盗人宿

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八冠達成

2023-10-12 19:38:52 | にゃんころ
将棋の藤井聡太七冠が、永瀬拓也王座を破って八冠を達成しました。

これがどれくらい凄いことなのか、いまさら私がここで語る必要もないでしょう。
新聞は一般紙もスポーツ紙も一面トップ、地上波のニュースもワイドショーも各局がすべて時間を割き、政府は内閣総理大臣顕彰を送る検討を始めました。
かつて羽生善治現九段が七冠を達成したのが25歳の時。当時はまだタイトルは7つだけだったのでこれも全冠制覇で、こんな事はもう二度と起こらないだろうと(羽生自身も含めて)誰もがいっていました。
それを21歳の藤井がプロ7年目で成し遂げたのです。

振り返ってみると、不思議な対局でした。
第1局は後手番の永瀬が勝ち、事前に「自分は人間をやめる。やめないと七冠には勝てない」と語っていた永瀬の覚悟と研究は本物かとみんな思いました。
ところが第2局では後手番の藤井が入玉(自分の玉が相手陣に攻め込むことで、これをやると盤上の点数勝負になる)に持ち込み、しかも点数ではなく相手の玉を詰ませて勝利。
これを引きずったのでしょうか、第3局と第4局はいずれも永瀬があと一手で藤井玉を詰ませられるところまで優位に進めながら、最後の最後で永瀬に痛恨のミスが出て逆転負けしました。

永瀬は人間をやめ切れなかった。最後に人間らしいミスをした。

藤井は常々「人間はミスをする生き物」と語っています。
デビュー以降の藤井の勝率は毎年8割を上回っていますが、裏を返せば6回に1回くらいは負けているのです。
しかしタイトル戦の五番勝負や七番勝負では、これまで18回のうち17回は完封か1敗で勝ち抜けて奪取や防衛をしています。
唯一藤井から2勝したのは、羽生九段だけです。

考えてみれば、生涯勝率8割超えを相手に、短期決戦で勝ち越すことは至難の業です。
いくら激戦の予選を勝ち抜いて勢いのある挑戦者でも、毎月のようにタイトル戦をこなしている藤井に勝つのは難しい。
十数年後はわからないにしても、今後数年は藤井の天下が続くのではないでしょうか。
羽生七冠は約半年でひとつ失冠し、その後再び七冠に返り咲くことはありませんでした。
果たして藤井一強の日々は、いつまで続くのでしょうか。

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