突然の母親の再婚の知らせに、
故郷に帰った晴男が出会ったのは、かつて愛した人、
一回やっちゃったら、次の日には街から居なくなってしまった
今でも忘れられない、深雪だった。
シングルマザーとして故郷に戻っていた彼女が、
気になって仕方ない晴男。
「子供の名前はチハル。晴男君のハル。目元なんてそっくり」なんて言われて、
さらに「明日家に来て」と言われて、
ドキドキしながら深雪を訪ねてみた晴男は、チハルに出会う。
そして、深雪が行方知れずになり、
親子かもしれない二人は、一緒に深雪を探して歩く。
チハル役の守山玲愛がスゴイ。
上手い、とかじゃなく、チハルとして画面の中にいるのだ。
西島秀俊もナチュラルな俳優なので、
子供の扱いに慣れていない男と、おしゃまな女の子の空気が自然。
母に置いて行かれて、不安なチハルに感情移入してしまって、
家に走って帰って、母親が帰っていなかった時のチハルには、
私まで泣きたくなってしまった。
母親と一緒に行った場所の記憶をたどるチハルが、とても愛しかった。
海辺での肩車、通りかかった縁日、
チハルと一日過ごしたことで、
晴男の何かが変わったことが目に見えて解る。
深雪がいなくなった時の
『やっちゃったから、いなくなっちゃった!』
という晴男のセリフは笑えましたが、
心がほわっと暖かくなる作品。
片岡礼子は「ハッシュ」の後に大病を患ったのだが、
あのニュアンスは健在で、奔放な深雪にぴったり。
晴男の母の吉行和子も、とてもステキだ。
なんだか、あの海辺の町に、
深雪とチハルと、晴男の母を訪ねてみたくなってしまった。