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酷薄


発達心理学によると、老人の性格には、
人生に建設的な円熟型、他人におんぶの依存型、
加齢に対する自己防衛型、ふさぎこんでしまう自責型、
他人にぶつかる外罰型などがある。
成人~老年期は青年期に次ぐ困難性をともなっている。
大村政男著、株式会社ナツメ社「心理学」より、引用。

・・・とのことだ。

別の事業所に勤務していたときのこと。
定年前に公務員を退職したという60才ほどの「ワウワウおじさん」
呼ばれていた人がいた(いる)。
電話が鳴っても「ワーワー」と慌て騒いで、何も対応できないからだ。
そして、仕事での失敗や不備があっても、まったく同僚に謝らなかった。
自身の心の中で、どのようにして整合性をあわせているのか?
多くの同僚に迷惑をかけながら、謝罪や詫びの言葉すらなかった。
「他人へ負い目を感じていないのか?」
疑問に感じていた。
そのような行動や態度は、
同僚たちに不満や不快感を与えていないハズもなく。
勤務者のシフトボードに「WOWOW」と記されたマグネットプレートが
貼られていたときもあった。
パワハラや社内イジメと言ってもいい行為だけに、判断や対応に困った。
結局、上司の命令で、はがすことになった。
少し気の毒になるほど、ダメ人間だった。
しかし同情できたのも、最初のうち。
世の中には、気を許してはいけない相手というのがいる。
あるときから「ワウワウおじさん」が敵意を向けてくるようになったからだ。
理由も原因も思い当たらないのに敵意を向けられるなど。
それまでに経験もなく。
かなり戸惑うことになった。
恨まれるような理由や誤解を与えるような言動や行動を思い返しても、
どれも当てはまるようなものではなかった。
“まさか、なんらか異常性を保有している人物なのだろうか?”
・・・そんな人物を会社が雇用していて、
何の対処もしないなど、あるだろうか?
やはり、別の理由があるのでは?
色々、悩み。
それでも、何の理由も思い当たらなかった。

大きな勘違いがあった。
それは企業(会社)が「問題のある人物を放置などしない」と言う思いこみ。
一旦、社員として採用した人物は、会社に不利益な人物でも
切り捨てるとなれば、かなり煩わしいことになる。
“どうせ自分には関係ないのだから、現状維持できればいい”
わざわざ面倒なことをするより、問題が自然解決するまで放っておけば、
ラクだと考える人間は少なくない。
「ワウワウおじさん」は「正真正銘の問題児」。
前述の老化による他人にぶつかる外罰型なのだろう。



「明らかに意識して、仕事の邪魔をしている」
「ワウワウおじさん」のような間違いを認められない人間というのは、
自身を”悪い”とは思っていない。
明らかに、自身のミスでしかない状況(シチェーション)であっても、
”悪い”とは思わない。
その現実に対して、心は矛盾を感じている。
その矛盾を埋め合わせするために、
心は、自分以外の悪人を探し続けていくことになる。
「あいつは嫌いなヤツだ!」
「あいつがいるから悪いんだ!」
もちろん現実的にも、論理的にも無理がある。
しかし、誰かを敵視することで、自身の心は、バランスが取れる。
職場の同僚が、そうでは困るが、どう言うわけか?
仕事で関わる人間ほど、油断がならないことも少なくない。

善悪の概念は・・・、いや通念かな?
倫理観や道徳観によって、形成されていると思っていた。
実際は違うかも知れない。
多くの人間は、自身の都合や立場によって、
物事の善し悪しとしていることが少なくない。

今日も、ワウワウおじさんは、他人に迷惑をかけ、
それを正当化するため、誰かを憎み。
また反省もせず、同じことを繰り返しているのだろうか?
もう分からないけど、ね。

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