なな色メール 

シュタイナーの勉強会の仲間と始めたニュースレター。ブログでもその一部をご紹介していきたいと思います。

心の力

2011年06月01日 | S.S.
心の力

 大震災による心理的な変化によるものか、インナーチャイルドのCDがきっかけになったのか、再び自分の幼少期に遡る日々を過ごしていました。といっても、催眠療法などの特別なことをしたわけではありません。気がついたら子どもの頃の私の気持ちにすっと入っていたという感じ。今までは、分析ばかりであれこれ説明しているに過ぎず、核心からは何も発していなかった・・・ことに気づきました。

長い間心の奥底に押し込めていて・・・それが何ものか自分では自覚できないほど覆い隠して暗い情念になっていた気持ちが、ふいにふわりと心の表面に浮かび上がってきて、初めて意識してことばにすることができたのです。そして私が何にこだわっていたかも見えた気がしました。 

 身体に入れていた力が抜け、身も心も軽やかになったように思うこの頃、周りのようすが今までとは違って見えます。一番大きな変化は、素直にものが見れるようになってきたこと。今更恥ずかしい話です。気持ちが柔らかくなってきた今この時に、図書館で面白い本を見つけました。今回はこの本について少しご紹介したいと思います。

 『強い自分になる方法』-心の力を育てよう 
        カウフマン+ラファエル+エスペランド著/和歌山友子訳  筑摩書房

 この本は、自尊心を高めるための大人向けのトレーニングコースをもとに、「心を強くする方法」について子ども・親・教師向けに書かれたものですが、大人にも参考になる点がたくさんありました。「強い自分=心の力が育っている人間」という図式で論が展開されていきます。心の力を育てれば、どこにいても、だれといても、何をしていても、「大丈夫、自分はこれでいい。」と思えるようになり、自分らしい生き方ができるのです。何て魅力的な内容なのでしょう。夢中で読みました。

内容は二段階構成になっています。第一部では、心の力をつけ、それを使うことについて、第二部では培った心の力で自尊心を育てていくことについて述べられています。メモとしてまとめながら、☆の部分に私のコメントを入れます。
 
◎心の力をつけるために必要なこと
 ①自分のすること、自分の気持ちに責任を持つ(人のせいにしない)。
 ②自分で決める(行動と気持ちに責任を持つ。どうするかを決めるのは自分)。
 ③自分のことを知る(多様な気持ちを表現することばを学び、自分の気持ちを適切に伝える。自分が求めている気持ちを自分で自覚する)。
 ☆著者は、以下の欲求を人間として当然な欲求と見なしています。この定義で気持ちが開放されたように思います。心理学者って、人間の心の実態を良く理解していますね。
  ・人とのつながりを求める欲求
  ・体のふれあいを求める欲求
  ・自分の居場所と一体感を求める欲求
  ・人と同じでいたくない欲求
  ・人に何か(世話をしたり、助けたり)してあげたい欲求
  ・自分のいいところをほめられたい欲求
  ・人といるときもひとりのときも強い自分でいたい欲求
 ④人といるときも、ひとりのときも、心の力を使いこなす。
 ☆権力者の前では、人に左右されて自分を失いがち。しかし、心の力があれば、「大丈夫、自分はこれでいい」と強い自分でいられるのです。
 ☆心の力をつけるために、「しあわせメモ」をつけることを勧めています。一日を振り返り、幸せな気分になった楽しいことをメモしようとありました。落ち込むことがあっても、しあわせメモが貯金となって元気づけてくれるというのです。

◎自尊心とは何か。どうやって育てるのか。
①自尊心は、自分が人より上だと思う気持ちのことではない。他の誰とも関係ない自分の心のなかからわいてくるもの。
②自尊心は、ことばから出てくるのではなく、行動から出てくるもの。自分がこれだけのことをしてきたから、自分で「よくやっている」と思えるということ。自分で自分のことを「私ってすごい。」とうぬぼれることではなく、人から「君はすごい。」と誉められることでもない。
 ☆「よくやったメモ」を毎日つけることを勧めています。一日を振り返って「自分なりに頑張ってやったこと」をメモする。「しあわせメモ」と違うのは、あったことを書くのではなくて、自分がやったことを書くこと。頑張った行動の記録です。

 最後のまとめとして、著者が親と教師に向けたメッセージを書いています。一部を抜書
きしますね。  P168-170 前掲書

「うぬぼれやおごりや優越感は、真の誇りからうまれるものではありません。他者をさ
げすむ気持ちから生まれるものです。誇りは、わたしたちの好きなこと、やりとげたこと、身につけた技能、何かをやれるの能力から芽ばえてきます。自分以外の人をおとしめるものではありません。
 さげすみは誇りに似た形をとることがよくありますが、それはニセの誇りです。人をさげすむとき、わたしたちは自分が上にいるような気持ちになります。けれども、ひそかに、自分は人に劣ると感じているのです。さげすみの気持ちは、こうした劣等感からわたしたちを一時的に抜けさせてくれますが、これを続けるには自分のほうがまさっていると思える相手を探し続けなくてはなりませんー自分が上に立つために下に置ける相手を。
 さげすみは、いまの学校(そして社会)が直面している2つの大きな問題、つまりいじめと暴力の根本的な原因だとわたしたちは考えています。・・・中略・・・
 わたしたちが教えようとするのは、自分に誇りを持つこと、正しいことをしたときに自信を持つこと(そして、そうしなかったときに責任をとること)、自分が達成したこと(有形のものでも無形のものでも)を知ること、自分が味方するもの(そして味方しないもの)を知ること、内面的にも外面的にもベストでいられる努力をすることです。自分の気持ちと欲求をしっかりつかんでいるとき、自分の気持ちと感覚を信じているとき、自分の能力に対する現実的な判断があるとき、そして心の力を持つときー子どもたちは、安心感と自信を感じますー人をいやしめる必要はなくなるのです。」

 自尊心は、うぬぼれでもおごりでも優越感でもない、生きていく上でとても大事な力。そして、私がいつか与えられるものとして長い間待ち望んでいたものです。子どもが順調に育っていけば、自然と身につけられる力だと思いますが、何かつまづく原因があり獲得できずに成長する人間もいます。私もそのひとり。カウンセラーは、過去のつまづきまで戻り、ゆがんだ心の成長を修復させようとしますが、私の場合はうまく行きませんでした。良いカウンセラーに出会えなかったのです。

 私にも子どもが生まれ、求められる役割も変化していきました。私自身が親になったのに、自分の親に対して何かを求め続けるなんて、今更何を、いい歳をして・・・!と、かつて不満をぶつけた時に、父親に思われたようです。わかってはいるのですが、心の底から求めても与えられないものがあることを、ずっと受け入れられなかった私。理由は、心にふたをしていたから。それが、ふわっとふたを開けてしまった。中にあったものはすでに醗酵し過ぎてすごい臭いになっていたと思いますが(笑)。

 心の力は誰でも持てるけれど、時間がかかるし、練習が必要とのこと。人生を変えるには、勇気がいるのです。でも、心の力が育ってくることを考えたら、元気が出てきそう!さっそく「しあわせメモ」にチャレンジしてみました。
と言っても、メモに書くまでの余裕がないので、1日3つ幸せに思ったことを家族に話すことから始めてみました。思い出すのは、人の笑顔。特に言語訓練で関わった子ども達の笑顔がよく思い起こされます。手遊びなどたわいないことをしている場面で、子ども達は何とまぁ嬉しそうにしていたこと!その笑顔を思い出して、また幸せな気持ちに包まれました。
 家族からの幸せエピソードを聞くと、こちらもまた幸せになります。日々辛いこともあるけれど、1日の終わりは「幸せエピソード(しあわせメモ)」と「頑張ったエピソード(よくやったメモ)」を思い出すだけで、結構ハッピーな気持ちになれますね。皆さんも良かったら参考にしてください。そして、よかったら今度皆さんの幸せエピソードを教えてくださいね。

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2 コメント

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心の力 (ひょうどうともこ(ドルフィンスマイル))
2011-09-15 23:15:25
心の力って、これがある人と無い人では大人になってから違うと思います。
私も今日々子どもと親子の葛藤が多々展開されています。

自己の親との葛藤が子育てに影響すると香港にいるM・Oさんに借りた本の中にあり、癒されずにいた子どもの心(インナーチャイルド)を自分の母性で抱きしめて癒すといったワークも教えてもらったことがありました。すると、わが子を素直にかわいく思って愛せるようになった話も本にありました。

「しあわせメモ」、「よくやったメモ」いいですね。しあわせ貯金して、燃え尽き症候群を治さなくては・・・。

今の子どもたちは自尊心が無いから、人も蔑もうとするのですね。
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感想です。 (くどうせいこ)
2011-09-19 22:48:28
心の力、本『強い自分になる方法』の紹介では、本の内容に違いはあるものの自分と似たような読者体験をされていてビックリでした。
「幸せエピソード」いいですね。
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