ネジバナ(捩子花) ・モジズリ( 捩摺り)・モジズリソウ ・ヒネリバナ・ナワバナ・ヒダリマキ ラン科ネジバナ属
公園の芝生や空き地の草地にたくさん見られる。最も身近な野性蘭。下から咲きあがり、淡紅色のほか白花もある。根は浅く、芝生や草地の方が良く育つ。左ねじりだけでなく右ねじり、途中から方向変えるねじり、ほとんどねじらないものもある。
花期 梅雨から夏
≪名前の由来≫
ネジバナ 花の上のほう1/2~1/3に、らせん状にねじれた穂状花序の形。花を見
れば一目瞭然。誰でも納得の花の名前。
モジズリ 花序が、「信夫もじずり」という織物の捩じれた模様に似ている。
2007/7.15庭
【近い種類】
小町蘭 : 葉に斑が入る園芸品種が多数あり、それらは「小町蘭」と総称される。
ヤクシマモジズリ : 矮性種。草丈が10センチ程度。
アメリカモジズリ : 北アメリカ原産で白花を咲かせる。。
ミヤマモジズリ : 別属の高山性植物。花がらせん状に付く。
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空き地のあちこちに、ピンクの花を乱立させてます。育てるのは意外と難しく、ここまで育てるのに数年を要しました。
《文学に見るしのぶ草》
花の魅力もさることながら、百人一首で知られる、源融(河原左大臣)の歌と共にある花です。
「みちのくの しのぶもじずり誰ゆえに 乱れそめにし 我ならなくに」
乱れても美しい花姿は、
「忍ぶれど色にいでにけり 我が恋は ものやおもうと 人に問うまで」
も合う歌の気がしてます。
この同じ歌が古今和歌集では
「みだれておもう 我ならなくに」になってます。 巻14 724
この歌を本歌として、「伊勢物語」に
春日野の若紫の摺り衣 しのぶのみだれ かぎり知られず 1段
しのぶ山 しのびて通す道もがな 人の心の奥も見るべし 15段
奥の細道
草苗とる 手もとや昔 しのぶ摺り (しのぶの里の章)
芭蕉の心にも、「みちのくの……」が浮かんだはずです。季語は夏です。
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信夫もじずりについて
「信夫」は地名。古代奥州(みちのく)信夫郡。昭和43年、合併により現在の福島県福島市。
「信夫もじずり」は絹織物のこと。その模様が、もじれて(もつれて)乱れたようであるところから「信夫捩摺(もじずり)」(忍摺)と都でよばれた。
その染め方は、みだれ模様のある巨石の上に白絹を置き、忍草(しぼくさ)を摺って、模様をうつし出し、緑に染めたたといわれる。
忍草(しぼくさ)は、「ノキシノブノ」のこと。他に露草、藍の葉なども染料として、使われたらしい。
大変高価な絹織物で、京の都で「もじずり絹布」としてもてはやされたが、江戸時代初期に姿を消してしまった。
「古代草木染め」のやわらかい風合いの色を想像する。現在見られないのは残念。
忍草を捩ったとされる石臼が、『文知摺石』として「福島市・山口町字文知摺」の地に柵囲いされ残っています。
手にしている反物が、「信夫摺(しのぶずり)」。福島県立博物館
20077.24仙台市「庭」 2007.12.17「庭」