走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

餅は餅屋で

2020年04月08日 | 仕事

今回のコロナ新型ウイルスのパンデミックはOOがダメとか良かった、と一つに絞れない、複数のファクターが重なりあい、最悪の事態か、それなりにコントロールできるか、道は別れているように思う。

例えばカナダの中でケベック州は爆発的な勢いを見せている。その1つの理由と言われているのが、唯一春休みが他州に比べて2週間先行していた。
春休みは多くの人が長期の旅行へ出かける。観光地は人で賑わう。これで世界中から感染した人が戻ってきて、無症状の人との密接感染で市中感染が始まった、と言われている。

アメリカとカナダの違いに、カナダは政治家と公衆衛生医師の両方が記者会見に参加して、医療的な事は医師が話すように徹底している、とも言われている。政治家は国や地域のリーダーとして発言をしなければならないがパンデミックの専門家ではない。餅は餅屋に任せる対応が的確な対策を生んだ、とも言われている。

どの検査をいつ行うか、賛否両論あるが、カナダの中でもBC州は手綱をしっかり握っている感がある。BC州が踏切って得策になったと、私が思う事。

感染者が増えだした頃、検査をしても検査結果が戻ってくるのに4〜5日かかるほど検体の採取数が検査機器の可能数を上まっていた。普通は検査能力をあげる方に力を入れるが、BC州は逆に出た。検体数を落とす事で検査結果を出すスピードを上げた。検査対象から帰国者を外し、入院患者か入院しそうなほど症状が重篤化している人と医療者に絞ったのだ。反対や不安な声は多かった。しかしこれにより24時間以内に結果を出すことが可能になり、迅速な対応ができるようになった。

医療者の確保。退職者の復帰の呼びかけも早かった。医療職の自宅隔離のガイドを変更し、陽性者でも症状が緩和すれば、陰性化を待たずに復帰できるようにした。海外旅行後の自宅隔離を医療者に限り変えた。

施設での感染。パートの仕事を掛け持ちするのは当たり前のカナダ。感染していた医療者が2つの施設で働いていて、2つの施設でクラスター感染を起こしてしまった。その事実発生の数日後に医療者に掛け持ち施設の就業を禁止し、医療者を拾い出し、時間調整などをして1つの施設で働くように(生活がかかっていますから、禁止するだけではダメです)州全体で調整した(医師とNPはその対象外)。この速さには脱帽。

面会規制や医療者のPPEについては以前書いたので、そちらより。兎にかくクラスター感染の芽を摘む政策をバンバン投入かつ州民への声がけ。

カナダの顔になりつつある3人の女性公衆衛生医師たち (カナダ政府、BC州とアルバータ州)の人気が出て似顔絵Tシャツが売れる程!




女性の活躍により州民の協力が得られているのでは?なんて話が出るほど。その中でもBC州のDr ボニー ヘンリー。落ち着いた、優しい声のトーンで誰にもわかる説明を毎日テレビで政府と共に記者会見に臨む姿は、安心と州民としての誇りをも生み出していると思います。



後ろの男性がBC州の厚労相。彼の口調もとても心地よいトーン。2人とも州民への思いが口調に滲み出ているから好感を出すのよ。

一辺倒な政策では乗り切れないパンデミック。日本もそうであって欲しいと思っています。


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