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新潟市の住宅設計事務所ネイティブディメンションズ=狭小住宅や小さい家、構造計算、高気密高断熱が好きな建築士のブログ

【ministock-03(modern)】表と裏-現代版最小限住居

2016-04-26 23:59:33 | ministock-03(modern)
今回の設計で私が一番気に入ってる場所です。

私をご存知の方ならお分かりかと思いますが、

私が一番気に入っているという事は、言わなきゃ伝わらない様な場所を一人できゃっきゃ、きゃっきゃ喜んでいるというところです。

この玄関でとりあえず目を引くのが(引かない場合は引いてください)、式台の下からこぼれる明かり。

段差部分のサインというバリアフリー的な役割もありますが、床・壁・天井すべてがベージュで囲まれた空間の中で一閃。

白い明かりのラインが空間を引き締めています。

そして、もう一つの白いパーツが障子。

玄関から見えるのは障子の裏側ですね。

障子の骨がシルエットとして浮かび上がってます。

この障子の骨がふわっと浮かび上がっているのも、ベージュの柔らかい空間に合っていると思います。


そして、この障子を開ければリビングへとつながります。

このリビングに足を踏み入れて振り返れば障子の表が見えるはず。

普通なら見えるはず。

見えるはずなので、その時わざわざ振り返る人はいません。
そのままリビングへどうぞ。

23坪の家の中とは思えない空間の広がり方に、障子の事はもう頭になし。

くるりとリビングを見渡しながら、リビングの雰囲気も柔らかくて「いい空間だなぁ」なんて、私も自画自賛してました。


壁と一体化したドアなどが空間を壊さずに建てこんであり、白い引き戸がアクセントとしてチョコンと佇んでいます。







白い引き戸?

障子じゃなくて?

いえ、正面にあるのはちゃんと障子です。

でも、こんなところに分かりやすいくらいに障子があっても変です。
1枚しかないので。

狭い玄関の中にある1枚の障子は、それなりの存在感を示していましたが、リビングから見たたった1枚の障子はとって付けただけの出入り口にしかなりません。

その「とってつけただけ」を解消するために、隣の壁とデザインを合わせて空間の一体化を図る必要があったので、障子は両面に貼り、リビング側からはただの骨の見えない白い障子になっています。

玄関から見れば、障子を光が透過して骨が浮かび上がるっていう。

私なりに結構なドラマがある場所です。

ただ誰にも気づかれないっていう。

そこだけです。









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