事
どうしていいかわからずお手上げだった。少し光が射したように思えた。やっぱりチームが一番だ。

彼は非常に困った奴だ。警察でも病院でもシェルターでも知る人ぞ知る暴れ者。薬物依存もあるホームレスだ。何故か私に対する態度は良くこの一年私の患者でいる。

その彼が今月息切れで入院した。心臓の中に大きな血栓があり、心臓機能は正常人の半分以下だった。原因はわからず心不全薬と抗血栓剤で退院。

退院後、姿を眩まし2週間。そして頻回に受診するようになった。息切れの症状が再発したからだ。当然でしょう。内服もパッチもやめてしまえば息苦しくなりますよ。忘れっぽく、血液検査も行かないし、、、

ホームレスでなければ色々なサービスを受けることができる。定期的に薬が飲めるように介助ももらえる。しかし彼の悪態は続きシェルターから追い出された。辛抱強いホームレスアウトリーチのデニーさえもお手上げだった。彼の家探しのアシストはできないと。

このままでは野垂れ死にを待つばかりなのか、、と思っていた。

今日の診察には元彼女とコンカレントディスオーダーのセラピストが付いてきた。長い話し合いの上、薬物依存の治療施設へ行くことが先決だと。安定すれば、彼の悪態も変わるかもしれない、と言う案が上がってきた。

乗り気でなかった彼も考えてみると言うことになった。

知らないところに行くのは嫌だと子供のように泣き出した彼だったが、私たちが時折訪問すると伝えると笑顔になった。

長い、長いホームレスの歴史。ホームレスの中でも一匹狼の彼。変わるだろうか、、、。


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