外回りの診察を終えて帰り支度をしている時にドアを叩く音。
シェルターのスタッフがもう1人患者を診てほしいと言う。理由を聞くと髭を剃ってほしいから。はああああ?それは私の仕事ではありません、と言うと
毛じらみが髭や髪に出ているからメディカルな理由だ、と言います。
毛じらみの治療は髪や髭を剃ることではなく、治療薬で洗うこと。剃る必要はない。
量が多くて剃った方が早いと言います。
そうだとしても私の仕事でないですから、と逃げ切った。
とても不満そうな顔。でもそう言うものなので髭を剃るぐらいなら、、、。とはならないのです。何故だかご存知ですか?
Highly regulated occupation
だからです。免許にはどの業務を何の目的で行うが決められているし、私の働く組織では器具の選択も認められたものしか使えない。認められていない器具を利用して私が怪我をしたり、私が患者を怪我させた場合、責任の所在はどこにある?保険は効くのか?訴訟になった時弁護士は?となるのだ。外回り中であってもそれは同じ。現に私は全ての道具を自分で持ち運んでいる。もちろん髭剃り用の鋏や剃刀などは入っていない。
私は医療者として治療薬の使用は勧めるけど、剃ることは勧めない。剃るべきだと言っているのは患者でもなくシェルターのスタッフ。ここにも私が関わらなければならない理由はないのだ。
レギュレーションというものの存在理由は責任の所在を明確にし、職業人を守り、公民を守るため。ちょっとぐらい良いじゃない!?の世界ではないのだ。
冒頭写真: あと数時間で娘に会える!スキー場リゾートへの道を進行中〜