久方ぶりに、短歌コーナー。
『葉』の付く短歌を適当に特集します。特集して、読感も適当に書き綴りいたします。
庭の草むしりを終えた 「根絶やし」はドラクエⅣで覚えた言葉(仁尾智)
ひと短歌に「草」「根」「葉」が入っていて木属性のフルコース。
ムシマル世代、ドラクエⅣリアルタイム世代だとすぐピンと来る、ああたぶんデスピサロが人間を憎んでいったんだろうなみたいな共感。
そういうフッとしたことが、関係なさげな草むしり時に出てくるのがありそうでなさそう、っていうか自分には書けない。
統一感と飛躍が両方あって、好き。
宇都宮敦 2009/4/17「四月の連作」 はるのうた
花見じゃなくて葉桜を見に行くのが良いですね。
下の句が上の句と全然つながっていない感じもいい。
「やさしさは上手に怒れる人にまかせて」、自分自身はどうされるのか?
ムシマルは『葉桜の季節に君を想うということ』 (文春文庫) | 歌野 晶午が好きなのでなんか葉桜の時節感が好き。
おんなじ連作の『ぼろきれと見まちがえちゃった野良猫がぼろきれみたいなまんまかわいい』『いくらでも寝れる気がして 誰? とおく洗濯機をまわしてるのは誰?』も、全部呑気な不安があって可愛ゆス。
「花びら地蔵」って、なに?ゆたかになるってどういうこと?みたいな疑問は浮かぶけど、不思議になんとなく映像というかイメージが湧く。
植物っぽいから水を受けて成長するっていうのがなんとなく理にかなっている気がするのだ。
〇〇に〇〇に・・・・〇〇の〇〇の・・・・っていう接続詞の重ね方もなんか植物っぽく説得力が増すのだ。
笹の葉にじかに願いを書いちゃって あの日ぼくらは最強だった
虫武一俊
「最強」っていうところにテンションの盛り上がりというか感じます。
〝笹に書けるんなら、短冊いらなくね、俺賢くね?”みたいな頭悪い頭の良さがありそうですごく情感がある。
腐葉土のように雨の匂いをさせながらしみじみという好きってどんな
葉っぱの『葉』で探しているとこんなワード”腐葉土”でも短歌出てきました。
そう言えば土属性と木属性は分けられたりもするけど、どっちか一個にまとめられてるときもあるよなRPGとかで。
修飾語というか比喩の積み重ねがあってなにか言いたいことがわかるんだかよくわかんないんだかふわっとした感じが腐葉土っぽくていいと思います。どんなか「わかんなさ」が出てるいっぱい出てる。
伝わった手ごたえもなく言の葉を集めて燃やすような告白
一番身近な葉っぱは「言葉」な気がします、今日この頃です。
葉っぱだから、燃える。
「火」属性なのに、
燃え上がるような告白でもなく、炎上するような激しさもなく、なんか敗戦処理みたいな淡々さがあって言葉の使い方にぞくっとします。
きみに告ぐ泳ぐかに枝離れたる一葉のごとき笑顔をつくれ「正岡豊」
「花のような笑顔」ってはよく言われますが、葉っぱみたいな笑顔を作れっていうのは新しいです。レアです。
それも「きみに告ぐ」からはじまって必要以上に形式的。
どういうあれかはわからないけれど、満開の笑顔じゃないことだけわかる。
紅葉が和菓子みたいでおいしそうってそれはまったく逆なんだよきみ(きょうこ・女・33歳)
『短歌ください 君の抜け殻篇』 穂村弘 株式会社KADOKAWA 2016年
途中までは普通のあるある感のある言葉、だからか最後の「~なんだよきみ」の偉そうさが際立つ。
「もみじ饅頭」を先に知って後から本物の紅葉を見たと思料されて、おいおいそんなわけあるかって感じの逆転現象は聞いていて面白いす。
以上、葉っぱ短歌でした。
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