2014年のクーデター以降 軍事政権が続くタイで、7日、新憲法案の賛否を問う国民投票が
行なわれました。 結果、賛成票が6 割以上を占め、新憲法案の承認が確実となりましたネ。
これで国王の署名を経て新憲法が成立、来年後半にも総選挙が行われる見通しとなりました。
新憲法案は軍部が政党よりも優位に定められおり、これで 「民政復帰」 後も 実質的な軍支配
体制が続く可能性が高くなりました。
同案をめぐっては、タクシン派政党の影響力を弱体化させる狙いもありましたから、反対してきた
タクシン元首相派には大きな打撃となり、政治勢力図が今後、さらに大きく塗り変わることに
なりそうです。 2001年以降、4回の総選挙でタクシン派は全勝していましたからネ。
憲法案に対しては、軍政と対立するタクシン元首相派のプアタイ党、そして反タクシン派の民主党も
反対、タイの2大政党がいずれも反対を表明していましたので、私は否決されると思っていました。
<投票するインラック前首相>
やはり、軍政に反対運動を禁じられたことが大きな要因でしょうか。 予想以上の大差でした。
いやいや、それだけ国民がプラユット首相を 信頼して支持しているという声もありますよネ。
欧米は 早々に反応し、「憲法案の作成が国民不在で行なわれ、内容の是非に関する議論が禁止された
ことに懸念する。 軍はできるだけ早期に選挙で選ばれた 文民が率いる政府に政権を移譲すべきだ」 と
表明を発表しました。 「表現の自由、集会の自由に対する制限を解除すべき」 とも述べています。
今のところ、日本政府からの見解は報道されていません ・・・
<投票するプラユット首相>
同草案について、具体的に国民は2つの件について賛否を問われていたと思います。
1.軍政が設置した第2次憲法起草委員会による憲法草案。
2.軍政が任命する定数250人の上院議員が、首相選出に際し投票権を持つこと。
これを国民はOKを出したわけですから、草案に反対していたタクシン派のタイ貢献党と赤シャツ派、
それに反タクシン派である民主党の双方は、今回の国民投票の結果を受け入れざるを得ません。
ただ、まずは政情の不安定化は避けられそうです。 我々はこれが一番 気がかりです。
しかし、民主主義という観点では 前の憲法より後退したことになってしまいますネ。
これで来年中には総選挙 (下院:定数500人) が実施されるでしょう。 そして表面的には軍政から
民主化に移行する形態になりますが、何せ上院議員250人は軍の任命で、なおかつ首相選出にも
投票が可能ときています。 かつ、新憲法では総理大臣は国会議員でなくても構わない
ことになっていますから、軍の国政への関与は続く、と考えるのが普通でしょう。
でもクーデター後の2年を振り返ると、タイと首都であるバンコクの治安は大きく改善したのは事実です。
個人的な見解ですが、軍に対する批判的な言論を慎むよう、数日間、軍の施設に軟禁することは 多少ありました。
が、国民を傷つける事態にはなっていません。 それ以上に 治安の改善と安定の実績を、タイの人たちは
見ていたのでしょうネ。 我々 外国人だって政情の安定が何よりですから、ホッとしている今日この頃です。
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