モウズイカの裏庭2

秋田在・リタイア老人の花と山歩きの記録です。

深浦海岸のシーサイドフラワー。(2009年6月上中旬)

2023年06月21日 | 海辺の花

本記事は自ホームページの旧記事をブログ用にリメイクしたものである。
2020/04/07 初回アップ。2023/06/21 再アップ。

今回はカテゴリー「海辺の花」を新設し、海岸植物を取り上げてみる。
2009年6月上旬某日、本業の合間を見て、深浦海岸(青森県西部)を訪ねてみた。
そしたら、こんな花?風景に出くわした。 


ハマベンケイソウ  Mertensia maritima ssp. asiatica

 


花はともかく葉っぱも含め、全身真っ青の植物体が海面から10mも離れていない場所に打ち上がっている。
北朝鮮からやって来たのだろうか。いやちゃんと根っこが有って、この場所に生えている。

この植物体、ハマベンケイソウと言う名があるが、
ベンケイソウ科ではなく、ムラサキ科(ワスレナグサやコンフリーの仲間なの)だ。
色合いだけでなく株の大きさにも驚く。優に3mくらいは拡がっていた。 

近づいてみると、図体に似合わぬ可憐な花。しかも日本の野草らしからぬ色カタチ。




この日の撮影はこの花だけで終わった。


今まで高山や里山(主にスプリングエフェメラル)、湿原といろいろな花どころを訪ねてきたが、
海岸に咲く花たちもけっこう綺麗だし、面白いものがあることに気づく。
ただし漂着ゴミが多いので、撮影の前には清掃が欠かせない。

以下、6月中旬某日に深浦海岸を再訪した際、出会った花風景を披露してみる。 

まずは森山海岸から白神岳の連峰を眺める。
海からいきなりこんなに高く聳えていいものだろうか。まだ行ったことはないが、知床を髣髴させる風景だ。


次いでハマヒルガオの大群に行き会う。




こちらはハマハコベ群生。




ハマハコベはニョキニョキ、多肉植物のクラッスラのような草姿。
これがナデシコ科だとはなかなか信じられなかった。

 
                                ハマボッス(サクラソウ科) 


真っ白い花を追加。
スナビキソウ  Messerschmidia sibirica
ムラサキ科とは言っても、ワスレナグサとはだいぶ違う。
香水にも使われるヘリオトロープに近縁と聞く。




地味な花で恐縮だが 、
ウシオツメクサ(ナデシコ科)。
高山のイワツメクサやホソバツメクサを連想させる草姿だ。




ウミミドリ(サクラソウ科)。

潮溜まりの中で咲いていた。よくもまあ、こんなしょっぱい処で生きられるもんだと感心してしまう。




更に地味な花を。

                  コウボウムギ(カヤツリグサ科)  
 
                                                                     エゾオオバコ(オオバコ科) 


続いて行合崎(ゆきあいざき)。

なんてロマンチックな地名なんだろう。
まずはハマナス。




ところが花はブッサブサ。
それだけ気性じゃない気象条件が過酷なんだろう

反対側の岩壁には、
ニッコウキスゲ。




海岸でこの花の群生を見たのは初めてだ。さすが北の地、津軽。

                       ニッコウキスゲ 
 
                                                                            エゾネギ(ハマボッス、エゾオオバコも一緒)


スカシユリ。この地にはエゾスカシユリも分布している。写真の個体はどちらなんだろう。




これらの花たちが同一視野にあったならば、オホーツクの原生花園と同じになってしまう。 


オオバナノミミナグサ(ナデシコ科)。
花は径2センチくらいとけっこうでかい。男鹿半島でも見ている。




クサフジ(マメ科)。潮を被るような海岸にもけっこう進出している。


 

こちらはポピュラーな海岸植物、ハマエンドウ(当然、マメ科) 。


 

比較的綺麗な花ばかり続いたが、次はありったけ地味な花を紹介しておこう。 

エゾヒナノウスツボ  Scrophularia grayana。
ゴマノハグサ科ゴマノハグサ属。科名になっているほどなのになんと地味な草姿の属なんだろう。




          エゾヒナノウスツボの花をアップで。    
 

                                                            キバナカワラマツバ(アカネ科)


この芽だしは何だろう。




たぶんエゾオグルマだと思う。確かこの地が分布の南限だと何かの本で読んだ。

みごとな花を咲かせるようだし、可能ならば真夏に再訪し、確認して・・・

なんてもったいぶるのは止めよう。この年の8月に見た花を。




エゾオグルマは小型ヒマワリのようでけっこう見ごたえのある花だった。

行合崎の突端から南の方、艫作(へなし)崎を仰ぐ。左奥は深浦の町並み。

(^^;)この写真を撮って、さあ帰ろうと歩き出したら、突然転倒し、左足首を捻挫してしまった。
さいわい軽く済み、運転には支障はなかったが、ニンゲン、いつ何が起こるかわからん。皆さんも気をつけましょね。


 

北東、鯵ヶ沢方面を仰ぐ。




 以上。

コメント (4)
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沖縄の海辺でアダン。(2009年11月14日)

2022年11月28日 | 海辺の花

本記事は自ホームページの旧記事をブログ用にリメイクしたものである(2020/04/11)。
再アップ(2022/11/28)。

2009年の11月中旬、本業用事で沖縄に行くことになった。
折角の機会なので、本業以外のこと、南国の植物やその他風物にも親しんで来ようと考えた。
秋田空港を朝のJAL便で発つ。この日の最低気温は1℃。
翼の下には鳥海山が見えた。山頂部は既に真っ白、そして裾野は紅葉が盛りだった。



羽田で別のJAL便に乗り換え、二時間と少し、沖縄本島上空に差し掛かる。



下に見えるのは名護市の屋我地島や羽地内海と思われる。 

島を覆う森はまだ青々としている。
この日、沖縄の天気は下り坂で、那覇への到着とともにパラパラと雨が降りだしたが、気温は26℃。
朝の秋田とは25度も違うことになる。

今回、観光の為の時間は11月14日の半日くらいしか確保出来なかった。
その貴重な時間をどこでどう過ごすか。どんじゃら広場(当時のホームページ掲示板)の皆さんに訊ねたところ、
那覇から近場の『東南植物楽園』はどうかとのアドバイス。
現地でタクシーの運転手さんと交渉したところ、
北部にある『美ら海水族館』やスキュバダイビングをしきりに勧められたが、半日ではとても・・・(^_^;)

だからといって、東南植物楽園だけではタクシーとしてうま味が無い。その妥協点(?)として連れて行かれたのが、
まずは琉球村(写真、レポートは省略)。 

そして万座毛(まんざもう)
 (´π`;)何やら親近感を感じる地名だ。


こちらはモウ(牛)ではなく象みたい。 

この断崖はいにしえの珊瑚礁が隆起したもの。

 



♪ジャジャジャーン。火曜サスペンス劇場のロケに使われそうな海岸。


私が寄った時は、風が物凄く強くて、時々波しぶきが雨のように降りかかって来た。

そんな過酷な環境にもめげず生えていたのが、パイナップルじゃないアダン。






アダン Pandanus odoratissimus (タコノキ科。琉球列島~東南アジア原産) 

アダンは、孤高の画家、田中一村の絵で知った。
今、本物のアダンを目にして、感無量。
 

手持ちの田中一村作品集。

 
この木は


 

モンパノキ Messerschmidia argentia (ムラサキ科。琉球、小笠原、太平洋諸島原産) 
ムラサキ科の樹木は初めて見た。

万座毛の名の由来:Wikiによると、
琉球王朝の時の王である尚敬王が、「万毛(毛は原っぱのこと)」(言い換えると「一万人が座れる広い原っぱ」)
と評した
ことに由来しているそうだ。




天然芝の草原に咲く黄色い花は、

ホソバアダンじゃないホソバワダン(キク科)。 

                     ホソバワダン Crepidiastrum lanceolatum                                                       イソノギク Aster asa-grayi 
 
 

イソノギクは地味だが、琉球列島の限られた場所(例えばこの万座毛の周辺)だけに生える極めて珍しい野菊の一種。
絶滅危惧・危急種。場所によっては、ホソバワダンと混ざって咲いていた。

 


この付近一帯のユニークな植物群は
『万座毛石灰岩植物群落』として沖縄県の天然記念物に指定されている。 

万座ビーチホテル方面を望む。


 

ソテツやクサトベラも有ったが、あうぅ(つдi)今回は写し損ねた。
時間の制約もあり、沖縄の海の花レポートはたったこれだけ。どうか許して欲しい。

以上。

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渚のバルコニー♪で見た花(2013年6月22日)

2022年03月15日 | 海辺の花

(本記事は自ホームページの旧記事をブログ用にリメイクしたものである。)

私の野花巡りはいつも山の花が多いのだが、たまには海岸の花を。
しかも季節外れだがご寛容頂きたい。


6月22日は本業用事で青森に出張となった。当日は(秋田市の)家を早めに出て、深浦海岸を廻って行った。
秋田市からはかなり遠回りになるが、景色はこちらの方がゼッタイ良い。
個人的にお気に入りのポイントは行合崎(いきあいざき)。




今頃ならばニッコウキスゲが咲いてる筈だ。

この花、高原や高山の花とのイメージがあるが、北東北では平地や海岸でもときどき咲いている。
ただし群生することは稀なので、深浦海岸の群生は低地としては貴重な群生と言える。

行合崎のニッコウキスゲ
 









この海岸はニッコウキスゲ以外にもいろいろ興味深い花が見られる場所で、過去にも数回訪れている。

ハマナス
   

                                          エゾノヒナウスツボ


巨大な青座布団のような植物の名前はハマベンケイソウ。







この花はベンケイソウ科ではなく、ムラサキ科(ワスレナグサやコンフリーなどの仲間)。

秋田の男鹿半島より北の海岸に分布し、でかくなると直径2mを超えるマットになる。
全体がこんなに青い植物は園芸植物でもそうはないだろう。
残念ながら花はまだ咲いてなかった。
参考までに昔写した花の写真はこちら

この日見たムラサキ科をもう一種。先に紹介したハマベンケイソウと隣り合って生えていた。
こちらの方はスナビキソウと言い、葉っぱは普通の緑でややゴワゴワした印象。
花は白く径1センチ近くあり、わりと綺麗だが、古くなると茶色に変わるのが玉に瑕。
香料植物のヘリオトロープに近縁なのか、香りが良いと聞くが、私はいつも嗅ぐのを忘れてしまう。











【渚のバルコニー♪で見た花】

キリンソウ(ベンケイソウ科)は山の草原でも見かけるが、海岸の岩場に咲いてる姿の方が絵になる。
園芸植物としても使われる。

キリンソウ



キリンソウとエゾネギ(蕾)
 
 
                                         エゾネギ



キリンソウの隣で咲き出したネギ花は、ひとまずエゾネギとしておく。

和野菜のひとつ、アサツキやハーブとして知られるチャイブと近縁、或いは同じものとも言われる。
ここ深浦海岸では岩棚だけでなく、砂浜にも大量に群生している。
私の行った時はまだ咲き出したばかりだったが、最盛期になると浜が薄紫に染まるほどだ。

ハマツメクサ



地味な花の次は派手な花を。

エゾスカシユリ



青花のマメ科も咲いていた。クサフジは内陸の草叢にも生える。

クサフジ
   

                                           ノコギリソウ


【渚のヤロウ】
ヤロウとはセイヨウノコギリソウの英名。
日本原産のノコギリソウは庭に植えられるセイヨウノコギリソウに較べると、花の色は地味だが、いい草姿をしている。
山の草原にも生え、以前、信州の高原で見かけたが、その次に見たのはこの深浦海岸だった。
北地の海岸には園芸植物にゆかりのあるきれいな花が多い。




以上。

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初夏の深浦海岸と十二湖。(2015年6月中旬)

2020年06月22日 | 海辺の花

本記事は自ホームページの旧記事をブログ用にリメイクしたものである。


青森のウエストコート、とりわけ深浦海岸は景色が良くて花も多いところ。

毎年、ほぼ欠かさず訪ねているが、
今年は6月中旬、初めてお岩木山に登ってミチノクコザクラを見た(記録はこちら)翌日、
ここを掠めて秋田に戻った。

行きつけのお店、いや岬の感の有る行合崎(いきあいざき)から始めてみる。


行合崎の突端方面を望む。 



深浦の町の方を望む。








 

此処は海浜植物の多いところ。

エゾスカシユリ 
 
                                          ニッコウキスゲ


ニッコウキスゲは北地に行くと高山だけでなく海岸でもしばし見かける。
津軽ではこの地の他に白神岳山頂付近と屏風山湿原などで見られる。 


ハマナス。

ちゃんとした花も有ったが、今回は弁の散る姿にキュンとなったので・・・
 


エゾヒナノウスツボ。
ゴマノハグサ科の不思議なキャラクター。


   

クサフジ      
 
                                                                                             キリンソウ(ベンケイソウ科) 


これを初めて見た時はコバルト色のマット状漂着物かと思った。

近寄ってみると、それは植物だった。

 


ハマベンケイソウだ。 




世の中にはこんなに全草が青い植物があるんだと感心。

すぐ近くに咲いていたのは




スナビキソウ。

上のハマベンケイソウともどもワスレナグサの仲間(ムラサキ科)だ。

ハマベンケイソウやスナビキソウを撮っていたら、

近くの五能線をリゾート列車くまげらが走って行った。

 


JR五能線は海岸の人里を結ぶ鉄の道。
行合崎の突端に向かう小道の先は海しかなかった。

 


行合崎からロシアの方向を望む。 



風合瀬(かそせ)の国道端で見つけた謎のフウロソウ。



たぶんハマフウロだと思うが、
高山植物のハクサンフウロよりも青味が強く、大きな花は径4センチを超えていた。

男鹿のオガフウロよりも開花が早く、でかい花だった。


この日は青池にも寄ってみた。

十二湖は(私の住む)秋田市からは割と近場で、かつて希少植物の撮影で三回ほど訪ねているが、
その頃は藪漕ぎばかりで青池も他の湖沼も見てなかった。森を見て池を見ず。
青池がこんなに青い池だとは知らなかった。

青池















青池の隣、鶏頭場(けとば)池 



鶏頭場(けとば)池と崩山(くえやま) 


 

帰り途から見た崩山(くえやま)と右に大峰岳。白神岳は大峰岳の右に連なる。




以上。

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オホーツク挽歌・エゾキスゲ。(2007年7月7日)

2020年04月11日 | 海辺の花

本ブログを始めて約三ヶ月。アップしているのは昔の山歩き記事ばかりだが、
当初、設定したブロクのカテゴリーを一通り、埋めるまでの期間はこのような古い記事が続くことをどうかご容赦願いたい。
本記事は自ホームページの旧記事をブログ用にリメイクしたものである。


北地に行くと、浜辺に美しい花園が有る。
2007年7月上旬はわけあって会社を休み、道東のあちこちをレンタカーでドライブしていた。
7月7日、網走の小清水町に辿り着いた。この地には原生花園がある。
オホーツク海の一部を湖(濤沸湖)として陸に封じ込んだまっすぐな砂州の上をクルマは西進する。
並行してJR釧網本線も走っている。
途中、カッコいい馬の群れに出逢った。
この光景、以前にも見たような気がする。この場所は初めてだと言うのに、デジャブだろうか。 

 
バックの青い線が濤沸湖。左の山は斜里岳。


小清水原生花園
は線路の向こう、踏み切りを渡った海側にあった。
夏場、ここには「原生花園」という名の臨時駅が出現する。

小清水原生花園





手前の紅紫はハマナスの大株。 

原生花園の駅舎から(^◇^♪キャッキャキャッキャと若者達のはしゃぐ声が聞こえた。

まずはオホーツクの海を見たい。




西側にはぼんやりと知床の山並みが。







 


Casual observer! Superficial traveler!
(宮沢賢治「オホーツク挽歌」より)


原生花園を彩るヒロイン達。

                                            ハマナス                                                                       エゾスカシユリ
 



生まれて初めてエゾキスゲを見た。
その花色はニッコウキスゲと違い、クールなイエローだった。




エゾキスゲは群生していた。







エゾスカシユリの温かみのあるオレンジとのハーモニーがとても良かった。




地味な花たち。

                                   ハマフウロだろうか。                                                               このセリ科は何だろう。
 


このセリ科はたぶんハマボウフウ。ハマナス、ハマニンニクも混ざっている。



今日は
もう数キロだけ、西北西にクルマを進め、能取岬を見てから、南へと折り返した。 

向こうの陸地は網走の能取岬。


 
以上。

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