走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

毛じらみとレギュレーション

2024年02月18日 | 仕事

外回りの診察を終えて帰り支度をしている時にドアを叩く音。


シェルターのスタッフがもう1人患者を診てほしいと言う。理由を聞くと髭を剃ってほしいから。はああああ?それは私の仕事ではありません、と言うと


毛じらみが髭や髪に出ているからメディカルな理由だ、と言います。

毛じらみの治療は髪や髭を剃ることではなく、治療薬で洗うこと。剃る必要はない。

量が多くて剃った方が早いと言います。

そうだとしても私の仕事でないですから、と逃げ切った。


とても不満そうな顔。でもそう言うものなので髭を剃るぐらいなら、、、。とはならないのです。何故だかご存知ですか?


Highly regulated occupation 


だからです。免許にはどの業務を何の目的で行うが決められているし、私の働く組織では器具の選択も認められたものしか使えない。認められていない器具を利用して私が怪我をしたり、私が患者を怪我させた場合、責任の所在はどこにある?保険は効くのか?訴訟になった時弁護士は?となるのだ。外回り中であってもそれは同じ。現に私は全ての道具を自分で持ち運んでいる。もちろん髭剃り用の鋏や剃刀などは入っていない。


私は医療者として治療薬の使用は勧めるけど、剃ることは勧めない。剃るべきだと言っているのは患者でもなくシェルターのスタッフ。ここにも私が関わらなければならない理由はないのだ。


レギュレーションというものの存在理由は責任の所在を明確にし、職業人を守り、公民を守るため。ちょっとぐらい良いじゃない!?の世界ではないのだ。


冒頭写真: あと数時間で娘に会える!スキー場リゾートへの道を進行中〜



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