走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

ついにお別れ

2015年06月17日 | 仕事
ダグは前回の診察を受けてからすぐ血液検査へ行った。前回の記事はこちら。そしてCTの予約も入れることができた。しかし連絡網を貼っても(ホームレスアウトリーチワーカーと警察に知らせ、彼を見かけたら私の診療所でメッセージを受け取る)見つからない彼。

ホームレスのケースワーカーをつけることでもっとサポートができるように手配をしたのにそれにも来なかった彼。CTをキャンセルしようとした時彼は現れた。CTを済ませ私のところに診察も来た。彼はまた痩せていた。そしてダグは言う。

今月末にこの街から離れて島へ行くことにした。この街で3年頑張ったが良いことは何もない。野垂れ死でも野宿でも良いから島へ行く。

私はひどいショックを受けた。体重減少の理由もわからず、舌癌、大腸癌の疑いもはれておらず、どこからか出血している可能性は非常に高く、肝機能も下り坂、肝肥大も認められる今、なぜ島へ渡らなければならないのか、、、、。

街が悪いという。ホームレス生活が長くストレスが高いのも分かる。しかし、サポートはあったのに、優先順位を見極めず、約束をすっぽかしたのはダグ自身だ。規則が守れなかったのも彼だ。検査予約をすっぽかしたのも彼だ。診察に現れないことも何度もあった。健常人だったら6ヶ月前に全ての検査は終了して、とっくに治療が始まっている頃だ。

約束を守る、優先順位を見極める、自分の行動がどういう結果をもたらすのか考えて行動できる。こういう普通のことが出来ないから、職を失い、住居も失い、人に騙され、と悪循環が続くのだ。ホームレスのアウトリーチオフィスに行く。こんな簡単なことができなかった3週間。これが多くを語っていると思う。不服を多く語るが。自分の行動の責任はとらない。やるべきことをせずに周りが悪いと怒りをぶつける。これでは支援が受けられないのも当然だ。

昔診てもらっていた医者に(元々その島からやってきた)、島に着いたらすぐに診てもらうからと言うが、今までの行動を見ていてもそれが実現するか可能性は非常に低い。どれだけ深刻な状況なのか話しても彼の決心は変わらなかった。

1日も早く島の医者に診てもらえることを願うだけだ。



暑い日が続いています。お弁当派なのですが今日は外食で。ベトナムかタイか迷った挙句ベトナム料理。いつものフォーではなくビーフシチューと米粉麺で。あー美味しかった。暑い日こそ、こういう南国料理が力をつけてくれます。


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