走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

分業業務

2017年05月29日 | 仕事
昨日の続き。タスクシェアとは業務分業。

私がカナダで正看護師として働き出した16年前に驚いたこの業務分業について書きます。

日本では医師がしていたことが他の部門で行われていること

1) 画像診断の解読: 放射線科がリポートにする
2) 画像が必要な医療技術 (腹腔/胸腔穿刺/ドレーン留置、ポータキャスやPICCラインなど中心静脈ルートの設置など): 放射線科
3)気管挿管、人口呼吸器の設定/調整: 呼吸療法士
4) 栄養管理/計画 : 栄養士

日本では看護師がしていた事が他の部門で行われていること
1) 採血:検査科
2) 患者搬送 院内 :ポーターと呼ばれる搬送をする人
3) 薬剤指導: 薬剤科
4) 呼吸指導、気管切開患者のケア (カニューレの交換、ガーゼの交換):呼吸療法士
5) リハビリ: 理学療法士
6) 退院に向けて/在宅の安全性: 作業療法士
7) 掃除 (私が日本にいた頃はこれも看護師の仕事だった): 清掃の方々

その他、静脈注射はそれ専門の看護師が来るので殆どの看護師が静脈注射留置針の入れ方を知らない。

薬剤師は抗生物質や薬物のレビューもして医師に意見を入れてくれる。例えば薬物濃度が低いので増量しないといけないとか、耐性が出ていたとか、相互作用のことなど。

栄養管理士も経鼻栄養患者の全身状態の観察、検査結果などで流動食や中心静脈栄養を決めて医師に意見を入れてくれます。日本でも栄養士はいましたが比べ物にならない高い知識と観察能力で驚きました。

もちろん、多種職が豊かではない田舎の病院や施設で働く場合、医師も看護師も自分でしなければならないけど、その逆で充実した施設で働く医師はエコーも自分で使わない。

呼吸療法士はホント頼れる方々で、コードブルー(心肺停止) になりそうな変化が出てきて、医師を呼ぶほどではないけど、、、ていう場合は、呼吸療法士を呼ぶと、コードブルーを避けることができるほど、優れた観察、知識の持ち主。

清拭や食事介助は?科や場所によっては看護助手がしてくれることもあります。看護師と患者の比率や重症度により変わります。例えば1:1 から1:6までなら看護師が全てします。しかし同じ比率でも欠員が出て看護助手で補われれば助手の仕事になります。老人介護施設など1:45-90であれば、看護師は一日中投薬に勤しみ、ナースコールも清拭も食事介助も助手の仕事になります。

糖尿病や透析、心臓病の専門の看護師がいて、その教育もそこでしてもらえます。

あと、スタンダード オーダーの多さです。これは一般的な指示が決められているもので、いちいち医師に指示を仰がなくても看護師がそのオーダーに沿って実行できるもの。

例えば血糖値によるインスリンの量の設定、抗凝固剤の調整など。もちろん変更時には看護師二人組でその指示を読み返し、間違えがないように確認した上で変更と慎重に行います。

その他にcertified practice を持っている看護師もいます。この人たちは限られた内容と場所で医師の指示なしに検査を出したり診断したり抗生物質を処方することができます。カナダの土地の広さは日本の26倍。そこに日本の人口の1/5 が住んでいる。リモートと呼ばれる陸の孤島的な街が沢山あるお国柄。医師はいないが看護師数人のクリニックも珍しくない。そう言う場合のために作られたcertified practice なのだ。4つしかなく、性病、避妊、RN First call, Remote Nursing。どれも大学でコースを受け、資格を保有する。アルゴリズム(はい、いいえで進む思考課程)が使えるような診断のみで、それがNPとの違い。

私はこのCertified Practice Nurseがどうも日本で言う特定看護師と重なってならない。
特に国家資格としての位置付けがないことや、何ができるか制約があるところなどだ。間違っていたらご指導を待っています。



金曜の夜はこの船でサンセットクルーズへ行ってきました。旦那の仕事関係のパーティーで夫婦同伴。200人ぐらいの参加者だったかな?

ところで分業業務?それとも業務分業?ああ、日本語が怪しい。



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