摂食障害
危険な徴候
摂食障害は早期に発見すれば予防できたりまたはもっと簡単に治療できます。次のような徴候のある人は摂食障害になるかもう既になっています。
神経性無食症
短期間に著名な体重減少
やせ細ってもまだダイエットをする
ダイエットの目標体重に達してもまた新たな目標を作りダイエットを続ける
体重減少の目標に達しても自分の容貌に満足せず、肥えていると訴える
ダイエットグループから孤立して一人だけでダイエットをする事を好む
月々の生理がなくなる
食物に異常な興味を持つようになる
奇異な食行動の儀式化や少量の食物を食べる、たとえば、食物を小さく切り刻んだり、非常に小さな食物を食べる前にすべてその重量を測定する
隠れ喰いを始める
強迫的に運動をする
憂うつな状態が多くなる
むちゃ喰いをし下剤を使う
大食症
むちゃ喰いを繰り返す(短時間に大量の食物をとる)
食物のからだからの排泄を繰り返す(無理矢理の嘔吐、下剤や利尿剤の使用)
ダイエットや運動ををしばしばするが体重は変わらないか増える
隠れ喰いをする
一気に大量に食べるが体重は増加しない
嘔吐をするために長い時間バスルームにはいる
薬物やアルコールの乱用がみられ、盗みを繰り返すこともある
憂うつな状態が多くなる
甲状腺が大きくなっていることがある
無理矢理の嘔吐のために手の甲に傷跡がある
危険なダイエット
ダイエットは危険な流行です。健康のために医者の管理下にダイエットをしなければならない人もありますが、若い人がスタイルがよくなりたいためにするダイエットは不健康であるばかりか時には命の危険を伴うことがあります。ダイエットは2つの摂食障害’神経性無食欲症と大食症’の発症に大きな役割をはたします。十代の女性と女子大学生は特に危険です。摂食障害になる人の90%以上は若い女性です。
神経性無食症
幸恵は16歳の時に神経性無食症になった。彼女は内気な努力家であり、誰にでも気に入られようと精いっぱいやっていた。しかし、彼女は特に男の子とはなかなかなじめなかった。幸恵は父から10ポンド痩せなかったら男の子とはデートなんかできないよと冗談で言われてから、執ようにダイエットを始めた。彼女はついには強制収容所の捕虜のようにやせ細ってもダイエットをやめようとせず、自分は痩せているとは決して思いませんでした。数ポンドもやせ衰える前に既に生理は止まっていました。無食症がひどくなるに従って食べ物にこだわり変な癖がでてきました。彼女は毎日自分が食べようとするものはすべて台所の秤で重さを計りました。硬いものは細かく切り刻んで、液体は数オンスの単位まで正確に計りました。その食べ物をいくつもの小さな包に分けきちんと1列に並べておいた。彼女は衰弱し疲労が明らかになっても熱心に運動を続けた。階段があるところは絶対にエレベーターに乗らなかった。誰も彼女が危険な状態まできているとは思わなかった。彼女の主治医はしかしついに入院治療を主張した。病院では十分に監視されていたが彼女はまだなおバスルームで何度も座ったり立ったり、膝の屈伸をして運動をした。彼女は数回入院を繰り返し、また外来で長い間個人精神療法と家族精神療法を受けこの問題は解決した。
幸恵のような事例は稀なものではない。神経性無食症では標準の15%以上の体重減少が認められる。無食症の患者は恐ろしいほどの空腹の苦しみに襲われても、自分を飢餓状態にする。まだよく理解されていない理由で、彼らは体重が増えるのを恐れるのです。食物と体重は彼らのこだわりの的になります。無食症の患者は料理の献立表を集め、自分以外の人のためにおいしい食べ物を用意します。幸恵のように、おかしな食習慣が出現し、他人とともに食事をする事を拒み、不快な体重増加を嫌って激しい運動にふける。この病気の最も目だつところは、やせ衰えてしまってもまだ自分は太っていると思い続けることである。女性では生理がなくなり、男性ではインポテンツになる。
大食症
清美は18歳の時大食症になった。幸恵と同じように、ダイエットを始めるようになってから彼女の風変わりな食行動が出現した。彼女も痩せるためにダイエットと運動をした。しかし、幸恵とは違って彼女は周期的に大量の食品をとり、自分で嘔吐することによって体重は正常に保っていた。
清美はしばしばおこりっぽくなる状態と憂うつな状態がかわるがわる生じた。時に、彼女は衝動的に盗みをはたらくこともあった。また、アルコールを飲み過ぎることもあった。彼女はときどき数時間も食べ続けることもあった。
彼女は食べることしか考えなかった。そして、自分でも自分の行動が理解できなかった。物事がうまく行かない時には無性に甘いものが欲しくなった。一度の数ポンドのキャンデイやケーキを気分が悪くなりお腹が痛くなるまで食べ続けた。そして罪悪観と嫌悪観に苛まれ、自分で嘔吐してしまうのであった。
彼女は自分の食行動にたいへん悩んで、それを秘密にしていたが、ついに自殺企図という1つの大きな出来事により明らかになってしまった。幸いにもそれは成功せず、清美は病院で回復した。そして摂食障害クリニックに送られそこで集団療法を受けた。そこで彼女は大食症の人にとってとても重要な理解と援助を受けた。
清美は体から食べ物を排出するために自分で嘔吐をしていたが、下剤や利尿剤を使う大食症の患者もいる。排出のためにどれもこれも使う患者もいる。神経性無食症の患者の約半数は大食をしたり食物を無理に体から排出したりする。このような患者は大食性神経性無食症といわれる。一方、摂食を専ら制限することにより体重をコントロールする患者を制限性無食症者という。
個々の大食症患者は正常体重であるか、または気まぐれ喰いのために正常より肥えていることもある。この気まぐれ喰いは1週間に1~2回の頻度から1日に数回に及ぶことがある。このため、正常体重の大食症患者は何年も病気を隠し通すことができる。無食症と同じように典型的な大食症は思春期に発病する。しかし、多くの患者はその奇妙な食行動を恥じて、30代や40代になっても治療をしようとしない。しかし、この病気の危険なことが世の中に知られるになるにつれて受診する大食症患者は増加している。無食症と同じように、治療が早くなされればなされるほど、回復率はよい。
内科的合併症
摂食障害の患者の約1割が死亡する。飢餓、心不全、自殺などがその原因となっている。
無食欲症の内科的合併症は飢餓により生じる。心臓や脳といった活動の盛んな臓器を守るために、体はギヤーをローにします。生理は止まり、呼吸、脈拍、血圧は低下します。そして甲状腺機能も低下します。爪や髪の毛は脆くなり、皮膚は乾燥し黄色くなり、うぶ毛が生えます。体内の水分のバランスが崩れ便秘がおこり、皮下脂肪の減少により体温が低下し寒さに弱くなる。
軽い貧血、関節の腫れ、筋肉の弱りも無食欲症の症状である。病気が進むと、骨粗しょう症(骨が薄くなる)、不整脈及び心不全が起こる。体重をコントロールするために食物を無理に体内から排出する患者は特に危険である。嘔吐を起こしたりや腸の運動を高めたり、尿の排泄を促進する薬を乱用すると心不全の危険性が高まる。
飢餓とともに抑うつ、全身衰弱および食物に対する強迫観念も生じてくる。人格変化も起こる。攻撃性や怒りの爆発、そして社会からのひきこもりがみられる。そうして、無食欲症患者に特徴的な素直さに慣れていた周囲の人々を驚かす。
気まぐれ喰いや強制的な食物の排出は正常体重の大食症者を危険な状態にします。気まぐれ喰いはまれに胃の破裂を起こします。また強制的な食物の排出は、カリウムのような体液中のミネラル成分を喪失させ心不全を起こします。致死的ではないが重症では、嘔吐するときに胃酸が歯の間を伝わり、嘔吐を引き起こすために喉の奥深くいれた指が押さえつけられ、その結果手の甲に般痕ができる。食道は炎症を起こし、唾液腺が腫れる。月経は不規則になり性的興味を失う。
大食症の患者は自分はある種の食物(とりわけ炭水化物)の餌に引っかかっているので、その習慣に対して餌をやる必要があると述べる。この没頭する傾向は他の分野にも及んでいる。薬やアルコールの乱用、病的盗癖(強迫的盗癖)にまで及ぶ。多くの大食症患者は深刻な欝にかかる。そして衝動的な傾向が加わり、自殺の危険性が増加する。
摂食障害の原因
摂食障害の原因を明らかにするために、性格、家族の背景、環境、無食欲症や大食症患者の生化学的な検査がなされた。よくあることであるが、研究すればするほどこの病気の原因は複雑になってくる。この病気の原因を探る研究の中で最も目を引くのは合併症の研究である。例えば、摂食障害の患者で見つかった生化学的な異常は、その異常な食習慣の結果かこのような病気になる体質的な弱さを示している。このようないろいろな因子が重なって摂食障害になり易い体質ができていくと考えられる。
性格のゆがみ
大食症者と無食欲症者とは性格が違っているようである。大食症にかかる人は無食症者よりも衝動的で、アルコールや薬物の乱用が目だつ。無食欲症者は良いこ過ぎる傾向にある。彼らは従順で、自分の感情をコントロールでき、完全主義で、優等生で、そしてこまめに体を動かす。
しかし、大食症者も無食欲症者も共通して自信と希望がなく、肥えることを極度におそれる(大食症者は気まぐれ喰いの間にダイエットをしきつい運動をする)。両疾患とも不安やストレスに対処していく過程に発生するように見える。大食者はスナックのような食物を大量にとる。これはストレスを和らげ安心感を得るための行動である。しかし気まぐれ喰いは罪悪感とうつ気分をもたらす。そして体内から強制的に食物を出すことによってのみ救われる。
無食欲症者は特に炭水化物を中心とした食餌の制限をし、生活上のいろいろな場面で自分をコントロールしていると考えられる。他人の希望を大部分かなえるように行動してきたので、思春期に特有な問題に対処する方法を知らない。体重をコントロールすることは少なくともはじめのうちだけは2つのプラスの面を提供している。彼女は自分の体重をコントロールすることができることを他人に示し認めさせることができる。しかし、結局は彼女は実はどうにもならないひとであることを気づかせ、生命の危険な状態になるまでやせ細ってしまう。
家族的背景
摂食障害は家族性に発症しているかにみえる。特に女性の血族者に起こりやすい。ある人達だけが摂食障害を起こしやすいという遺伝的な因子があると考えられている。場合によっては模倣行動が原因になる。神経性無食欲症や大食症のある家族とない家族を比較研究され、いくつかの違いが指摘されている。大食症の患者家族間にはには敵意が多く、一方、無食欲症患者家族は子供に対して暖かく支持的で”障害のない家庭”と考えられるが、夫婦間の問題は内在している。無食欲症の子供は自分達の問題に対処し解決していく能力のない家庭の避雷針の役割をはたしているという専門家もいます。しかし科学的にしっかりと基盤を持った研究がなされるまでは家族の問題について一般化したことは何もいえません。
摂食障害はほとんどが中級~上級の家庭に発症しています。明らかに経済的社会的に上級であることが高い危険率と関係しています。国際的な研究でもこのことは明白です。摂食障害は工業先進国に極端に多く、第3世界では実質的にはほとんど有りません。この事実はこの病気の危険率を高める文化的な影響に対する疑問を提起します。貧しい人々の間では痩せていることなどは賛美することでは全くなく、飢餓状態などというものは誰も望む人は有りません。しかし、西洋の美術に描かれている理想的な女性は徐々に細くなっていきました。絵画の中の女性はゆっくりと体重を減らしていきました。画家達が痩身を理想化していったのかまたは時代の流行を追ったのかは定かでは有りません。
生化学:原因か結果か?
婦人の無食欲症の最初の徴候の1つは毎月ある生理がなくなることです。これはホルモンのアンバランスがこの病気に関係していることを示しています。しかし、無月経は明かな体重減少に先立って生じます。摂食障害が先かホルモンのアンバランスが先かは明かではありません。さらに複雑な原因か結果という疑問は、生理はいつもではないがしばしば体重が回復してから出現することです。また無月経は体重の正常な過食症の婦人にも見られます。そして、男性の無食欲症患者では男性ホルモンの減少やインポテンツがみられます。それ故、体重、食習慣、ホルモン産生といった三者間に何らかの関係があり、科学者が挑戦している魅力的で複雑なテーマです。
摂食障害をよりよく理解するために、この病気の生化学的な異常が研究されています。最近では、中枢神経とホルモン系に関係した神経内分泌系に焦点が絞られています。複雑で微妙なバランスのフィードバック系によって神経内分泌系は、性機能、成長、食欲と消化、睡眠、心腎臓系、情動、思考、記憶、言葉を変えていえば心と体を調節している。この病気ではこの調節機構が高度に傷害されている。
ホルモンの産生に大きな役割をはたしている脳内の化学メッセンジャー(神経伝達物質)の研究に多くの科学者が取り組んでいる。神経性無食症でも過食症でもある種の神経伝達物質のレベルが異常であることは驚くことではない。たとえば、セロトニンという神経伝達物質は過食症、気分障害、衝動的行為のある患者では低下している。セロトニン濃度低下は、過食症患者の衝動性、欲うつ症状、および炭水化物のとんだ食品を過食する行動と関係している。問題は摂食障害の引き金になる原因は何かということである。神経伝達の異常なのか、食行動なのか、遺伝子なのか、または環境なのか?神経性無食症患者の脊髄液においては、脳内に自然に存在する麻薬物質であるベーターエンドルフィンや神経伝達物質であるノルエピネフィリンの濃度が低下している。体重が回復してきている神経性無食症の患者でもノルエピフィリンの濃度が低いので、この神経伝達物質の異常は体重の減少に先行しており、おそらく摂食障害の遺伝的素質に関係していると考えられる。他方、同じ様な生化学的異常が神経性無食症患者に特徴的な低炭水化物・高蛋白性の飢餓や同時に存在する欲うつ気分においても見られる。
うつ病と摂食障害の関係についても近年よく研究され始めた。摂食障害の患者はうつ病になっていることが多い。うつ病が摂食障害の引き金になっているのではないかとかんがえる科学者もいる。確かに両者の間には生化学的異常の類似性が高い。セロトニンやノルエピネフィリンの濃度低下がうつ病と関係している。そしてうつ病の薬である抗うつ薬が摂食障害、とくに過食症の患者に効果がある。そして、ストレスに反応して分泌されるホルモンであるコルチゾールが両者で正常者よりも高い。
コルチゾールについての研究がとりわけうつ病で多くなされている。うつ病や摂食障害にみられる過剰なコルチゾールの分泌は視床下部あたりの脳内の機能が関係していることが突き止められている。視床下部は多くの身体機能をコントロールしている。ホルモン分泌、体温、水・電解質バランス、糖・脂肪代謝が調節されている。視床下部の機能と摂食障害の問題は関連していることは容易に理解できる。問題はどちらが原因で結果かである。長期のストレス状態が神経伝達物質やホルモンのアンバランスを引き起こし摂食障害が起こってくると考えられている。
治療
特に体重減少によって摂食障害が疑われたら、第一にすべきことは体重減少を引き起こす他の病気を除外するための徹底的な内科的な検査である。神経性無食症の診断がなされたならばすぐ治療が開始されなければならない。あいにく多くの患者も家族もこの病気をたいへん重篤でも否定する傾向がある。神経性無食症の患者を治療に持ち込むことも治療を継続することもたいへん難しい問題である。
過食症の患者を治療することもたいへん複雑な問題が絡んでいる。無食症の患者より過食症の患者は治療をたやすく受ける傾向にはあるが、症状がすぐよくならないと多くの患者は葛藤に耐える力が弱く治療から離れたがる。
どのような場合にも治療は重要であり早ければ早いほど良いということが強調され過ぎることはない。異常な食行動が長く続けば続くほど、この病気を克服し身体的な影響をなくすることが困難になる。症例により長期の治療が必要となる。
治療者がまずしなければならないことは患者が内科的に危険な状態かどうか入院が必要かどうかを決定することである。大部分の患者は外来治療を受けるが、容態により入院治療の方が安全なことがある。重篤で急速な体重減少、重症の代謝障害、高度のうつ状態または自殺の危険性、頻回な気まぐれ喰いと嘔吐、または精神病の合併は入院の指針となる。
摂食障害では情動的な問題と身体症状の複雑な絡み合いがあり、各分野の専門家による高度な治療が必要となる。理想的には、内科医、栄養学者、個人または集団精神療法家、家族精神療法家、向精神薬の専門家である医師すなわち精神薬理学者が必要である。
内科医が医学的な合併症の治療をし、栄養士がダイエットと食品の内容について相談を受けるとよい。摂食障害の治療はそれに合併する代謝障害によりたいへん難しくなる。最近の研究によれば、一部の無食症患者は低体重の時だけでなく体重を回復してからも過食症患者に比べて体重を保持していくためには30~50%余分にカロリーをとる必要があるということである。他方、過食症患者が同じ体重を維持していくには同じ年齢性の正常対照者の75%のカロリーでよいこともわかっている。このように、同じ体重を維持していくにしても、無食症患者は余分のカロリーが必要であり、過食症患者は少なくてすむ。
次に述べることは摂食障害の患者にとっても治療者にとっても大切なことである。カロリーをとることは無食症患者がまさに避けたいと願うことである。たとえその患者は体重を増加させなければならない状況でもカロリー摂取を避けなければならないと思ってしまうのです。しかし、彼女は正常な生活ができるようになるためには体重を回復しなければならないのです。他方、過食症患者は、同じ体重年齢の普通の人がとっても肥えることはないカロリーで肥えてしまうことを納得できることがおおいようです。
摂食障害の患者の面倒を見ているといろいろな問題に直面します。その問題の底には情緒的な問題が潜んでいることが明らかになります。そして精神療法が必要になります。患者は自分の病気を理解しそれに立ち向かっていくためには、精神科医、心理学者、それとそのほかの種々な精神保険関係者のいろいろな治療を受けて心理的なサポートを受ける必要があります。過食症患者には集団精神療法が有効です。彼らは自分達の気まぐれ喰い行動が自分だけではないことを知りたいへん救われます。グループに参加することによって同じ問題を抱えている人たちを助けたり反対にたすけられたりすることができます。
もし患者の情動的な問題が家庭問題と関わりがあるならば、個人または集団精神療法にさらに家族療法を加えると効果があがる。家族療法家は患者の摂食障害の原因となっていると考えられる家庭状況を理解させ変更することを助長する。
行動療法、個人精神療法、それに家族療法を合わせて行うことが最も効果的である。これはまず体重増加を必要とするやせ衰えた無食症患者の治療には特に効果的です。行動療法家は食行動の変更に治療の焦点を合わせます。それは好ましい行動に対して報償を与えるかまたはそれをモデルとして行動させます。認知・行動療法家は摂食障害と関係があるゆがんだ融通のきかない思考パターンを変更するように治療を進めます。
摂食障害の患者にはしばしばよくうつ状態が伴います。もしこのような状態が有れば、抗うつ薬の投与は効果があります。抑うつ状態がひどくなくても投薬はしばしばおかなわれます。しかし、科学的な対照研究がなされた薬物は多くありません。現在効果が確かめられている薬物は、過食症に対してはデシプラミン、イミプラミン、フェネルジンです。無食症患者に対して効果のある薬物は、アミトリプチリン、抗ヒスタミン剤であるサイプロヘプタジンです。投薬は医師の処方により十分管理されたもとでなければしてはいけません。
危険な徴候
摂食障害は早期に発見すれば予防できたりまたはもっと簡単に治療できます。次のような徴候のある人は摂食障害になるかもう既になっています。
神経性無食症
短期間に著名な体重減少
やせ細ってもまだダイエットをする
ダイエットの目標体重に達してもまた新たな目標を作りダイエットを続ける
体重減少の目標に達しても自分の容貌に満足せず、肥えていると訴える
ダイエットグループから孤立して一人だけでダイエットをする事を好む
月々の生理がなくなる
食物に異常な興味を持つようになる
奇異な食行動の儀式化や少量の食物を食べる、たとえば、食物を小さく切り刻んだり、非常に小さな食物を食べる前にすべてその重量を測定する
隠れ喰いを始める
強迫的に運動をする
憂うつな状態が多くなる
むちゃ喰いをし下剤を使う
大食症
むちゃ喰いを繰り返す(短時間に大量の食物をとる)
食物のからだからの排泄を繰り返す(無理矢理の嘔吐、下剤や利尿剤の使用)
ダイエットや運動ををしばしばするが体重は変わらないか増える
隠れ喰いをする
一気に大量に食べるが体重は増加しない
嘔吐をするために長い時間バスルームにはいる
薬物やアルコールの乱用がみられ、盗みを繰り返すこともある
憂うつな状態が多くなる
甲状腺が大きくなっていることがある
無理矢理の嘔吐のために手の甲に傷跡がある
危険なダイエット
ダイエットは危険な流行です。健康のために医者の管理下にダイエットをしなければならない人もありますが、若い人がスタイルがよくなりたいためにするダイエットは不健康であるばかりか時には命の危険を伴うことがあります。ダイエットは2つの摂食障害’神経性無食欲症と大食症’の発症に大きな役割をはたします。十代の女性と女子大学生は特に危険です。摂食障害になる人の90%以上は若い女性です。
神経性無食症
幸恵は16歳の時に神経性無食症になった。彼女は内気な努力家であり、誰にでも気に入られようと精いっぱいやっていた。しかし、彼女は特に男の子とはなかなかなじめなかった。幸恵は父から10ポンド痩せなかったら男の子とはデートなんかできないよと冗談で言われてから、執ようにダイエットを始めた。彼女はついには強制収容所の捕虜のようにやせ細ってもダイエットをやめようとせず、自分は痩せているとは決して思いませんでした。数ポンドもやせ衰える前に既に生理は止まっていました。無食症がひどくなるに従って食べ物にこだわり変な癖がでてきました。彼女は毎日自分が食べようとするものはすべて台所の秤で重さを計りました。硬いものは細かく切り刻んで、液体は数オンスの単位まで正確に計りました。その食べ物をいくつもの小さな包に分けきちんと1列に並べておいた。彼女は衰弱し疲労が明らかになっても熱心に運動を続けた。階段があるところは絶対にエレベーターに乗らなかった。誰も彼女が危険な状態まできているとは思わなかった。彼女の主治医はしかしついに入院治療を主張した。病院では十分に監視されていたが彼女はまだなおバスルームで何度も座ったり立ったり、膝の屈伸をして運動をした。彼女は数回入院を繰り返し、また外来で長い間個人精神療法と家族精神療法を受けこの問題は解決した。
幸恵のような事例は稀なものではない。神経性無食症では標準の15%以上の体重減少が認められる。無食症の患者は恐ろしいほどの空腹の苦しみに襲われても、自分を飢餓状態にする。まだよく理解されていない理由で、彼らは体重が増えるのを恐れるのです。食物と体重は彼らのこだわりの的になります。無食症の患者は料理の献立表を集め、自分以外の人のためにおいしい食べ物を用意します。幸恵のように、おかしな食習慣が出現し、他人とともに食事をする事を拒み、不快な体重増加を嫌って激しい運動にふける。この病気の最も目だつところは、やせ衰えてしまってもまだ自分は太っていると思い続けることである。女性では生理がなくなり、男性ではインポテンツになる。
大食症
清美は18歳の時大食症になった。幸恵と同じように、ダイエットを始めるようになってから彼女の風変わりな食行動が出現した。彼女も痩せるためにダイエットと運動をした。しかし、幸恵とは違って彼女は周期的に大量の食品をとり、自分で嘔吐することによって体重は正常に保っていた。
清美はしばしばおこりっぽくなる状態と憂うつな状態がかわるがわる生じた。時に、彼女は衝動的に盗みをはたらくこともあった。また、アルコールを飲み過ぎることもあった。彼女はときどき数時間も食べ続けることもあった。
彼女は食べることしか考えなかった。そして、自分でも自分の行動が理解できなかった。物事がうまく行かない時には無性に甘いものが欲しくなった。一度の数ポンドのキャンデイやケーキを気分が悪くなりお腹が痛くなるまで食べ続けた。そして罪悪観と嫌悪観に苛まれ、自分で嘔吐してしまうのであった。
彼女は自分の食行動にたいへん悩んで、それを秘密にしていたが、ついに自殺企図という1つの大きな出来事により明らかになってしまった。幸いにもそれは成功せず、清美は病院で回復した。そして摂食障害クリニックに送られそこで集団療法を受けた。そこで彼女は大食症の人にとってとても重要な理解と援助を受けた。
清美は体から食べ物を排出するために自分で嘔吐をしていたが、下剤や利尿剤を使う大食症の患者もいる。排出のためにどれもこれも使う患者もいる。神経性無食症の患者の約半数は大食をしたり食物を無理に体から排出したりする。このような患者は大食性神経性無食症といわれる。一方、摂食を専ら制限することにより体重をコントロールする患者を制限性無食症者という。
個々の大食症患者は正常体重であるか、または気まぐれ喰いのために正常より肥えていることもある。この気まぐれ喰いは1週間に1~2回の頻度から1日に数回に及ぶことがある。このため、正常体重の大食症患者は何年も病気を隠し通すことができる。無食症と同じように典型的な大食症は思春期に発病する。しかし、多くの患者はその奇妙な食行動を恥じて、30代や40代になっても治療をしようとしない。しかし、この病気の危険なことが世の中に知られるになるにつれて受診する大食症患者は増加している。無食症と同じように、治療が早くなされればなされるほど、回復率はよい。
内科的合併症
摂食障害の患者の約1割が死亡する。飢餓、心不全、自殺などがその原因となっている。
無食欲症の内科的合併症は飢餓により生じる。心臓や脳といった活動の盛んな臓器を守るために、体はギヤーをローにします。生理は止まり、呼吸、脈拍、血圧は低下します。そして甲状腺機能も低下します。爪や髪の毛は脆くなり、皮膚は乾燥し黄色くなり、うぶ毛が生えます。体内の水分のバランスが崩れ便秘がおこり、皮下脂肪の減少により体温が低下し寒さに弱くなる。
軽い貧血、関節の腫れ、筋肉の弱りも無食欲症の症状である。病気が進むと、骨粗しょう症(骨が薄くなる)、不整脈及び心不全が起こる。体重をコントロールするために食物を無理に体内から排出する患者は特に危険である。嘔吐を起こしたりや腸の運動を高めたり、尿の排泄を促進する薬を乱用すると心不全の危険性が高まる。
飢餓とともに抑うつ、全身衰弱および食物に対する強迫観念も生じてくる。人格変化も起こる。攻撃性や怒りの爆発、そして社会からのひきこもりがみられる。そうして、無食欲症患者に特徴的な素直さに慣れていた周囲の人々を驚かす。
気まぐれ喰いや強制的な食物の排出は正常体重の大食症者を危険な状態にします。気まぐれ喰いはまれに胃の破裂を起こします。また強制的な食物の排出は、カリウムのような体液中のミネラル成分を喪失させ心不全を起こします。致死的ではないが重症では、嘔吐するときに胃酸が歯の間を伝わり、嘔吐を引き起こすために喉の奥深くいれた指が押さえつけられ、その結果手の甲に般痕ができる。食道は炎症を起こし、唾液腺が腫れる。月経は不規則になり性的興味を失う。
大食症の患者は自分はある種の食物(とりわけ炭水化物)の餌に引っかかっているので、その習慣に対して餌をやる必要があると述べる。この没頭する傾向は他の分野にも及んでいる。薬やアルコールの乱用、病的盗癖(強迫的盗癖)にまで及ぶ。多くの大食症患者は深刻な欝にかかる。そして衝動的な傾向が加わり、自殺の危険性が増加する。
摂食障害の原因
摂食障害の原因を明らかにするために、性格、家族の背景、環境、無食欲症や大食症患者の生化学的な検査がなされた。よくあることであるが、研究すればするほどこの病気の原因は複雑になってくる。この病気の原因を探る研究の中で最も目を引くのは合併症の研究である。例えば、摂食障害の患者で見つかった生化学的な異常は、その異常な食習慣の結果かこのような病気になる体質的な弱さを示している。このようないろいろな因子が重なって摂食障害になり易い体質ができていくと考えられる。
性格のゆがみ
大食症者と無食欲症者とは性格が違っているようである。大食症にかかる人は無食症者よりも衝動的で、アルコールや薬物の乱用が目だつ。無食欲症者は良いこ過ぎる傾向にある。彼らは従順で、自分の感情をコントロールでき、完全主義で、優等生で、そしてこまめに体を動かす。
しかし、大食症者も無食欲症者も共通して自信と希望がなく、肥えることを極度におそれる(大食症者は気まぐれ喰いの間にダイエットをしきつい運動をする)。両疾患とも不安やストレスに対処していく過程に発生するように見える。大食者はスナックのような食物を大量にとる。これはストレスを和らげ安心感を得るための行動である。しかし気まぐれ喰いは罪悪感とうつ気分をもたらす。そして体内から強制的に食物を出すことによってのみ救われる。
無食欲症者は特に炭水化物を中心とした食餌の制限をし、生活上のいろいろな場面で自分をコントロールしていると考えられる。他人の希望を大部分かなえるように行動してきたので、思春期に特有な問題に対処する方法を知らない。体重をコントロールすることは少なくともはじめのうちだけは2つのプラスの面を提供している。彼女は自分の体重をコントロールすることができることを他人に示し認めさせることができる。しかし、結局は彼女は実はどうにもならないひとであることを気づかせ、生命の危険な状態になるまでやせ細ってしまう。
家族的背景
摂食障害は家族性に発症しているかにみえる。特に女性の血族者に起こりやすい。ある人達だけが摂食障害を起こしやすいという遺伝的な因子があると考えられている。場合によっては模倣行動が原因になる。神経性無食欲症や大食症のある家族とない家族を比較研究され、いくつかの違いが指摘されている。大食症の患者家族間にはには敵意が多く、一方、無食欲症患者家族は子供に対して暖かく支持的で”障害のない家庭”と考えられるが、夫婦間の問題は内在している。無食欲症の子供は自分達の問題に対処し解決していく能力のない家庭の避雷針の役割をはたしているという専門家もいます。しかし科学的にしっかりと基盤を持った研究がなされるまでは家族の問題について一般化したことは何もいえません。
摂食障害はほとんどが中級~上級の家庭に発症しています。明らかに経済的社会的に上級であることが高い危険率と関係しています。国際的な研究でもこのことは明白です。摂食障害は工業先進国に極端に多く、第3世界では実質的にはほとんど有りません。この事実はこの病気の危険率を高める文化的な影響に対する疑問を提起します。貧しい人々の間では痩せていることなどは賛美することでは全くなく、飢餓状態などというものは誰も望む人は有りません。しかし、西洋の美術に描かれている理想的な女性は徐々に細くなっていきました。絵画の中の女性はゆっくりと体重を減らしていきました。画家達が痩身を理想化していったのかまたは時代の流行を追ったのかは定かでは有りません。
生化学:原因か結果か?
婦人の無食欲症の最初の徴候の1つは毎月ある生理がなくなることです。これはホルモンのアンバランスがこの病気に関係していることを示しています。しかし、無月経は明かな体重減少に先立って生じます。摂食障害が先かホルモンのアンバランスが先かは明かではありません。さらに複雑な原因か結果という疑問は、生理はいつもではないがしばしば体重が回復してから出現することです。また無月経は体重の正常な過食症の婦人にも見られます。そして、男性の無食欲症患者では男性ホルモンの減少やインポテンツがみられます。それ故、体重、食習慣、ホルモン産生といった三者間に何らかの関係があり、科学者が挑戦している魅力的で複雑なテーマです。
摂食障害をよりよく理解するために、この病気の生化学的な異常が研究されています。最近では、中枢神経とホルモン系に関係した神経内分泌系に焦点が絞られています。複雑で微妙なバランスのフィードバック系によって神経内分泌系は、性機能、成長、食欲と消化、睡眠、心腎臓系、情動、思考、記憶、言葉を変えていえば心と体を調節している。この病気ではこの調節機構が高度に傷害されている。
ホルモンの産生に大きな役割をはたしている脳内の化学メッセンジャー(神経伝達物質)の研究に多くの科学者が取り組んでいる。神経性無食症でも過食症でもある種の神経伝達物質のレベルが異常であることは驚くことではない。たとえば、セロトニンという神経伝達物質は過食症、気分障害、衝動的行為のある患者では低下している。セロトニン濃度低下は、過食症患者の衝動性、欲うつ症状、および炭水化物のとんだ食品を過食する行動と関係している。問題は摂食障害の引き金になる原因は何かということである。神経伝達の異常なのか、食行動なのか、遺伝子なのか、または環境なのか?神経性無食症患者の脊髄液においては、脳内に自然に存在する麻薬物質であるベーターエンドルフィンや神経伝達物質であるノルエピネフィリンの濃度が低下している。体重が回復してきている神経性無食症の患者でもノルエピフィリンの濃度が低いので、この神経伝達物質の異常は体重の減少に先行しており、おそらく摂食障害の遺伝的素質に関係していると考えられる。他方、同じ様な生化学的異常が神経性無食症患者に特徴的な低炭水化物・高蛋白性の飢餓や同時に存在する欲うつ気分においても見られる。
うつ病と摂食障害の関係についても近年よく研究され始めた。摂食障害の患者はうつ病になっていることが多い。うつ病が摂食障害の引き金になっているのではないかとかんがえる科学者もいる。確かに両者の間には生化学的異常の類似性が高い。セロトニンやノルエピネフィリンの濃度低下がうつ病と関係している。そしてうつ病の薬である抗うつ薬が摂食障害、とくに過食症の患者に効果がある。そして、ストレスに反応して分泌されるホルモンであるコルチゾールが両者で正常者よりも高い。
コルチゾールについての研究がとりわけうつ病で多くなされている。うつ病や摂食障害にみられる過剰なコルチゾールの分泌は視床下部あたりの脳内の機能が関係していることが突き止められている。視床下部は多くの身体機能をコントロールしている。ホルモン分泌、体温、水・電解質バランス、糖・脂肪代謝が調節されている。視床下部の機能と摂食障害の問題は関連していることは容易に理解できる。問題はどちらが原因で結果かである。長期のストレス状態が神経伝達物質やホルモンのアンバランスを引き起こし摂食障害が起こってくると考えられている。
治療
特に体重減少によって摂食障害が疑われたら、第一にすべきことは体重減少を引き起こす他の病気を除外するための徹底的な内科的な検査である。神経性無食症の診断がなされたならばすぐ治療が開始されなければならない。あいにく多くの患者も家族もこの病気をたいへん重篤でも否定する傾向がある。神経性無食症の患者を治療に持ち込むことも治療を継続することもたいへん難しい問題である。
過食症の患者を治療することもたいへん複雑な問題が絡んでいる。無食症の患者より過食症の患者は治療をたやすく受ける傾向にはあるが、症状がすぐよくならないと多くの患者は葛藤に耐える力が弱く治療から離れたがる。
どのような場合にも治療は重要であり早ければ早いほど良いということが強調され過ぎることはない。異常な食行動が長く続けば続くほど、この病気を克服し身体的な影響をなくすることが困難になる。症例により長期の治療が必要となる。
治療者がまずしなければならないことは患者が内科的に危険な状態かどうか入院が必要かどうかを決定することである。大部分の患者は外来治療を受けるが、容態により入院治療の方が安全なことがある。重篤で急速な体重減少、重症の代謝障害、高度のうつ状態または自殺の危険性、頻回な気まぐれ喰いと嘔吐、または精神病の合併は入院の指針となる。
摂食障害では情動的な問題と身体症状の複雑な絡み合いがあり、各分野の専門家による高度な治療が必要となる。理想的には、内科医、栄養学者、個人または集団精神療法家、家族精神療法家、向精神薬の専門家である医師すなわち精神薬理学者が必要である。
内科医が医学的な合併症の治療をし、栄養士がダイエットと食品の内容について相談を受けるとよい。摂食障害の治療はそれに合併する代謝障害によりたいへん難しくなる。最近の研究によれば、一部の無食症患者は低体重の時だけでなく体重を回復してからも過食症患者に比べて体重を保持していくためには30~50%余分にカロリーをとる必要があるということである。他方、過食症患者が同じ体重を維持していくには同じ年齢性の正常対照者の75%のカロリーでよいこともわかっている。このように、同じ体重を維持していくにしても、無食症患者は余分のカロリーが必要であり、過食症患者は少なくてすむ。
次に述べることは摂食障害の患者にとっても治療者にとっても大切なことである。カロリーをとることは無食症患者がまさに避けたいと願うことである。たとえその患者は体重を増加させなければならない状況でもカロリー摂取を避けなければならないと思ってしまうのです。しかし、彼女は正常な生活ができるようになるためには体重を回復しなければならないのです。他方、過食症患者は、同じ体重年齢の普通の人がとっても肥えることはないカロリーで肥えてしまうことを納得できることがおおいようです。
摂食障害の患者の面倒を見ているといろいろな問題に直面します。その問題の底には情緒的な問題が潜んでいることが明らかになります。そして精神療法が必要になります。患者は自分の病気を理解しそれに立ち向かっていくためには、精神科医、心理学者、それとそのほかの種々な精神保険関係者のいろいろな治療を受けて心理的なサポートを受ける必要があります。過食症患者には集団精神療法が有効です。彼らは自分達の気まぐれ喰い行動が自分だけではないことを知りたいへん救われます。グループに参加することによって同じ問題を抱えている人たちを助けたり反対にたすけられたりすることができます。
もし患者の情動的な問題が家庭問題と関わりがあるならば、個人または集団精神療法にさらに家族療法を加えると効果があがる。家族療法家は患者の摂食障害の原因となっていると考えられる家庭状況を理解させ変更することを助長する。
行動療法、個人精神療法、それに家族療法を合わせて行うことが最も効果的である。これはまず体重増加を必要とするやせ衰えた無食症患者の治療には特に効果的です。行動療法家は食行動の変更に治療の焦点を合わせます。それは好ましい行動に対して報償を与えるかまたはそれをモデルとして行動させます。認知・行動療法家は摂食障害と関係があるゆがんだ融通のきかない思考パターンを変更するように治療を進めます。
摂食障害の患者にはしばしばよくうつ状態が伴います。もしこのような状態が有れば、抗うつ薬の投与は効果があります。抑うつ状態がひどくなくても投薬はしばしばおかなわれます。しかし、科学的な対照研究がなされた薬物は多くありません。現在効果が確かめられている薬物は、過食症に対してはデシプラミン、イミプラミン、フェネルジンです。無食症患者に対して効果のある薬物は、アミトリプチリン、抗ヒスタミン剤であるサイプロヘプタジンです。投薬は医師の処方により十分管理されたもとでなければしてはいけません。