走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

条件をつける その2

2021年01月21日 | 仕事
昨日の続き

患者の一人を週末に救急室へ送りました。理由は2週間の尿閉と背部の痛みです。尿カテーテルの挿入、超音波、血液検査が1箇所でできるからが理由でした。患者はなかなか承諾しません。病院嫌いだから。しかし在宅で全てをする手順を伝えると、さっぱりわからん!1箇所で全てをしてもらえるなら、と渋々の承諾でした。

救急へファックスで連絡を入れ、患者が受け入られたことを確認しました。翌日救急医のコンサルノートを見てびっくり、何も処置をせずに退院となっていたから。それも患者の自己判断(医師の勧めに反対して)での退院。

彼は最近糖尿病に診断されました。アルコール依存症と違法薬物の依存症がある彼の病状管理は簡単ではありません。最近孫が産まれておじいちゃんになった彼は糖尿病で死ぬわけにはいかん!と言う気持ちもあるので薬の調整をしているところでした。5年ぶりに私のところへ戻ってきたのは1週間前。たった1週間では何も変わりませんが、前へ進める手応えはあると私は思っています。

で、入院時の血液検査で異常に血糖値が高くケトンは出ていませんでしたが血液がアシドーシスの状態で、いつ意識障害が起こるかわからないから至急点滴を入れてインスリンドリップを始めなければ、となりました。その点滴挿入を断り看護師と大喧嘩になり、点滴をしないと尿カテーテルは入れない、となり、患者は怒って出て行った、と言う成り行きです。

この彼は2ヶ月前にも同じことを救急でしています。糖尿病があると診断された時です。

死ぬぞと言われたけど死ななかった、と彼は言います。あいつらはすぐ、死ぬ死ぬと脅しやがる!と彼は言います。そうです。2ヶ月前に死ぬと言われたのに死ななかったのだから、彼が強気に出るのもわかります。

続く


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