『まんぷく広島』という広島紹介マンガ本があり、その中の一つが舟入町にあると知る。
舟入町は、どちらかというと近所、歩くと遠いがチャリだと近いくらいの感覚。
自転車で行ってみる。
迷いながらたどり着いたのは、通りのちょっと奥にそれたところ。
和風な雰囲気も感じるが、知らなかったら通り過ぎてしまいそうなナチュラル感。
『さかもと屋市兵衛』というお寿司屋さん。
℡082-231-0833
月~土ディナー 17:30~22:30(L.O.21:30)
定休日:日曜日(月曜日もお休みのことあるようす)
http://www.ichibei.com/top.html
入口にランチメニューが飾られている。
コースとかセットとかあるお寿司屋さんだ。
ランチプレートの一番お手頃価格は1,600円「集」。
あと楽とか遊とかで3,800円くらいまで。
あと寿司握りセットは松竹梅で。
どうしよう、入るぜ。
空間を広くとっている。
L字型カウンターがあって、奥のほうに座敷席っぽいのがあるみたい。
座る。
ちょんまげ姿の大将さんがいらっしゃる。
ちょんまげ姿の大将さんがいらっしゃる。
大事なことなので2回言いました。
スタッフさんは(奥さんとか?)奥にいらっしゃるようであるが、握り場には大将一人。
「ようこそいらっしゃい!」あ、ええ声。
舞台役者さんみたいな朗々さがある。
「ランチの集をお願いします」
「ここのはおいしいですよー」と家族連れで来られているL字の向こう、カウンターのあっち側ご婦人が言われる。
「彼女は常連で、サクラです」と大将。
冗句を飛ばすタイプの大将さんだ。
「嫌いなものやアレルギーはありますか?」と聞いてくれる。親切。
して、来る。
こちらをご説明させていただきます。
ガラス容器がナマコ酢のもの、お椀にちょっとずつ入っているのがイカを千枚漬けで巻いたもの、イクラ沖漬け、牡蠣とエリンギオイル漬け。
それから大皿に二貫あるのが手毬寿司。
牡蠣オイル漬け、これは。
うまーい。
牡蠣が、はかばかしい戦果を挙げてうまい。
(日本酒がほしい)これをこのあと何回思うのだろう。
この予感は、残念ながら現実になる。
手毬寿司。
どうも手毬って聞くと、「悪魔の手毬唄」を連想してしまうなー。横溝世代だから!
江戸川世代でもあるし、シャーロキアンだし赤川次郎もちょっと行ったし京極夏彦が高校時代は枕でした。
マグロ赤身と、貝。
(おいしい。ちっちゃいけれど醤油をペタリと刷かれてしっかりと味がする。
「山椒は小粒でもぴりりと辛い」の山椒でも小粒でもなくてピリリでも辛くもないバージョンのようだ)
この時点で、少し不安になっている。
お寿司屋さん、それもムシマルが行ったことある中では高級店の類に位置するであろうから、プレートコースがどれだけか気にかかる。
(お寿司はひょっとしてこれだけの可能性があったりして・・・・・?)
確か、メニューには「プレート、おすし、茶碗蒸し、お味噌汁、デザート」という項目だった気がする。
もしかしてこれでプレート~おすしまで終わり?
どうなんだろう、でもこのワンプレートで700~800円取られる形でも高級店だとありなのか?
だから、茶碗蒸し300円~400円、お味噌汁200~300円、デザート200円とかで完了という可能性はありうる?
それだとムシマルのお腹が張らないのである。
念のためにそんなに空腹でない状態でここに来た。
考えながら。いただく。
ああ、イカの千枚漬け包みおいしい。
お漬物のポリポリとイカのコリコリが、口の中でシンフォニー的な。あるいはこの即興性はジャズってるのかもしれない。
コリコリに、コリ霧中と化す。
そして、安心してください、寿司ありますよ!
「ここの鯖寿司はおいしいですよおー」と、サクラだと言われた婦人がまたこちらにリコメンド。
サクラではないにせよ、ボランティア広報、応援隊の類かもしれない。
横で聞いていると、ご婦人、お子さまである兄妹、お子妹のさらに娘(ご婦人からすると孫)の4名のよう。
常連さんの夫人が、なんか帰ってきた家族と一緒に外食という感じか-。
いい雰囲気である。
あと、職場のランチなのか接待なのかネクタイ労働の方っぽい集団が奥座敷で食べている様子。
来るかな来るかな、と思っていたお寿司が、来る。
棒寿司シリーズ。
アナゴの白焼き寿司と、鯖寿司。
もぐ。
あ、棒寿司だからなのか、ここのお寿司の特徴なのか、なんかお米がぎっしりしている。密度に圧倒。
で、そのご飯圧力に負けないくらいのサバの沁みたお味。
きゅうーーってなる。
身体のどっかが。もしかしたら心のどっかが。
アナゴも、アナゴのほうはどちらかというと細工というか味付けは抑えめ?
それでも強いアナゴは弾力だけで十分泣ける。
完食。
ううん、お茶が地味に旨い。
そういえば、食器がお寿司屋さんでよく見る下駄みたいなまな板じゃないんだなーと思う。
固そうな渋めの器。
これが茶会であれば、まずムシマルは器からきっと誉めたであろう。
そしてお寿司をくるくる回して、「一人回転ずしです、結構なお点前ですね」といい顰蹙を買ったであろう。
お茶会でなくて本当に良かった。
寿司ゾーンに入ったらしい。
といっても、ムシマルが集中力の扉を開けたわけでない。ムシマルに勝てるのはムシマルだけだと傲慢気になるわけでもない。
握り寿司を!
目の前で作ってくれる。置いてくれる。
ぱくり。
しっかりした味。やはりごはんに密度を感じる。
密封旨み。
そしてこちらは、バーナーで炙られた後の反り返った後の身。
うまい!
料理ができていく工程を曇りなきマナコで捉えながら、できたちを曇りなき耳の穴でなんやらの説明を聞きながら食べるとなんだか贅沢な何かだ。
多分だけど、22世紀にはこういう直接コミュニケーションが少数になるもしくは貴重になるのではないか。
こう、なんかカプセルをぱくりで全てが足るような世界が近づいてきそうである。
その中で、このオンデマンドでアズスーンアズでしーゆーあげいんな感じあいいですな。
うまいなーと思っていたら茶碗蒸しが来る。
茶碗蒸しの中でも、お寿司屋さんでいただく茶碗蒸しはなんだか特別だ。
そんな気がする。
ごちそうだ。
蕎麦屋さんでいただくカツ丼とおんなじくらいである。
味噌汁もおいしい。熱量がこのタイミング、うれしい。
「茶碗蒸しは日本人みんな好きだねー」みたいな話を常連さんと大将さんがされている。
お味噌汁。
あ、なんだか満足感がアップしてきたぞ。
そういえば、時間もなんだかんだで1時間超。
貝もうまし。
その後、卵焼き寿司とか何貫かいただく。がっしりとお腹にはまっていく。
大将の対象の対照な軽妙なトークは続く。
デザートがあります。
お茶と、お芋のアイス。ケーキ。
寿司飯の酢飯をさっぱりと流し去るような、スポーツって感じの爽やかさ。
最高にハイってやつだ。
おいしゅうございました。
お酒が呑みたいです。吞みます次は。
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