行雲流水

仏教をテーマとした記事を掲載しています。

舌切り雀の真実

2013年10月25日 | 禅の心
山奥の村に、おじいさんとおばあさんが住んでいました。心のやさしいおじいさんは、村の子供たちと遊ぶのが何よりの楽しみでした。子供たちは、大好きなおじいさんにプレゼントをしようと考えました。
「おじいさん、大きな箱と小さな箱のプレゼントを用意したけえ、どちらでもいいので持って帰りんさい。」
おじいさんは
「ワシは重たいのはよう持たんけえ、小さい方をもろうて帰るよ。」
おじいさんが家にプレゼントの箱を持って帰って、開けてみると、子供たちが一生懸命作った絵やら粘土の作品が入っていました。おじいさんはとても嬉しくなりました。
 おばあさんは、おじいさんが大喜びしているのを見て、
「どがあしたんかい?」
と聞くので、おじいさんは村の子供たちからプレゼントをもらったことを話しました。
おばあさんは
「そんなら、ワシも子供らと遊んでプレゼントをもろうてこようないの。」
と言って、子供たちのところへ行きました。
「こらあ、子供たちよ、ワシが遊びに来てやったぞい。ワシにも帰りにプレゼントをおくれ。」
おばあさんも、子供たちからプレゼントをもらうことになりました。
「おばあさん、大きな箱と小さな箱のプレゼントを用意したけえ、どちらでもいいので持って帰りんさい。」
おばあさんは、
「ワシはおじいさんとは違ごうて、元気じゃけ、大きいのをもろうて帰るけえ。」
おばあさんは、大きな箱を家に持って帰ることにしました。
しかし、箱が重くて家に着くまでに休みしました。
「何が入っとるんじゃろう?開けてみよう。」
と言って開けてみました。
おばあさんは、「何じゃこのガラクタは・・・」と言って、プレゼントを捨ててしまいました。

さて、おじいさんと、おばあさんがもらった箱には何が入っていたのでしょう。
実は、同じように子供たちが一生懸命つくってくれた、絵や作品が入っていたのです。
同じものでも、おじいさんは子供たちの純粋な気持ちをうれしく思い、おばあさんは、子供のつくったものなど値打ちのないものだと思っていたのです。
幸せや喜びは自分の心が作り出しているというお話でした。

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