モウズイカの裏庭2

秋田在・リタイア老人の花と山歩きの記録です。

スミレ紀行2(オオバキ、スミレサイシン、ニオイタチツボ)

2023年04月16日 | 野草/春

(本頁は「スミレ紀行1(ナガハシ、タチツボ、アオイ、ミヤマ)」の続きである。)

スミレは英語ではバイオレット(Violet)といい、同じく色名になっているくらいだが、
その色は青みがかった紫色を指すようだ。
ところが、スミレの仲間にはその反対色のイエローの花を咲かせるものもある。
その代表がオオバキスミレだ。日本海側の山地に多い。
名前のごとく、葉が大きく、しかも大きな群落を作る。
そのため数が多い。もしかしたら秋田に生えるスミレとしては、最も数が多いかもしれない。
特に雪崩によって崩壊した斜面をびっしりと覆う様は壮観だ。

オオバキスミレの群生。2014/05/05 秋田市高尾山にて。



オオバキスミレの群生。2015/04/26 秋田市高尾山にて。



オオバキスミレの群生。2014/05/05 秋田市高尾山にて。



2020/05/24 秋田市太平山にて。
   

                                         2019/04/23 由利本荘市にて。


オオバキスミレは高山でもよく見られるが、
同じ黄スミレのタカネスミレやキバナノコマノツメとは完全に住み分けしている
(詳細はこちら)。

比較的高所に咲いたもの。
2018/06/23 焼石岳八合目(標高約1250m)にて。ノウゴウイチゴが混生。




スミレサイシンも日本海側の山林に多いスミレで、秋田では先のオオバキスミレと並んで多いように思う。
花は日本のスミレとしては大型で、大株になったものは花数も多く、見ごたえがある。

2018/05/16 白木峠にて。
 



2018/05/27 甑山にて。



葉の出現は少し遅い傾向がある。
下左のように花が咲き出してから、徐々に葉を展開する。

完全に開いた葉の形は
ウスバサイシン(ウマノスズクサ科)に似ていることから、
この名が付いたとされる。

2019/04/18 男鹿毛無山にて。
 

                                          2014/04/30 七座山にて。


花が特に大きかった個体。花の径は3センチを超えていた。


2011/05/04 七座山にて。



花色は紫で濃淡があるが、まれに白花も見られる。

2018/04/23 房住山にて。
 


2018/04/23 房住山にて。




明るい芝生や草地に行くと、小型ながらも紅味がかった奇麗な花を咲かせるスミレを見かける。
ニオイタチツボスミレだ。芳香があると聞くが、私は鼻が鈍く、嗅ぐことが出来なかった。

2010/05/19 寒風山にて。
 



2019/04/28 八峰町にて。



以上。

スミレ紀行3」に続く。



コメント (2)
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スミレ紀行1(ナガハシ、タチツボ、アオイ、ミヤマ)

2023年04月15日 | 野草/春

春の野山ではスミレの仲間をよく見かける。
スミレは可愛らしいその姿から愛好者も多い花だ。
本来ならもっと早く取り上げるべきだったが、
遅くなったのは、
私自身、この仲間の分類が苦手で、名前がわからなかったから。
2010年代から始めたfacebookの友人の中に、スミレに詳しい方が何人か居られた。
そのうちのお一人がいがりまさし氏(山渓ハンディ図鑑6 日本のスミレの著者)。
そういった皆さんに教えて頂き、なんとか同定が出来た。
種類数も20を超えたので、スミレ紀行と題して報告してみようと思う。

紹介する順番は本来ならば、
スミレ類の分類学的な位置づけに基づくのがベストかと思われるが、

今回は私自身がフィールドで出会う順番の早いもの、
ようするに早く咲くものから始めることをお許しいただきたい。
なお夏場、高山で見られる幾つかの種類については、
「高山植物」のカテゴリー、「高嶺のすみれは黄色がお好き。」で既に取り上げている
(タカネスミレ、キバナノコマノツメ、オオバキスミレ、ミヤマツボスミレ、
 ツルタチツボスミレ、ウスバスミレなど)。

前置きが長くなって失礼。
私が春になって野草を観に行く最初のフィールドは、

このところいつも秋田の男鹿半島か庄内鶴岡の高館山と決まっている。
どちらも最初に目に付くスミレ類はナガハシスミレだ。

2019/03/28 男鹿毛無山にて。



2019/04/18 男鹿毛無山にて。



2019/04/18 男鹿毛無山にて。カタクリと混生。
 
                                         2017/04/06 高館山にて。


このスミレは地上茎のあるタチツボスミレ類に属している。
この仲間はよく似ていて識別に苦労するが、
ナガハシスミレは、テングスミレの別名があるように、
花の後ろに長い距が天狗の鼻のように突き出しているので
比較的わかりやすい。
しかし後出のタチツボスミレなど近縁種と交雑して中間種も作りやすく、
どちらとも判別できないような株もよく見かける。
例えば・・・

2014/05/03 秋田市太平山にて。



この株はナガハシスミレとタチツボスミレの雑種ではないかとの指摘を頂いた。

以下、三枚はピュアなタチツボスミレと思われる。

2019/04/18 男鹿毛無山にて。



2019/05/10 岩手県・姫神山にて。



2019/04/28 八峰町にて。



タチツボスミレはご覧の通り、みごとな群生、花筵を作り、素晴らしい。
ただしこの花筵の上には蛇が日光浴していることが多く、蛇の苦手な私はいつも悲鳴を上げてしまう。 

男鹿のスミレで一番早く咲くものはずっとナガハシスミレだと思っていたが、
2021年三月下旬に訪ねた折り、別のスミレを見つけた。
それはとても小さく、葉も花弁も薄く柔らかな感じだった。
こんなか弱いスミレが遅雪の季節に咲き出すとは驚きだった。
ところで名前は何だろう。
アオイスミレの名は昔から知っていた。

しかし花はもっと大きいものだと勝手に思い込んでいた。
花色はうす紫色だが、中には青みを帯びた個体もあった。

アオイスミレ
2021/03/24 男鹿毛無山にて。
 

                                         2021/03/24 男鹿毛無山にて。


2022/04/02 男鹿毛無山にて。



男鹿毛無山では、五社堂を過ぎて少し登ると、

ピンクがかった花を咲かせるスミレが現れる。
最初は何だろうと思っていたが、上に行くと数が増えて、群生するようになった。
facebook仲間からミヤマスミレだと教えて頂く。
高山に生えるミヤマスミレの開花は六月と遅いが、
東北地方では低山にも多く、開花は四月中下旬とけっこう早い。

2019/04/18 男鹿毛無山にて。
 

                                         2022/04/28 男鹿毛無山にて。


五月に奥羽山系白木峠を歩いていたら、肉厚でかすかに白い斑の入った立派な葉をもつスミレに出会った。
みごとなスミレだと思ったが、これもミヤマスミレだった。

2018/05/16 白木峠にて。



同様に斑入り葉のミヤマスミレは姫神山でも見かけた。


2019/05/10 姫神山にて。



朝日連峰の大鳥池では紅味の強い大きな花を咲かせるミヤマスミレに出会った。

写真にすると、普通の紫色になってしまうが、私の肉眼ではドッキリするほどの紅紫色だった。

2019/06/25 大鳥池にて。



最後に昔、北上山地北部で見たピンク色の大型スミレ(花の径は約3センチ)を。


2011/05/14 
北上山地北部にて。



facebookで問うたところ、いろいろな意見が出た。
「ミヤマスミレの色変わりのように見える。
鋸歯が粗いことや、花が大きいことから、
倍数化した個体や交雑による雑種強勢も考えられる。」
「アケボノスミレとスミレサイシンの雑種だろうか。」


以上。


スミレ紀行2」へ続く。

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キクザキイチゲがいっぱい。

2023年04月05日 | 野草/春

キクザキイチゲは春先によく見かける野草だが、
秋田や岩手(西側)ではすこぶる多いように感じる。

春、山間部に行くと、彼方此方でこのように群生している。

2014/04/24 東成瀬村にて。



2013/05/09 東成瀬村にて。



この花は野草には珍しく、複数の花色で咲く。
一般的には白と紫で、中間の薄紫も多い。

白花のコロニー。2015/04/23 西和賀町にて。



紫花のコロニー。2015/04/23 西和賀町にて。



花だけでなく、葉の色にも変化があった。
上のコロニーの葉は褐色がかっていたが、次の群生の葉は紅味が強かった。

2014/04/29 東成瀬村にて。



次は西和賀町で見かけた大群生地。
ここではカタクリも混生していた(少し離れた場所ではエゾエンゴサクも混生)。

2011/05/12 西和賀町にて。



キクザキイチゲは白と薄紫が混生していた。

2011/05/12 西和賀町にて。



また東成瀬に戻って。
ここでは白と紫のキクザキイチゲの他に、黄色のフクジュソウや近縁のアズマイチゲも混生していた。

2015/04/23 東成瀬村にて。



わかりにくいので、アズマイチゲを(オレンジの)破線で囲んでみた。




よく似たアズマイチゲについては、「君はアズマイチゲを見たか。」をご参考頂きたい。

ウィキペディアによると、
キクザキイチゲ(菊咲一華、学名:Anemone pseudoaltaica)は、
キンポウゲ科イチリンソウ属の多年草。キクザキイチリンソウ(菊咲一輪草)とも呼ばれる。
【特徴】北海道、本州の近畿地方以北に分布し、落葉広葉樹林の林床などに生育する。
高さ10-30 cm。花期は3-5月で、白色~紫色の花弁状の萼片を持つ花を一輪つける。
花弁はない。キクに似た花を一輪つけることからこの名がついた。
春先に花を咲かせ、落葉広葉樹林の若葉が広がる頃には地上部は枯れてなくなり、
その後は翌春まで地中の地下茎で過ごすスプリング・エフェメラルの一種。
山梨県など複数の都道府県で、レッドリストの絶滅危惧I類や絶滅危惧II類などの指定を受けている。

なお分布域は、
改訂新版・日本の野生植物(平凡社)によると、日本国内だけでなく、朝鮮半島にも有ると記載されていた。
キクザキイチゲのプロフィールは、
「森と水の郷あきた」のホームページのこちらにも詳しい解説がある。是非、目を通して頂きたい。

白花の株。2020/05/24 秋田市太平山にて。
 

                                       薄紫と白。2017/03/26 鶴岡市高館山にて。


薄紫の株。2017/05/01 秋田市高尾山にて。



中にはドッキリするほど、濃い青紫の個体も有った。

2019/04/17 東光山にて。
 

                                          2020/05/24 秋田市太平山にて。


2021/04/06 七座山にて。



その他、変わった個体をいくつか。

薄い緑花。2019/04/17 東光山にて。
 

                                     薄いピンク花。2017/03/26 鶴岡市高館山にて。


キクザキニリンソウ?と萼片の枚数が異常に多いタイプ。

2016/05/08 秋田市太平山にて。
 

                                        2019/04/18 男鹿半島にて。


こちらは一見、ふつうの白花株のようだが、サイズが異常に大きかった。
草丈は約50センチ、花の径も10センチ近くあった。
染色体が倍数化したものかもしれない。

2015/04/19 秋田市高尾山にて。



キクザキイチゲは開花中、雨に遭うと、また夜間や朝は花を閉じる傾向がある。
秋田では、この花を「あめふりばな」と呼ぶこともあるが、
これは雨で花を閉じるせいなのか、
はたまたこの花を摘むと雨が降るとの戒めなのか、定かではない。

2021/03/19 高館山にて。
 
                                           2008/05/08 七座山にて。

この植物はカタクリやエンゴサクのように球根植物ではないが、
スプリングエフェメラル(春の妖精)の性質を持っている。
花が終わり、半月もすると、右上のような実姿になり、更にもう少しすると、
葉が透けて来て、地上部は無くなる。
六月以降は翌年早春まで地下で休眠する。

以上。

コメント (7)
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スプリング・エフェメラルの花筵・後編

2023年03月29日 | 野草/春

(本頁は「スプリング・エフェメラルの花筵・前編」の続きである。)
(本記事は自ホームページの旧記事をブログ用にリメイクしたものである。)

『キクザキ&カタクリ』以外のスプエフェ・アレンジメントも愉しんでみよう。

キクザキイチゲとフクジュソウ






キクザキイチゲとフクジュソウの組み合わせはよくあるようでいて、実はあまり見たことが無い。
どちらも秋田では豊富に生育しており、同じ場所で咲くのだが、
開花時期にずれがあり、通常はフクジュソウが早く咲いてしまう。
写真の場所は豪雪地帯なので、雪消えが遅く、両方が同じ開花となったようだ。
二枚目はアズマイチゲ(白)も混じっている。以上、二枚は東成瀬村にて。

アズマイチゲとカタクリの混生も珍しいと思う。
 

アズマイチゲとカタクリ。仙北市にて。
 



アズマイチゲとキクザキイチゲの混生
(右下の二輪がキクザキ)。



アズマイチゲの単品アップ。
   

                                          アズマイチゲとフクジュソウの群生。


アズマイチゲはキクザキイチゲと姿かたちがそっくりなので、よく間違えられるが、
総苞葉(花のすぐ下にある葉っぱ)の小葉が長楕円形で切れ込みが少ない点や柔らかい質感、
白い花弁のように見える萼の裏側が仄かに紅色を帯びている点などで区別する。
秋田ではキクザキの方が圧倒的に多く、アズマの方はやや稀のように思われているが、有るところには有る。
それこそ山ひとつがアズマだったというケースもあった。
そこにはフクジュソウやカタクリもほどよく群れて咲いていた。

フクジュソウとカタクリ(蕾)。両側の白いイチゲは左がアズマ、右がキクザキ。仙北市にて。



フクジュソウと青紫のキクザキ。カタクリも少し。鳥海山麓にて。



北海道では、

ブルーの絨毯を敷き詰めたようなみごとなお花畑があると聞くが、
その正体、主役はエゾエンゴサク?だ。
(?を入れたのは、北東北に見られるこの種類をオトメエンゴサクと呼ぶ人も多いから)

男鹿のエゾエンゴサク?。



エゾエンゴサク?とカタクリの混生。西和賀町。  
 

                                           ミチノクエンゴサク。東成瀬村。


秋田や岩手ではエゾエンゴサク?の数はそれほど多くないので、どちらかと言えば、脇役に廻ることが多い。
ミチノクエンゴサクは積雪の多い日本海側の本州限定のようだ。
花も葉もか細いその姿は、数多あるスプリング・エフェメラルの中でも最もはかない印象を与える。

チューリップは日本には原産しないが、それに割と近縁なのが、キバナノアマナ。

キバナノアマナとエゾエンゴサク?の混生。男鹿。



キバナノアマナとカタクリ。横手市にて。



キバナノアマナ単独群生。秋田市にて。



 (´π`; ここで少し、スプエフェの勉強を。
スプエフェという言葉は、
スプリング・エフェメラル Spring Ephemeral (『春の妖精』または『春のかげろう』) 

の私製略称で、『春植物』と呼ぶこともある。
カタクリやイチゲの仲間、フクジュソウ、エンゴサク、アマナ、コバイモの仲間などのように
春の限られた期間(雑木林の林床が明るいうち)に
パッと現れ、パッと咲いて、パッと実を結び、パッと消える
特異なライフスタイルをもつ小型の植物群を指す。

だからと言って一年草ではない。
地上部が枯れた後も地下部分(地下茎や球根)は生き残り、翌年の早春に地上部を再生する。
したがって、その生涯はけっして『はかない』というものではない
例えばカタクリに至っては、
タネから花が咲くようになるまでには十年近い歳月を要するとも聞くし、
更にはその後、何十年にもわたって咲き続けるということだから、
へたをしたら他の草木以上に長命と言えるかもしれない。
国内原産に限って、もう少し詳しく種名をあげると

【キンポウゲ科】
イチリンソウ属 Anemone 
 キクザキイチリンソウ(キクザキイチゲ)、アズマイチゲ、エゾイチゲ、
 ユキワリイチゲ、イチリンソウ、ニリンソウなど

フクジュソウ属 Adonis 
 フクジュソウ、ミチノクフクジュソウ、キタミフクジュソウ
セツブンソウ属 Shibateranthis セツブンソウ
【ケシ科】
キケマン属 Corydalis
 エゾエンゴサク、ヤマエンゴサク、ジロボウエンゴサク、ミチノクエンゴサク、
   ※ミヤマキケマン、※エゾキケマンなど
※は私が勝手にスプエフェと思い込んでいるもの)
【セリ科】
セントウソウ属 Chamaele セントウソウ
【ナス科】
ハシリドコロ属 Scopolia ハシリドコロ
【レンプクソウ科】
レンプクソウ属 Adoxa レンプクソウ
【旧ユリ科】
カタクリ属 Erythroniun カタクリ
アマナ属 Tulipa
 アマナ、ヒロハノアマナ(いずれも秋田には無い)
キバナノアマナ属 Gagea キバナノアマナ
バイモ属 Fritillaria
 コシノコバイモ、カイコバイモ、ミノコバイモ、ホソバナコバイモ、
 イズモコバイモ、アワコバイモなど(いずれも秋田には無い)

ネギ属 Allium ヒメニラ


なお春の山野を歩くと、スプエフェと同じ場所に他にもいろんな草花が咲いている。

秋田ならば、エンレイソウの仲間やスミレサイシン、オオバキスミレなどのスミレ類、
ミヤマカタバミ、少し遅れてキバナイカリソウ、シラネアオイ、

もっと早い時期なら、ミスミソウ(園芸名「雪割草」)やオウレン、ショウジョウバカマなど。
これらの植物は、花が終わってもしばらくの間、地上部分(葉や茎、実)
が残る(秋まで、或いは越冬するものもある)。

従って、その地上部生涯はけっしてはかないものではないが、
スプエフェと同じ時期に一緒に咲き、可憐な姿で我々の眼を愉しませてくれるので、
スプリング・エフェメラルと一緒くたに扱われることもある。
ライフサイクル上ではスプエフェとは言いがたいが、
同時期に隣近所に咲く花たちも少し紹介してみる。

西和賀町にて。



林の中に黄色い花の咲くとても小さな木を見つけた。
低木の名はナニワズだ。




ナニワズ Daphne pseudo-mezereum subsp. jezoensis はジンチョウゲ科の落葉低木。
西日本に多いオニシバリ(ナツボウズ) Daphne pseudo-mezereum に近縁で、
夏に落葉する性質がある。
花はナニワズの方がより鮮やかで目立つ。

次いでスミレの仲間。
オオバキスミレは豪雪地帯の雪崩斜面などに単品で大群生する。
かと思うとカタクリやシラネアオイとパラパラ混生することもある。




スミレサイシンは
国内原産スミレとしては最大級の花を咲かせる。
サイシンとは、ウスバサイシンに葉の形が似ているためと聞く。

スミレサイシン。西和賀町にて。
 

                                          下手前がウスバサイシン 。西和賀町にて。



なおウスバサイシンは、ウマノスズクサ科。現在はトウゴクサイシンとされる。

早春、地面すれすれに地味なつぼ型の花を咲かせ、ヒメギフチョウの食草にもなっている。

次は、地味な花なので、見つけられかどうか。
キクザキやカタクリの間にエンレイソウが咲いているのだが、お分かりかな。

西和賀町にて。



エンレイソウは花の終わった後もなかなか枯れないのでスプエフェとは言い難い。  


エンレイソウ
 
                                                 ニリンソウ



ニリンソウの開花時期はやや遅め。
他のスプエフェとはあまり混じらず、
林地や渓流沿いに単一群落を作りたがる。
意外かもしれないが、猛毒植物のハシリドコロもスプエフェだ。

ハシリドコロとニリンソウ。能代市にて。



 (´π`;)なんか綺麗なお花畑というテーマからはだいぶ乖離して来た。
そろそろ中締めとしよう。

スプエフェを育んだ雑木林も(低地では)
ゴールデンウィークあたりを境に新緑が展葉し、
林床は薄暗くなってくる。
他の下草たちも負けずと生育してくる。

そうなるとスプエフェ達は急速に店じまいする
(急いで実をつけ、わずか一ニヶ月後には葉も茎も地下に収納してしまう)。

以上。

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スプリング・エフェメラルの花筵・前編

2023年03月28日 | 野草/春

(本記事は自ホームページの旧記事をブログ用にリメイクしたものである。)

花は一輪でも美しいものだが、いっぱい集まって咲いてたら、
更に美しく、愉しい気分になってしまう。

日本の自然界で見られる花の集団、しかも綺麗なものとなれば、
高山のお花畑が浮かぶが、

私のように時間や体力の無い者はなかなか見に行けるものではない。
もっと身近なところで見られるお花畑は無いだろうか。

実は・・・( ̄π ̄;有るのだ。
場所は意外にも人里に近い低山。雑木林の下や沢筋などに特定の季節にだけ現れる。
その規模は北国や雪国に行くほど大きくなり、個々の花も元気に咲く傾向がある。
お花畑の出来る時期は、雪が融けて数日後から桜の咲く頃までの約半月間。
この限られた期間に、あっという間に芽を出し、葉を広げるよりも素早くよく目立つ花を一斉に咲かせる。
だから綺麗なお花畑が突然現れたように感じるのだが、
花が終わると、後から生えてきた丈の高い草や木に覆われてしまい、変哲の無い草藪になってしまう。
この花達の多くは花が終わるとすぐに実をつけ、わずか一ニヶ月後には葉も茎も融けてしまう。
斯様な慌しい人生(?)を繰り返す一群の植物を、
スプリング・エフェメラル Spring ephemeral(春の妖精 or 蜻蛉、春植物)と言う。

キクザキイチゲとカタクリ。西和賀町にて。



スプエフェ(スプリング・エフェメラルの略)の代表と言えば、
誰もがカタクリの名を挙げるが、

秋田や岩手のような北国では、カタクリと並んで、
或いはそれ以上にキクザキイチゲ(キンポウゲ科)の姿を見かける。
花色は白と薄青紫の2タイプあり、
場所によっては、混生したり、花筵を敷いたように群生したりと、なかなかみごとなものである。

キクザキイチゲ。西和賀町にて。
   



色違いは園芸植物では当たり前のことだが、野生植物では珍しい。
カタクリとキクザキイチゲがほどよく混じっている花筵シーンをいくつか。




西和賀町にて。



東成瀬村にて。



西和賀町にて。



エンレイソウやエゾエンゴサクも少し混じっている。西和賀町にて。



こんな綺麗な花筵の中で、おにぎりを食べたらさぞかし美味しいだろなと思う。
しかし座るときは、( ̄π ̄;要注意。
冬眠から覚めたニョロニョロが彼方此方で日向ぼっこをしている。




そろそろカタクリに焦点をあててみよう。
この林はボランテアが定期的に笹刈りをしている。

西和賀町にて。



次のカタクリ群生地は水田に面しており、やはり定期的に草刈しているようだ。
カタクリの群生を維持するにはある程度、人手が必要と見た。

鳥海山麓にて。






カタクリは単品、クローズアップでも十分絵になる。

白花タイプ。西和賀町にて。
   

                                           花被の「蜜標」が見える。西和賀町にて。


カタクリの群生と言えば、仙北市西木地区が有名だ。

仙北市西木のカタクリ園にて。






このカタクリ群生地はクリの栽培地。
立派なクリを育てようと笹や下草を刈り、堆肥を与えていたら、

いつのまにかカタクリが増えて花筵になったと聞く。
したがって、この地のカタクリ群生は完璧に人為的なものと言える。




西和賀(岩手県)にもそういう場所がある。

西和賀町にて。



カタクリは圧倒的な群生も素晴らしいが、疎らに楚々と咲く姿もいいものだ。

西和賀町にて。



後編」へ続く。

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