2016.10.20
佐藤泰志の物語を映画化した三部作のラスト。
前二作が重かったので、今回はどう着地するのかと思っていた。
仕事に没頭するあまり、家庭を崩壊させた白岩。
離婚して地元函館に帰ったが、実家には寄り付かず
あてもなく職業訓練校に通いながら、ただ生きていた。
白岩は東京で長年勤めていた自負が微かにあるのか
それとも体の言葉も書き換えられたのか
周りの人々の訛りとは違う標準語を話す。
職訓の生徒の中でも、常に居心地が悪そうだ。
「俺は最低の男だよ」と言いながら
どんな風に最低なのかは明かそうとしない。
様々な年齢の様々な過去をもつ生徒がいる職訓では
外の世界を知らない教官が並べるそれらしき言葉に含まれるトゲが
傷ついて逃げ込んでいる青年を追い込んでゆく。
年かさの生徒たちはそれに気が付くが、エネルギーを逸らすだけで
闇には触れない。
授業の場面になる度に
青年の心がぎりぎりと追い詰められてゆくのが怖くて仕方なかった。
職訓の、調子がいい代島の誘いを断り切れずに行った飲み屋で
白岩は以前に道で見かけた女に出会う。
彼女は道でも店でも、鳥の求愛ダンスを踊っていた。
そんな風変わりな聡のことが気になってゆく白岩。
聡はとても繊細で気まぐれで
時折感情が爆発してしまうのを抑えられない激しさを持っている。
とても薄いグラスを注意深く両手にくるんでつり橋を渡るような扱いが必要だが
もちろんそんなこと、白岩にも出来ない。
その理不尽さに怒り乍ら、血まみれになりながら、
人生でかつてないほど聡を必要とする白岩。
聡を愛したことで
職訓仲間の傷にも気が付けるようになり
自分だけが暗闇にいるような思いから解き放たれていく白岩は
学校のソフトボール大会に聡を呼ぶ。
「ホームラン打つから」そう言って。
オダギリくん、実は得意じゃないんだけれど
白岩のプライドの高さとそれに気が付かず自分を追い込んでいる様が良かった。
そんな白岩が聡に出会って、振り回されながら
彼女に惹かれて人生を自ら選ぶ道を進む姿も。
蒼井優は、
自分が美しく映ることになどなんの興味もなく聡を生きていた。
恐ろしく女優でした。
鳥の求愛を踊るしなやかさが色っぽかった。
個人的には
北村有起哉さんのモンモンとパパっぷりが観られてうれしい。
ファンなので。
職訓で現場仕事を覚えて
やはり失業保険対策だったのに間違えて配管工で勤めた人を知ってますが
中々大変なんだよね。
あと「仕事なんて好きじゃなかった」という白岩のセリフは
今を生きている人達の生きづらさの根源だと思う。
佐藤泰志の物語を映画化した三部作のラスト。
前二作が重かったので、今回はどう着地するのかと思っていた。
仕事に没頭するあまり、家庭を崩壊させた白岩。
離婚して地元函館に帰ったが、実家には寄り付かず
あてもなく職業訓練校に通いながら、ただ生きていた。
白岩は東京で長年勤めていた自負が微かにあるのか
それとも体の言葉も書き換えられたのか
周りの人々の訛りとは違う標準語を話す。
職訓の生徒の中でも、常に居心地が悪そうだ。
「俺は最低の男だよ」と言いながら
どんな風に最低なのかは明かそうとしない。
様々な年齢の様々な過去をもつ生徒がいる職訓では
外の世界を知らない教官が並べるそれらしき言葉に含まれるトゲが
傷ついて逃げ込んでいる青年を追い込んでゆく。
年かさの生徒たちはそれに気が付くが、エネルギーを逸らすだけで
闇には触れない。
授業の場面になる度に
青年の心がぎりぎりと追い詰められてゆくのが怖くて仕方なかった。
職訓の、調子がいい代島の誘いを断り切れずに行った飲み屋で
白岩は以前に道で見かけた女に出会う。
彼女は道でも店でも、鳥の求愛ダンスを踊っていた。
そんな風変わりな聡のことが気になってゆく白岩。
聡はとても繊細で気まぐれで
時折感情が爆発してしまうのを抑えられない激しさを持っている。
とても薄いグラスを注意深く両手にくるんでつり橋を渡るような扱いが必要だが
もちろんそんなこと、白岩にも出来ない。
その理不尽さに怒り乍ら、血まみれになりながら、
人生でかつてないほど聡を必要とする白岩。
聡を愛したことで
職訓仲間の傷にも気が付けるようになり
自分だけが暗闇にいるような思いから解き放たれていく白岩は
学校のソフトボール大会に聡を呼ぶ。
「ホームラン打つから」そう言って。
オダギリくん、実は得意じゃないんだけれど
白岩のプライドの高さとそれに気が付かず自分を追い込んでいる様が良かった。
そんな白岩が聡に出会って、振り回されながら
彼女に惹かれて人生を自ら選ぶ道を進む姿も。
蒼井優は、
自分が美しく映ることになどなんの興味もなく聡を生きていた。
恐ろしく女優でした。
鳥の求愛を踊るしなやかさが色っぽかった。
個人的には
北村有起哉さんのモンモンとパパっぷりが観られてうれしい。
ファンなので。
職訓で現場仕事を覚えて
やはり失業保険対策だったのに間違えて配管工で勤めた人を知ってますが
中々大変なんだよね。
あと「仕事なんて好きじゃなかった」という白岩のセリフは
今を生きている人達の生きづらさの根源だと思う。