走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

防弾チョッキ

2021年05月12日 | 仕事
コロナのワクチンを摂取してもコロナに感染する事が報告されています。その事を医療英語で何と呼ぶかご存知ですか?

Breakthrough Infection ブレイクスルー感染

と呼ぶのです。

ホスピス緩和ケアで働いていた時、定時の鎮痛剤の間で頓服の鎮痛剤を使う事を同じくブレイクスルーと呼んでいました。

生理のサイクルの問診で生理と生理の間に予期せぬ出血がある事はブレイクスルーと記録に書きます。

そう、医療英語で予定していない事をブレイクスルーと呼ぶのです。

新しい治療方法が発見されたときもブレイクスルー

Breakthrough の意味を辞書で引いてみればわかります。
a sudden, dramatic, and important discovery or development.
こんな意味もあります。
an instance of achieving success in a particular sphere or activity.

だからタレントが人気急上昇だとブレイクと日本語では言いますよね。本当はブレイクスルーが正しい呼び方なんです。

で、ブレイクスルー感染を聞いて、ワクチンは効かないと思わないように。ワクチンをしていない人に比べて罹患の確率は低く、症状も軽症で済むので、ワクチンは十分に効果があります。そして完璧なワクチンでない事からワクチン後もワクチン前と同じようにマスク、手洗い、ソーシャルディスタンスを取らなければなりません。

では、ワクチンの意味がないのではないか!と思わないでください。地域を動き回っているウイルスが少なくなれば以前の生活に戻れるのです。多くの人がワクチンを受けるとウイルスは感染先をなくし消滅していきます。

水槽のような箱の中に自分がいると想像してください。その中に防弾チョッキを着ているのはワクチンが済んだ人。着ていない人はワクチンをしていない人。防弾チョッキは全身を覆っているわけではありません。しかし一番重要な胴体を守ってくれています。
ウイルスはマシンガンを持っています。そのウイルスは人の胴体の部分を撃ち抜いた時に新しい弾をマシンガンに入れる事ができ、自分を増やす事もできるとしましょう。そして弾がなくなるとウイルスは死んでしまうとしましょう。そのウイルスは否応なしに常にマシンガンを連射しています。

マシンガンを連射するので弾が足や腕に当たるかもしれませんがワクチンをしている貴方は防弾チョッキを着ているので死にはしません。箱の中の人で防弾チョッキを着ている人が増えれば増えるほど、ウイルスは弾ももらえず、自分を増やすこともできず、死んでいくのです。いつかはその箱の中にウイルスはいなくなるのです。

逆に防弾チョッキを着ていない人ばかりだとウイルスはどんどん増えマシンガンに当たる確率も高くなるのです。これが爆発感染の状態です。

わかりますか?100%の防御率ではなくてもウイルスを抑え込むことになる事が。だからワクチンを摂取する意味があるのです。そしてウイルスが箱の中に稀な存在となればマスクもソーシャルディスタンスもない以前の生活に戻れるわけです。

ワクチン接種を受けましょう。


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