カジュアル・アミーガ         本ブログの動画、写真及び文章の無断転載と使用を禁じます。

ある日カッパ姉ちゃんとカメラおじさんの家に一匹の子犬がやってきた。
日々のうつろいの発見と冒険を胸に生きていこう!

こちら、自由が丘ペット探偵局-12-

2008年05月30日 | 投稿連載
  こちら、自由が丘ペット探偵局 作者 古海めぐみ
      12
 ちょうどその頃。犬飼健太は、多摩川署で長い長い事情徴収を受けていた。
迷子犬ナナを探して玉川堤から尾山台まで犬道を辿って捜索していて、
大手商社の社宅団地の私有地に入り込んでそこの住人から警察に通報された
のが健太の不覚だった。
いつもなら自転車に乗ったお巡りさんが来て二言三言聞かれて終わりなのだが、
今回はどういうものか、迷子のペットを探していると言ってもなかなか解放
してくれず、とうとうパトカーが来て多摩川署まで連れて行かれてしまった。
捜索道具の地図やチラシやドッグフードなどをリュックから出して見せても
納得してもらえない。そのうちどうも今日は帰して貰えるのかどうか怪しくなって、
警視庁から別の刑事がくるまで小部屋で待たされるハメになった。
さすがの健太もこれは、何か別の事件の容疑がかかって疑われている
と思い直してきた。
夕方になって福田という若いサーファーみたいに色の黒い刑事が部屋に入って来た。
「いや、すいませんね。お引止めさせて。」
「ナンなんですか。これ。指紋までとられて。不法侵入って言っても管理人が
いなかったんで敷地の植え込みの犬道を見てただけです。」
「申し訳ないです。すぐ済みますから。ニュースなどでもうご存知だと思い
ますが、ちょっと昨日連続傷害事件がありましてね・・」
「何?それ。」
「昨日の九時ごろどうされていました?」
「だから、ぼくは、ペット探偵で依頼犬を探していたっつうて言っているでしょ。」
「どこで?」
「へーと、多摩川から等々力へ抜けていた頃かな。」
「歩いて?」
「ええ。・・・・ナンですか?その連続傷害事件って・・・」
「昨日等々力と二子玉川で二人の女のひとが男に襲われましてね。」
「それで、オレがやったっつうの?それを」
「いや、いや、そうじゃなくて、ただ参考に聞いているだけです。気を悪く
されたらごめんなさい。」
「こうしてこんな警察にいる間も迷子の犬を探している人は、必死なんだ。
迷子さがしは、最初の一日二日が勝負なんだよ。オレはそんな飼い主のつらさ
を解消するために働いて、お金を貰って生活してんだ。ふざけるな。」
健太は、顔を真っ赤にして捲し立てるとテーブルをドンと叩いた。
一瞬、取調室が凍りついた。
しかし福田刑事は、まったく表情ひとつ変えず静かに椅子の背もたれに深く
座り直した。
「ごめんなさいね。ご商売の邪魔をいたしまして。どうぞ、もう済みました。
お帰りになられて結構です。有難うございました。」
「ああ、帰るよ。帰りますよ。」
健太は、福田の方には目も向けずさっさとドアを開けて廊下へ出て行った。
「あのー、犬飼さん。ひとつだけ教えてください。」
健太は、面倒臭いそうにふりかえて、はいとため息まじりに返事した。
「犬飼さんの血液型を教えていただければ。」
「オヒトヨシのO型でーす。」
「今日は、本当にご協力有難うござました。」
無表情に福田は、言って頭をさげた。

 健太の怒りは、次の日自由が丘デパートで春からバール男のことを聞いて
ますます沸点を超えてしまった。
健太の腹の虫が煮えくり返ったときは、プリプリ大声を出したりした後に
最後は、屋上の探偵事務所に行ってひとり不貞寝をしてしまうのが常で、
これは子供の頃から変わってない習慣みたいなものだった。
ただ春から迷子犬ナナを見たという情報をもらったことが何よりの慰めになった。
事務所の窓外に結わいつけたハンモックに寝そべりながら、イエローストーン
時代のオオカミの写真集をパラパラとめくって、そんなバカな、この日本に
オオカミなんか、まさしてやあの、ナナ公がオオカミなんて春も頭がおかし
いんじゃないか、動物かぶれも度を越してるぜ、せっかく可愛い顔してるのに・・
と独り言を呟いた。
するとポケットのケイタイが鳴って、見知らぬ番号からの電話が入った。
「はい。こちら、自由が丘ペット探偵局。」
「あの、佐藤といいます。二日前に自由が丘の写真屋さんであった・・・」
「・・・ああ、あの子犬を亡くした子供のお母さん!」
「はい。佐藤沙織です。あの、お金払いますから子犬を売ったブリーダーの
居場所を突き止めて欲しいんです。」
「はあ・・・でも手がかりがないなあー。」
「お友達が又知らずにあのワンニャン天国堂でプードルを買ってしまったんです。
今度会うので一緒に来ていただきたいんです。」
「まあ、お金貰えるならいいんですけど・・」

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

迷子のポメラニアン、飼い主を探してます。

2008年05月30日 | めんちゃん日記
迷子のポメラニアンをねこ先生の病院で保護しています。
世田谷の日体大の近く、深沢の緑道をうろついていました。
何か情報がありましたら、このブログのメールかコメントで
お知らせ下さい。
1才ぐらいでとってもいい子です。
      
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする