5月14日に行なわれたタイの総選挙は、タイ貢献党が1位の獲得票を得られる、という
予想を覆して大躍進を遂げたのはタイ前進党でした。これは番狂わせとなるんでしょうネ。
四年ぶりに行なわれたタイ総選挙でしたが、「軍政からの政権交代」というお題目もあり、
注目度が高く、投票率は75%(バンコク都も約74%)を超えて過去最高だったようです。
<前進党 ピター・リムチャルーンラット氏(42歳)>
軍の影響力排除を掲げる革新系の前進党が、500議席のうち152議席を得て第1党になり、
タクシン元首相派の最大野党であったタイ貢献党が、141議席で第2党となり、二つの野党を
合わせると293議席で、議会下院の過半数を占めることに。ある意味タイ貢献党の惜敗かな。
これは、“9年前の軍事クーデター以降続いてきた軍事政権に厳しい審判が下された” という
ことでしょう。単独過半数を獲得できた党が無かったことで、今後は前進党とタイ貢献党の
両党を軸とした連立政権樹立に向け 交渉が進められるという事態になって来ました。
議席確定後に行なわれる首相指名の投票には、今回選ばれた500人の下院議員の他、軍政下で
任命された250人の上院議員の投票も加わりますので、各政党の連立の交渉が焦点となります。
勝利を宣言した前進党のピター党首も早速、昨日の記者会見で、“クーデターを終わらせる時が
来た。私は首相になる準備ができている” と述べ、タイ貢献党などと連立交渉を始めたようです。
3位は与党第2党のタイ名誉党で69議席となり、連立与党の中核を担った国民国家の力党が
42議席、プラユット首相が所属する国家建設タイ合同党には厳しく37議席で終わりました。
でもどうなるのでしょうネ。前進党の主要な政策の一つは、王室への中傷を禁じる不敬罪の
改正などを謳っているのに対し、タイ貢献党 党首であるペートーンターン氏の父である
タクシン氏は現国王と 以前は親密でもあり、立場が異なるため、両党の連立が可能なのか?
まだまだ不透明ですが、選挙から一夜明けて、早くも市民の間からは第1党になった前進党に
対して、政治への軍の影響力の排除や格差の解消などを強く期待する声が大半だといいます。
<当時の新未来党>
大躍進を遂げた前進党ですが、2019年の選挙後に解党された「新未来党」の流れを引き継いて
おり、前回の総選挙でも軍政からの脱却などを掲げ、新党ながら第3党に躍進していました。
前進党は軍政からの脱却を掲げ、選挙終盤から若者層を中心に急速に支持を拡大、世論調査では
タイ貢献党に次ぐ高い支持率を得ていました。更には 直近の世論調査の「次の首相に相応しい
人物は誰か」というアンケートでは、前進党首のピター・リムチャルーンラット氏が、
タイ貢献党のペートーンータン氏を抜いて1位になっていましたネ。 次回に続きます。
前進党など野党が会員の過半数を獲得しましたが・・・首相指名選挙は、下院(500)と上院(250)の合計750議席の過半数の獲得が必要です。
選挙結果を見ると・・・連立与党(軍事政権)の議席は、、親軍政党の「国民国家の力党」が42議席、プラユット首相が所属する「国家建設タイ合同党」が37議席、「タイ名誉党(タイ誇り党)」が69議席となり、合計148議席になります。
ここに、上院の議席=250を載せると、軍事政権側が398議席となり、野党側が連立しても、過半数の376議席には及びません。
「タイ名誉党」が軍事政権から離脱しない限り、前進党を中心とした野党連合から首相が出るのは困難な状況です。
やはり、現在のインチキな憲法を廃止しない限り、軍事政権が終焉しそうにはありません。
https://news.yahoo.co.jp/articles/e507a1eab53fcd355ffb279864a29916f9d15bec/images/000
タクシン元首相が現国王とは親密だ、という記述がありますが・・・実際はそうではないと考えられます。
タクシン元首相は、プミポン前国王を蔑ろにしたことで不仲になり、御しやすい現国王を懐柔しただけと考えられています。
タクシン元首相の本音は、王室を廃止して、自らがタイの王様になり、タクシン王朝を築くことです。
タイ貢献党が前進党とは違い、王室改革に消極的な理由は、貢献党の支持者である地方の貧困層が盲目的に崇める王室に手を掛けることは選挙にマイナスになるからです。
参考にさせて頂きます。宜しくお願いします。