獣医師インディ・ヤスの冒険!

家畜伝染病と格闘する獣医師インディ・ヤスさんのブログです。インディ・ヤスさんはロシア・東欧のオタクでもあります。

わあ、中国は口蹄疫だらけじゃん!

2010-01-25 23:32:10 | 仕事

今日、業務で送ったメールの返信を待っている間、県の獣医師会からメールで送られたファイルを開けて見た。その内容は、日本獣医師会の山根会長名で出された「韓国での口蹄疫の発生について」という連絡である。これも経由されただけで、この情報の発信元は農水省の消費・安全局動物衛生課である。その内容は以下の通り。

 発生場所は、ソウルの北東約30kmにある韓国京畿道抱川(ポチョン)市の酪農農場である。1月2日、民間の獣医師が口蹄疫を疑う症状を示した牛を見つけ、地元の自治体と京畿道の獣医機関(日本の家畜保健衛生所にあたる機関?)に報告した。その地方機関が検査材料を採取し、韓国国立獣医科学検疫院(日本の動物衛生研究所にあたる機関?)に送った。同検疫院ではリアルタイムPCRを実施して口蹄疫ウイルス遺伝子を検出、韓国政府はただちに国際獣疫事務局(OIE)へ口蹄疫発生を報告した。さらに、今回検出された口蹄疫ウイルスは血清型タイプがA型ウイルスとのことである。

 この情報を見て農水省のプレスリリースを調べたところ、1月7日に「韓国で口蹄疫の疑いがある乳牛が確認されたため、韓国からの豚肉の輸入手続きを保留する」という発表をしていた。あら、当県の農政部から連絡はあったかな、と思いながら、また、今回の情報はその後の追加情報であると理解できた。

 県獣医師会から送られたファイルには、さらに2009年1月から2010年1月8日までにOIEに報告された口蹄疫発生事例を地図上に記載して示していた。今回の韓国の発生事例のほかに、中国と台湾での発生事例も記されていたが、中国での発生数が圧倒的であった。中国が東アジアでの口蹄疫の発生元であることは明らかであり、中国がOIEに報告したものも恐らくは氷山の一角であろう。

 今の日本のマスコミは,中国経済の力強さに絶賛しているが、家畜の伝染病への対応は日本、韓国、台湾とは比べ物にならないほど遅れており、しかもその情報を開示したがらない。これは、家畜伝染病のみならず、人の伝染病についても同様である。日本のマスコミは、この事実をもっと正確かつ広く伝えるべきではないかと思う。