先日の記事で聞くも涙、語るも涙する在来工法におけるアンカーボルトや補強金物の設置の難しさをご紹介しましたが、実はまだ話の続きがあります。
前回、アンカーボルトは筋かいがたすき掛け(?印の様に取り付ける場所)の場合、筋かいの位置によってアンカーボルトが通り芯から外側にずれたり、内側にずれたりすると説明しました。
そこがとっても重要で、アンカーボルトは好き勝手に位置をずらせる訳でなく、基礎の中には鉄筋があるので、その鉄筋に当たらない様にもしなければいけないんです。
どの向きの筋かいに対してもアンカーボルトが当たらないようにして、
そのアンカーボルトに当たらない位置に基礎の鉄筋を組みます。
更に、基礎の鉄筋はコンクリートがなんcm以上被っていないといけないとルールがあるので、それぞれの部位に必要な被り厚を確保します。
と、言う事。
基礎の鉄筋は、X方向、Y方向に複雑に交差しているので、現場で考えていては一向に決まりません。
そこで設計士が登場して、図面にここはなんcm、あそこはなんcmと記入しておく訳です。
そしてその設計図は、ぎりぎりの寸法ではなく、職人さんが仕事しやすい様に、寸法に多少の遊びを作って置くのがポイント。
これがどうポイントになるかと言うと、ギリギリの設計をして、それを職人さんに伝えると「そんなの出来るわけがない」といきなりモチベーションが下がってしまいます。
ところが、多少の余裕がある事を伝えると、「俺に出来ない事はない」となぜかモチベーションが飛躍的にアップするんです。
気持ちの部分を利用している訳ではなく、本当に仕事がしやすいようにと設計しているんですが、結果的に相乗効果が得られる訳です。
正に職人魂。
その結果、気持ち悪い位に真っ直ぐに組み上げられた鉄筋が出来上がります。もう、水糸と重なってしまって、鉄筋が写りません。
設計士と職人さんの究極のコラボレーションですね。
と、現場では職人さんが大活躍ですが、設計士は間取りを考えたり、おしゃれなインテリアを考えてる裏で、地道な裏方作業も行っているんです。
この辺も、設計士の楽しい部分です。
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