盗人宿

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風が吹けば

2018-10-05 13:18:27 | にゃんころ
本庶氏のノーベル賞受賞により、癌治療薬「オプジーボ」に関する問い合わせが全国の医療機関に殺到しているそうです。

小野薬品工業が開発したこの薬は、非常に優れた癌治療薬ではありますが、すべての部位のすべての種類の癌に有効なわけではないそうです。
また、使用者の1割程度に重篤な副作用が出るので、「オプジーボを使えば癌が治る」という単純な話ではなく、医師としっかり話し合った上で使うことが推奨されています。

さて、この「何々すれば何々になる」という論法は、世の中の実に多くの場面で使われています。
中にはずいぶん安易というか強引な使われ方をされる場面も少なくありません。

たとえば、

 雨乞いをすると雨が降る

という事例を考えてみましょう。
この場合、4つの場面を考える必要があります。

 1.雨乞いをして雨が降る
 2.雨乞いをして雨が降らない
 3.雨乞いをしないで雨が降る
 4.雨乞いをしないで雨が降らない

3と4は雨乞いを「しない」のですから、雨乞いと雨の因果関係はまったくありません。
そして実は、2も実質的には存在しません。

人間は「雨が降るまで雨乞いを続ける」からです。

つまり1は単なる偶然、2も(一見必然のように思えても)偶然です。
雨乞いと雨とは、何の関係もないのです。


オプジーボに関する問い合わせは、大部分が「保険が適用されるのか」だそうです。
1回の使用で 17 万円かかるらしいので、患者の人にとっては死活問題でしょう。
この場合は、

 1.オプジーボを使って保険が適用されて癌が治る
 2.オプジーボを使って保険が適用されて癌が治らない
 3.オプジーボを使って保険が適用されず癌が治る
 4.オプジーボを使って保険が適用されず癌が治らない

の4つを考えれば良いことになります(使わない場合は保険適用は関係ないので考えなくてよい)。


いずれにせよ、現代は「ふたりにひとりは癌になる」時代だそうです。
その治療の未来のために、国も五輪に8千億円払う暇があるなら、研究費(特に基礎研究)に予算を割いてもらいたいものです。

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