(本頁は「盛夏の三ツ石山には何が咲く。前編」の続きです。)
今日はこれから八幡平の大深岳方面に向かって稜線を歩いてみる。
歩くにつれ、最初に登るピーク、覘標(てんぴょう)ノ台がせり出して来る。
その手前の三ツ沼。このあたりも景色のいいところだ。
覘標(てんぴょう)ノ台に向かう。
三ツ沼と覘標(てんぴょう)ノ台
三ツ沼をもう一枚
途中にある樹木のゲート 覘標(てんぴょう)ノ台山頂から三ツ石山を望む。
覘標(てんぴょう)ノ台は小さなピークだが、眺めはとても好い。
見える山は三ツ石山と共通だが、強いて探すとひとつだけ違いがある。
鳥海山は三ツ石山からは乳頭山が邪魔して見えないが、覘標(てんぴょう)ノ台まで来ると見えて来る。
それは秋田駒、乳頭山の重なりの右奥に見える。
二つ目のピーク、小もっこ山は三ツ石山よりも1m高く、1467mだ。
山頂から見る大深岳は近いせいもあって迫力十分。
小もっこ山山頂
小もっこ山山頂から焼山を望む。
今回はここから150mくらい降下して、大深岳との鞍部まで行ってみた。格別珍しいものはなかった。
なお帰りの登り返しはしんどかった。
大深岳のジグザグ登山道 大深岳との鞍部から見たジグザグ道。
大深岳との鞍部から見た岩手山
ジグザグ道の登り口でシラネアオイの残花に遭遇。オオバキスミレも残っていた。
この場所は雪解けが遅かったのだろう。
鞍部から小もっこ山を望む。これから登り返しだ。
先に三ツ石山は花が少なかったと書いたが、
これは山稜の多くが落葉広葉樹の低木やササにびっしりと覆われているからだ。
こうなるといわゆる高山のお花畑は成立困難なので、花の種類・量ともに貧弱にならざるを得ない。
ただしこのことは秋の紅葉時には有利だ。
三ツ石山の紅葉がみごとなのはこれら落葉広葉樹の低木密林のたまものだ。
同じく紅葉の名山として知られる栗駒山も同じような状況だった。
なお三ツ石山と覘標(てんぴょう)ノ台山頂部の露岩地帯、小もっこ山の西面には少数だが、高山性の種類が生えていた。
イワウメやコメバツガザクラ、ミヤマキンバイ、ホソバイワベンケイの花は終わっていたが、
ミヤマダイコンソウの花はまだ少し残っていた。他にはウスユキソウ、オノエラン、ミヤマリンドウなども見かけた。
ミヤマダイコンソウ ホソバイワベンケイ
ウスユキソウ
オノエラン ミヤマリンドウ
帰り道は三ツ石山や岩手山を眺めながら。
小もっこ山山頂より三ツ石山方面を望む。
覘標(てんぴょう)ノ台から三ツ石山方面を望む。
枯れたアオモリトドマツと岩手山
三ツ石山が近づいて来た。
三ツ石山山頂にもう一度登ってみる。
朝、登頂した時は先行登山者が山頂の石積みを枕に朝寝していてどいてくれなかったのだが、
昼過ぎの下山時、再度登った時はおばあさんたちがすぐどいてくれたのでゆっくり写せた。
バックは森吉山。
バックは八幡平。
小もっこ山まで行くだけならば、けっして難儀な山行きではないが、今回は消耗した。
理由のひとつは気温。盛岡市で35℃、1400mの稜線上でもけっこう暑かった。
更に今回は小もっこ山の山頂で止せばいいのにさらに大深岳鞍部まで降下してしまった。帰りは同じところを登り返した。
このおかげか、帰りはばててしまい、いつもより休みが多くなった。
最後に休んだのは、滝上温泉への分岐点より少し上の岩の多い斜面。ここは森林が一旦途切れ、南側の山の眺めがとても良い場所だ。
こんなによく見える日もそうないだろうとじっくり休んでしまった。
滝上温泉への分岐点より少し上の斜面からの眺め
奥産道の下りは見通しも効かず、退屈なところだが、
一か所だけ烏帽子岳(乳頭山)が正面に槍ヶ岳のような姿で見えるポイントがある。
道の両側には割と花が多く、今回はオニシモツケやトリアシショウマなどが咲いていた。
もう少し立つとクロバナヒキオコシやヨツバヒヨドリなども加わることだろう。
槍ヶ岳のように見える烏帽子岳(乳頭山) オニシモツケ
以上。
岩手の三ツ石山は紅葉が人気のお山だが、夏はどうなんだろうか。
ほとんど情報が無かったので自身で確認すべく、訪ねてみた。
7月18日は早朝から素晴らしい晴天だった。
まずは登山前に見た岩手の山々。なお肝心の三ツ石山は雫石側からはほとんど見えない。
雫石から岩手山を望む。
網張温泉を過ぎたところから。
乳頭山方面を望む。
南の志和三山を望む。
早池峰山を望む。
今回の非合法マップ
車止め(標高約1000m)のゲートから奥産道の舗装道路を40分ほど歩く。
奥産道の舗装道路 ここから登山道
奥産道の道端は、6月に来た時、山菜取りの人でいっぱいだった(こちら参照)。
登山口から一時間くらい(コースタイムは45分)登山道を歩くと三ツ石山荘のある湿原に到着する。
ここで実質初めて三ツ石山が見えて来る。山頂は1466m、湿原は1281mなので標高差は185m、
すぐに登り切ってしまいそうだが、暑いのでのんびり登ったら、一時間たっぷりかかった。
三ツ石湿原から三ツ石山を望む。
花の終わったコバイケイソウ
三ツ石山に咲く花だが、結論を申しあげると、種類も量も少なかった。
目立つ花はニッコウキスゲがパラパラ咲いている程度で、
他はハクサンボウフウやモミジカラマツ、マルバシモツケ、ニガナの仲間など地味な花ばかりだった。
カラマツソウやハクサンチドリはほぼ終了。
東北の山に多いハクサンシャジンも見当たらず、ハクサンフウロ、クルマユリも咲き出したばかりでまだ疎らだった。
ニッコウキスゲがパラパラと。
ニッコウキスゲとハクサンボウフウ
サンカヨウの実 モミジカラマツ
ハクサンフウロ クルマユリ
ハクサンフウロにたかる奇麗な緑のカミキリ似の昆虫は何だろう。後で詳しい御方から、アオハムシダマシだろうと教えていただく。
三ツ石山は花こそ少なかったが、山頂からの展望は素晴らしかった。
個人的には北側、八幡平方面の眺めが好きだ。
山の上にこんなに広く平らな場所があるとは驚きだ。
岩をどけた北側、八幡平方面の眺め。後ろの山は大深岳と源太ヶ岳の連なり。
後ろの山は源太ヶ岳と東の連なり。そのバックに八幡平茶臼岳から前森山の連なり。
三ツ石山頂からは八幡平方面以外の眺めも素晴らしい。
今日は岩手山もくっきりと見えた。早朝、雫石から見た姿とはだいぶ違う。
反対側には遠いが、森吉山の眺めもいい。
岩手山
秋には岩手山の前面がこのように真っ赤になる。2019年9月26日に撮った写真を挿入。
西側、森吉山方面の眺め。
西側、グレートフラット大白森と手前に秘境・栗木ヶ原湿原。
南側の眺め。笊森山(左)と乳頭山の間から秋田駒ヶ岳。
南側、三角山の眺め。手前、崖の陰に千沼ヶ原が隠れている。奥の方には和賀山塊。
「後編」へ続く。
(本頁は「初夏の三ツ石山はどうなってる。前編。」の続きです。)
三ツ石山(1466m)に登ると、いつも峰続きの小もっこ山(1467m)まで足を延ばしている。
秋は素晴らしい紅葉の稜線歩きとなるが、初夏はどうだろう。
結論を言えば、花は少なかった。しかし眺めはやはり好かった。まずは行きの眺めから。
三ツ石山から小もっこ山方面を望む。
今回の非合法マップ
覘標ノ台と小もっこ山
三ツ石山と覘標ノ台の間には、この山域で最も平坦な稜線?が続く。その中間に三ツ沼の湿原がある。
三ツ沼
覘標ノ台に登る途中の坂道でパーゴラのような樹林の切れ目を見つけた。
ほどなくして覘標ノ台の山頂。
小もっこ山山頂にもあっけなく到着。
小もっこ山山頂。奥の山は八幡平焼山。
八幡平の南端、大深岳が目の前に大きく立ちはだかっている。
なお大深岳に登るには約130m降下し、電光のようなジグザグの急坂を登らなければないが、
今回はピストンなので、ここで終点とする。
八幡平の南端、大深岳
帰り道。
三ツ石山と覘標ノ台(右手前)を望む。
岩手山をアップで。
枯れたアオモリトドマツと岩手山
三ツ沼から三ツ石山を望む。
三ツ石山山頂から小もっこ山までの稜線は季節的なものもあるだろうが、花は種類も量も少なかった。
山頂の岩場ではコメバツガザクラが咲いていた。イワウメも少し有ったが、花付きはよくなかった。
コメバツガザクラ
ミヤマキンバイ
コヨウラクツツジ
ベニバナイチゴは下向きに咲くことが多い。今回は誰も居ないので、登山道に寝転んでほぼ真下から撮ってみた。
ベニバナイチゴ
コミヤマカタバミ
何故かヒメイチゲだけはやたらと多かった。
ヒメイチゲ
この地味なスミレは・・・
ウスバスミレ
ミヤマダイコンソウは今日(7日)初めて開花したようだ。キバナノコマノツメも咲き出したばかり。
ミヤマダイコンソウ
キバナノコマノツメ
三ツ石山山頂にまた戻ったら、秋田駒からやっと雲が取れた。
振り返ると、西に森吉山もよく見えるようになっていた。
この日は鳥海山は見えなかったが、最後に見た森吉山の姿は緩やかな鳥海山のようだった。
遠く森吉山。手前左は曲崎山(1334m)、右は倉沢山(1300m)。
この後は岩手山を眺めながら下山する。左側のカーブが滑らかできれいだ。
最後に滝ノ上温泉分岐手前の眺めのいい斜面から。笊森山、乳頭山方面を望む。
奥に秋田駒の男女岳が少し頭を出していた。
以上。
三ツ石山と言えば、近年は紅葉で人気爆発中。
シーズンに行ったら駐車場はパンク、山頂まで登山者の行列が出来るほどの人気のお山だが、
(´π`;)ワタシは秋以外の季節には行ったことがなかった。
2017/09/25 三ツ石山山頂付近
初夏はどうなってるのか興味があったので、6月2日に行ってみたところ、
(T_T)網張温泉を過ぎてまもなくのところでゲートが閉っていた(この日は真昼岳に変更。⇒ こちら)。
道路が凍結する怖れがあるとか冬季通行止めの最中で開門は6月5日以降とのこと。
今回の非合法マップ
満を持して6月7日に再挑戦。今回はスムーズに奥まで入れた。
ところが朝7時15分、奥産道のゲート前に着いてビックリ。駐車場の空きスペースはなんと一台分しかなかった。
こんな時期にも三ツ石は登山者が多いんだ、凄い山だなと思いつつ、歩き出したら・・・
奥産道のゲートはいつも物々しい。「バイク進入禁止」のところにある狭い通路(「乙」の字のようになっている)を入って行く。
その先の奥産道は舗装道路が延々と続く。
笹薮のあちこちから鈴の音やラジオ、人の会話が聞こえ、更にはサイレンや爆竹まで鳴って仰天。
東北の山、特にブナ帯では常にクマさんに怯えながら歩いているが、ここでは心配無用だった。
舗装道路のあちこちに組み立て式の台車のようなものやショッピング・カートまで有った。
このカートなどは、あの狭いゲートからどうやって入れたのか。
これすべて山菜取りの皆さんの持ち物だ。ここの山菜取りの皆さんはかなり本格的で頭脳的だと思った。
約40分間、舗装道路を歩くと奥産道の終点。ここから登山道が始まる。
ノビネチドリ
登山道
なお奥産道が終わり、登山道に入ったら、誰も居なかった。
この日、三ツ石山の山頂にはもちろん一番乗りだった。
その後、昼近くなったら、山の上で二十人くらいの登山者と交叉したが、下山して更にまたビックリ。
駐車場を埋めていた何十台ものクルマは蒸発し、柿の種号一台しか残ってなかった。
山菜取りの皆さんは夜の暗いうちに入山し、夜明けと同時に採取スタート、午前中のうちに片をつけて下山するようだ。
三ツ石山は秋は紅葉の山だが、初夏は山菜取りの山なんだと思い知った。
本格的な登山道に入ったら、山菜取りの方はもちろん、登山者も誰も居なかった。
ブナ林、続くダケカンバと低木林の急坂を登ると、
アオモリトドマツが多い緩斜面に変わり、ほどなく三ツ石山荘に到着した。
廻りの湿原にはミズバショウが咲き残っていた。
途中のアオモリトドマツ林
タケシマラン
ミズバショウ
三ツ石山荘には誰も居らず、近くの木道の上にはでかいガマガエルが。下の方は20センチくらいあったかな。
詳しい方の話では交尾(抱接)中のアズマヒキガエルで下がメスで上がオスとのこと。
三ツ石山荘から先はすぐに森林が途切れ、三ツ石山本体への登りになる。
上の方で傾斜のきつい雪渓が現れた。ツボ足では困難と判断、アイゼンを装着。
登り詰めた先でアイゼンの脱着に手間取ったが、9時半頃、山頂に到着した。
北半分はよく晴れて、広大な眺めが広がっていた。後ろを振り返ると、岩手山からも雲が取れていた。
山頂直前の雪渓
山頂から岩手山
山頂から八幡平方面を望む。
花は思ったよりも少なかったが、三ツ石山荘から三ツ石山本体の登りに差し掛かる付近には多かった。
ただし純然たる高山植物ではなく、シラネアオイやサンカヨウ、オオバキスミレなど低山にあるものばかりで、
キクザキイチゲもまだ咲き残っていた。
シラネアオイ
サンカヨウ
サンカヨウの半透け
シラネアオイとサンカヨウのコンビネーション
オオバキスミレ
キクザキイチゲ
オクエゾサイシン
イワナシも少し。
「後編」へ続く。
(本記事は自ホームページの旧記事をブログ用にリメイク、2020年2月1日に初回アップしたものの再アップです。)
9月26日は岩手の三ツ石山に行き、本州で一番早い紅葉を満喫して来た。
この山の紅葉はこれで三度目。
今までのうちでは、一番真っ盛り、ジャストの日に巡り合ったようだ。
しかも天気も最高だった。
本来ならば、登山口から山頂に至るプロセスも報告するところだが、
既に2017年(作成中)、2018年(こちら)と二年続けて報告しているので今回は省略、
いきなり山頂、五方向の紅葉から始めようと思う。
真東、岩手山方面。
北西、八幡平森吉山方面。
南西、乳頭山秋田駒ヶ岳方面。
真南の紅葉
南東、雫石盆地方面。遠くに早池峰山が見えた。
山頂には7時半頃、到着。その頃には人も疎らだった。
その後、小畚山まで往復し、昼12時頃に立ち寄った時は人で溢れかえっていた。
多くの皆さんは三ツ石山山頂で引き返すようだが、折角来たのに勿体ない。
峰続きの三ツ沼や覘標ノ台(1448m)、小畚山(1467m)まで足を伸ばせば、
更に素晴らしい景色や紅葉が愉しめたものをといつも思う。
三ツ沼に向かう。奥に見えるのは覘標ノ台(1448m)。
森吉山方面の眺め。
途中の紅葉。
三ツ沼
ハイマツの緑とのコントラストが素晴らしい。
早池峰山
秋田駒ヶ岳と乳頭山との重なり。右奥に鳥海山。
小畚山からの帰り道。奥に見えるのは三ツ石山。
途中の紅葉。
途中の紅葉。
草木の紅葉、残り花をクローズアップで。
ミヤマダイコンソウとホソバイワベンケイの草紅葉
ウスユキソウの枯れ花
ウラジロハナヒリノキのシックな紅葉
オオバスノキ?の逆光紅葉
コメバツガザクラの二度咲き?
マイヅルソウの実姿
白っぽいリンドウ(エゾオヤマリンドウ)の残り花
サワアザミの白花(奥産道の道端にて)。
最後に二枚。
三ツ石山山頂から岩手山(午後撮影)。
こちらは朝5時頃の奥産道登山口の様子。
奥産道(奥地等産業開発道路)登山口付近。
岩手在住のHさん(fb友)から、
現在、奥産道登山口付近では地熱発電所の建設工事が始まっており、駐車場がとても狭くなっていると聞いた。
そのため、今回は秋田市自宅を未明に出発し、登山口には5時丁度に着いたが、既に二台止まっていた。
そして出発開始の5時半には満杯になってしまった。
下山時には路駐が延々1キロくらいにわたっていた。平日でもこんな状況だから、
紅葉シーズンに三ツ石山に来るのは至難の状況になりつつある。
以上。