(本頁は「初夏の月山稜線で見た花(2023年6月19日)」の続きです。)
今日の月山、上の方は雲が次々と湧き出し、すっかりガス山となりました。
そのため景色はさっぱり見えませんでした。
下山時、1688mピークから振り返り見た月山
牛首を過ぎると、いよいよ月山本体の登りとなります。
ここから先、雪は無くなり、岩がむき出しの登山道を歩きますが、
花は何も無し。
と思ったら、少しだけ咲き出しておりました。
コメバツガザクラ
エゾツガザクラ
ミネズオウも咲き出したばかり。
ミネザクラ
ミヤマキンバイ
ハクサンイチゲ
スゲの一種
月山本体の上りはしんどかったです
(今日、初っ端の姥ヶ岳急斜面で私を追い抜いて行った
元気なご老人は牛首で脱落されました)。
今回は、コースタイムの1.5倍くらいかかったでしょうか。
脚力の衰えを痛感しました。
それでもなんとか山頂台地に到着しました。
山頂台地の石碑には松尾芭蕉の句「雲の峰 幾つ崩れて 月の山」が刻まれているようです。
山頂台地の石碑
ミヤマキンバイ
月山山頂
今回、山頂まで来たのは、ひとえにクロユリの花を見たかったからです。
しかし残念。今回はまだ蕾でした。
今年は春は季節の進行ペースが十日から半月くらい速かったので、
クロユリも咲いているかも・・・
と思ったのですが、いつの間にか、例年のペースに戻っておりました。
ミヤマクロユリの蕾
こちらは一昨年6月30日に見た開花株。
ガスの中で握り飯を食べていたら、
一瞬ですが、雲が取れ、朝日連峰が見えました。
クロユリの花は見られませんでしたが、こちらはえがった。えがった。
通常、登山レポートは山頂で終了し、
下山のエピソードは語らないものです。
しかし今日は金姥まで下りたら、急にガスが晴れて来て、景色が見えて来ました。
そのため、金姥近くの1688mピークより下に関し、少しだけ報告させて頂きます。
下山時、1688mピークから振り返り見た月山
山形盆地と奥羽山系を望む。
奥の山は左が雁戸山、右が蔵王山でしょうか。
1688mピークから姥ヶ岳を望む。
姥ヶ岳から朝日連峰を眺める。
姥ヶ岳からリフト駅を見下ろす。
この斜面はスノーボーダーがいっぱいでした。
朝日連峰を眺めながらリフトを降ります。
姥沢駐車場からまた月山を。
これが今日見た最後の月山となりました(この後、また雲に包まれました)。
帰り道、庄内平野北部に聳える鳥海山には、山頂部にだけ雲が引っかかっていましたが、
高速を走り、酒田を過ぎたら、それが取れました。
遊佐町藤崎付近から見た姿です。
次に登るのは鳥海山になりますかな。
以上。
(本頁は「いざ行け。鳥海山or月山。(2023年6月19日)」の続きです。)
この日の月山は天気には恵まれましたが、花見にはちょっと早かったのかもしれません。
何故なら、姥ヶ岳から牛首にかけての稜線のほとんどがまだ雪に覆われていたからです。
金姥の手前、1688mピークから月山を望む。
ただし金姥の前後だけ、雪消えが早く、登山道が現れていました。
ここは立ち位置の角度の関係でしょうか、
柴灯森(さいとうもり)に続く稜線道が立ち上がっているように見える場所です。
この付近では、エーデルワイス似のミヤマウスユキソウ(ヒナウスユキソウ)が咲き出しておりました。
ただしまだちっこいものばかりでした。
チングルマとミヤマウスユキソウ
続いて現れた花は色鮮やかなイワカガミ、ミヤマキンバイでした。
イワカガミ
ミヤマキンバイ
ハクサンイチゲも咲き出しておりました。
紫灯森(さいとうもり)の稜線に咲くハクサンイチゲやミヤマキンバイ
ハクサンイチゲ
稜線を歩いている間は雲がドンドン湧いてきて、景色はさっぱり見えなくなりました。
一瞬の晴れ間。
真西方向、装束場方面や品倉尾根が見えました。
地味なお花。
ミヤマカラマツ
イワハタザオでしょうか。
コヨウラクツツジ
またまた鮮やかな・・・
ウズラバハクサンチドリとシラネアオイ。
一瞬の晴れ間。
今度は南西方向、朝日連峰です。
残雪の近くで咲く花は限られたものばかりでした。
コバイケイソウの芽出し
ヒナザクラ
ミツバノバイカオウレン(コシジオウレン)
ミツバノバイカオウレン(コシジオウレン)とショウジョウバカマ
牛首に到着。これから月山本体の登りが始まります。
「月山本体の登りと下山時の眺め」へ続く。
今年の六月は天候不順もあり、なかなか山に行けませんでしたが、
19日以降は少し晴天が続くとの予報。
これは勿体ないと19日は、今年初めての本格的な高山、
鳥海山か月山のいずれかに登ろうと思い、未明に自宅を出ました。
第一候補は昨年行ってない山形の月山ですが、
どちらに登るかは県境の吹浦まで走って、月山に雲が懸かってるかどうか
で判断します(月山が晴れていたら、
鳥海山には関係なく、月山に決まりという変なルールです)。
行く途中、鳥海山はよく見えました。
にかほ市小滝から見た鳥海山
鳥海山の雪はだいぶ減って来ました。
吹浦まで来たら、薄雲を突き抜けて月山がちらりと見えました。
今日は月山に登ることに決めました
が、その後、高速道に上がったらどうしたことでしょう。
庄内平野は霧に包まれ、何も見えなくなりました。
この霧は鶴岡を過ぎたら晴れました。
山形道・櫛引パーキングにて小休止、再び見えるようになった鳥海山を振り返ります。
肝心の月山は、前山や逆光で見えにくくなりました。
そうこうしているうちに、トンネルに突入、出たと思ったら高速が終わり、
今度は国道112号線・月山道路を走ります。
こちらも長いトンネルばかりです。
西川町に入った後は、県道を走って、大井沢に向かいました。
これは月山の姿を眺めるためです。
山はぴったりくっつくよりも少し離れた方がよく見えます。
大井沢から見た月山と湯殿山
大井沢から見た月山
月山や湯殿山の姿を眺めた後は同じ道を戻り、月山登山口の姥沢に向かいました。
途中、弓張平公園から、今度は南の方に朝日連峰の姿が見えました。
これも先ほどの、ぴったりくっつくよりも少し離れた方が・・・の理屈です。
弓張平公園から、朝日連峰を望む。
姥沢の駐車場には7時ちょっと過ぎに到着しましたが、
駐車料金がなっ( ̄π ̄;なんと1000円に値上がりしておりました。
姥沢の駐車場まで上がったら、朝日連峰がさっき(弓張平)よりよく見えたので、山座同定を試みました。
間違いありましたら、ご指摘ください。
姥沢駐車場から見た朝日連峰
姥沢駐車場から月山も望む。
姥沢駐車場からリフト駅までは15分くらい舗装道路を歩かねばなりません。
歩き出したらすぐムラサキヤシオが咲いていました。
リフト駅
リフトの運航は8時からスタート。今回は何故か一番でした。
姥ヶ岳
リフト上駅(1520m)で降りて歩き出したら、5分程度で雪渓となりました。
姥ヶ岳の雪渓の傾斜は思いのほか急です。ただし標高差は僅か150m。
最初からアイゼンを装着し、駆け上がりましたが、すぐにバテテしまいました。
姥ヶ岳の急斜面に果敢に挑むご老人。
後続のご老人にも追い抜かれ、姥ヶ岳山頂(1670m)へ着いたのは三人目でした。
姥ヶ岳山頂部からの眺望は素晴らしいです。まずは朝日連峰方面。
以東岳をクローズアップで。
山頂部で最初に見た花はミツバノバイカオウレン(コシジオウレン)。
ここからの朝日連峰の眺めは絶景だと思います。
姥ヶ岳山頂からは鳥海山も望めます。
しかし雲が湧き出しており、見えたのは一瞬だけでした。
月山本体も立派です。
「初夏の月山稜線で見た花」へ続く。
(本頁は「月山でクロユリ・・・を見た。2」の続きです。)
クロユリも見たので、いつもならばこれで終わりだが、今回はこの後、まだ続きがある。
この後、キヌガサソウを見たくて、湯殿山ルートの途中にある装束場という処に立ち寄ったのだ。
なお月山のキヌガサソウは2016年7月中旬にも見ている(記録はこちら)が花はだいぶ古くなっていた。
今回は新鮮なキヌガサソウを見たかった。
なお装束場は登りに通過した金姥(かなうば)という分岐点から一時間近く降下したところ。
更に降下すると湯殿山や玄海広場に至るが、クルマを拾えない。
したがって帰りはリフトを使って姥沢に下山する関係で同じ道をまた登り返す必要がある。
リフトは最終が16時半なので、それに間に合えばいいだろうと降下して行った。
金姥から装束場に降下する道
降下中に見た品倉尾根
再度、今回の参考マップ。
金姥の標高は約1620m、装束場は約1340mなので300m近い降下となる。ということは、帰りは300m近い登り返しになる。
降下中に見た花、ゴゼンタチバナ
降下中に見た花、アカモノ
ミヤマカラマツ シラネアオイの残り花
この道にはミヤマキンポウゲがやたらと多かった。
なおその下草としてタテヤマウツボグサの芽出しがびっしりだった。
真夏以降、この道は青紫色に染まるだろう。
他にはマイヅルソウ、ノウゴウイチゴ、ミヤマツボスミレなども見かけた。
装束場に向けて降下していくと、目の前に突然、雪渓が現れた。
この雪渓、けっこうな傾斜で帰りはアイゼン無しでは登れないだろう。
最初の雪渓。奥に見える山は最近、湯殿山と呼ばれるようになったピーク。
更に降下して、清身川に到着。と言っても、そこは新たな雪渓で埋まっていた。
清身川の雪渓。
残雪の表面はみごとなスプーンカット模様。まだ早かったかなと思ったが、
雪渓周囲の笹薮の中を見たら、それは咲いていた。まだういういしいキヌガサソウだった。
ういういしいキヌガサソウ
キヌガサソウの蕾 ういういしいキヌガサソウ
ちゃんと開いたキヌガサソウ(後述の装束場にて)
キヌガサソウの花アップ イワイチョウ
キヌガサソウは見たものの、折角来たのだからと装束場まで降りてみた。
ここにもキヌガサソウの小さなコロニーが有り、ちゃんと開いた個体も二、三個有った。
装束場から、南側、朝日連峰方面を望むが、残念、雲が出ていた。
ウラジロヨウラク
装束場付近から、湯殿山神社の谷を望む。ここから望む湯殿山神社の谷は深い。
昔、若い頃、滝水を浴びながら月光坂を鉄梯子で降りて神社まで行ったが、年老いた今、その気力体力は無い。
何故かここではハクサンフウロが咲いていた。山頂や稜線ではまだ咲いてなかったのに、ここだけ異常に早い。
何やら賑やかな男の声が聞こえて来た。
それは山伏ではなく、タケノコ採りのオッサンたち(たぶんプロ)だった。
登山者が(今日は)皆無のルートなので、私の姿を見て彼らも吃驚したようだ。
「石跳(いしばね)川を登って来て、タケノコ採って、またそこを降りるつもりだが、
残雪で一部の道が塞がれており、けっこう難儀した。アンタはどっから来た。」と聞かれたので、
「キヌガサソウを見たくて山頂から降りて来た。帰りはまた金姥まで登り返してリフトで降りる。」
と言ったら、
「キヌガサソウ、そんな花知らねえな。リフトはまだ乗ったことがねえ。料金はいくらかかる。」との質問。
往復で1100円と答えたところ、
「それは安い。我々も乗りたい。でもタケノコ背負って乗ったらひんしゅくものだな。気を付けて帰りな。」
と言って笑いながら、去って行った。
装束場付近から、来し方、金姥方面を望む。
ミズバショウがちらほら咲いているが、これを登り返して、
右側の姥ヶ岳を越えるのかと思ったら、疲れがドッと出て来た。
キヌガサソウを見た後の装束場から金姥への登り返しはとてもしんどかった。
休む回数も増えて来た。
雪渓をやっと登り終えて、最後の休憩。
コバイケイソウ
このままでは最終リフトに間に合わなくなるかもしれない。そうなったらタイヘンだ~! ε=ε=へ(+´π`;)ノ
と金姥からは小走りで姥ヶ岳に登り、リフト上駅へと滑り落ちた。
この間、ガスが出て来て涼しかったのがさいわいだった。
姥ヶ岳にはガスが。
ガス山に変身。
リフト上駅へと降下中。
リフトには最終の五分前、16時25分に乗れた。
リフト下駅で降りたら、ニッコウキスゲが奇麗だった。
以上。
(本頁は「月山でクロユリ・・・を見た。1」の続きです。)
牛首手前の最後の雪渓から月山本体を望む。山頂までの標高差はあと250mくらいか。
牛首が近づくと、登山道沿いの花の種類も少し変わって来る。
雪渓が近くにあるせいか、雪田性の種類が多くなる。
ウズラバハクサンチドリとアカモノ
アオノツガザクラ
ミツバノバイカオウレン(コシジオウレン) ヒナザクラ
イワカガミ
雪渓を越え、月山本体の登りに取りついたら、どうしたことだろう。花がさっぱり無いのだ。
昨年6月22日に来た時、いっぱい咲いていた花たち(こちら)はことごとく終わっていた。
年が違うのでそのまま比較はできないが、一週間程度でも花の様子は大きく変わるものだ。
仕方ないので、来し方を振り返りながら、ひたすら急坂を登る。
月山本体に登る途中、姥ヶ岳や紫灯森を振り返る。
月山本体に登る途中、姥沢リフト駅方面を振り返る。
朝日連峰
鍛冶小屋跡の前後が一番しんどかったが、11時前に山頂台地に到着。
ここはハクサンイチゲやミヤマキンバイ、イワウメがまだ咲き残っており、
更に新顔としてミヤマシオガマが加わり、場所によってはけっこう賑やかなお花畑になっていた。
山頂神社を望む。
ハクサンイチゲの咲き残り
ミヤマシオガマやミヤマウスユキソウなど。
イワウメ ミヤマキンバイ
ミヤマリンドウ
ミヤマシオガマ。左にミヤマウスユキソウ、右にホソバイワベンケイ。
ミヤマシオガマ ミヤマウスユキソウ
鮮やかなミヤマシオガマをもう一枚。
表題にも挙げているクロユリだが、山頂台地の頂上小屋周辺でやっと見ることが出来た。
その数は数年前、或いは昨年よりは明らかに増えていた。しかし残念だったのは、多くの花が雹で傷んでいたこと。
ミヤマクロユリ、雹で傷んだもの
今年はあちこちで雹の被害が出ている(神室山のキヌガサソウなど)が、月山ではクロユリがもろにその害を被ったようだ。
無傷のクロユリを探していたら、妖艶な蛾、オオミズアオに遭遇した。
オオミズアオとミヤマキンバイ(ホソバイワベンケイ)
傷だらけのクロユリにガッカリしていた登山者に、この蛾の方が珍しいよ
なんていい加減なことを言ったら、機嫌が直ったのか、こちらにもカメラの列が出来たのには笑ってしまった。
その後、懸命に探したら、遅れて咲いた個体の中には無傷のものが幾つか有った。
ミヤマクロユリ、無傷に近いもの ミヤマクロユリとミヤマキンバイ
クロユリ生育地より山頂を望む。
クロユリ生育地より西側を望む。
西側斜面ではハクサンイチゲが開花中。
コバイケイソウ
「月山でクロユリ・・・を見た。3」に続く。