走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

神がかり

2016年08月18日 | 仕事
昨日の続き

食堂には50人を越える人たちが昼食を取っていた。そんなの御構い無しに歌い、叫び、動物のように動き回る。完璧な役者が1人ミュージカルをしているようにも見えるが、内容には全く統一性がない。声をかけてみたが彼女の怒りはエスカレート。

神がかりという言葉がぴったりだ。彼女の体を通して森の神様が一気に出てきているようにも見える。しかし、それは怒りと悲しみに満ちている。暴走している彼女を止めることはできない。警察が呼ばれた。パトカー3台が登場した。格闘の末彼女は病院へ連れて行かれた。

私は救急と連絡を取った。

後で知ったことだが週末からおかしな行動が目立ち、プログラムから追い出されてホームレスになったらしい。週末にも警察は呼ばれていた。

何がきっかけで彼女の病状は変化したのか?疑問が湧く。どうにか食い止める、もしくはこうなる前に救急に連れて行くことは出来なかったのか?

正直何も連絡がなかったことに腹を立てた。私は彼女の調子が悪くなった金曜日も月曜日の午前中も同じ建物の中で仕事をしていた。どうして連絡してくれなかったのだろうか?

もちろん、すでにこの件に関しての会議を来週に控えている。責任をなすりつけるためでは無い。こういう事が起こらないように、そう努めたいだけだ。



小さいですが写真の真ん中にグラウスと言う鳥が写っています。雷鳥に似た鳥です。先住民の民話にもよく出てきます。

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