東京法務局が立ち入り調査 法務局は違法性を指摘 外部委託に改善指示
共産党区議団は中止・撤回求める
足立区(近藤やよい区長)は1月から、戸籍住民課(区役所1階)の窓口業務を大幅に民間業者に委託する「外部化」を実施しました。
日本共産党は区民とともに法令違反やプライバシーの侵害、サービスの低下の可能性など問題点を指摘し代表質問などで中止・撤回を求めてきました。
東京法務局が立ち入り調査
区が「問題はない」との答弁を繰り返す中で、2月25日に東京法務局が立ち入り調査を行い3月17日、東京法務局長名で、足立区長あてに違法性を指摘。改善を求める通知を発していることがわかりました。
民間業者が受理決定?
改善指示は4点にわたって出されました。第1は、戸籍法上公務員にしかできない受理決定を、委託業者(富士ゼロックスシステムサービス)が行っていることを指摘。法務局は「受理の決定は市区町村長が、届け出られた届出等が民法および戸籍法上、所定の要件を具備していることを審査した上でなされなければならない」と述べて改善を求めています。
戸籍の審査は厳正・公正に
戸籍事務は偽装入籍を見抜いたりすることなど国籍取得にも関係するなど、特に厳正・公正さが求められています。窓口の対応を「対話形式」ですすめる中で届出人の言っていることに食い違い(論理矛盾=これがあればなんらかの偽装が隠されている可能性もある)がないかと判断・審査・決定(公権力行使)しながら、戸籍システムのコンピューターに入力していきます。
偽装請負の疑いも
したがって、委託業者が窓口で、届出人の申し出をコンピューターに入力するのであれば、一つ聞いて入力するたびに公務員(区職員)の判断を仰ぎ決定しなければなりません。
戸籍事務の重大性から言ってこれは守られなければなりません。
法務局の指摘もここに着目しています。
しかし、これを守ろうとすれば、区職員が民間の請負業者に直接指揮命令することになり、労働法令で禁止されている「偽装請負」になります。
区は「改善策」として「仮決定入力」ボタンをつくったと回答しましたが、全国共通の戸籍情報システムを勝手に変更するものであるとともに、結局は公務員の仕事との二重手間となるもので、本質的な改善とはなりえません。
何よりも「対話形式」で確認する場が失われ戸籍の信頼性が担保できなくなります。
偽装の届け出を受理した場合など誰が責任を持つのでしょうか。仮に委託業者の責任を追及したとしても解決になるのでしょうか。
不受理判断は明らかな法令違反
第二に法務局の指摘では、民間業者が、書類が足りないからなどの理由で届書を受け取らず、届出人を帰してしまうなどは、「民間事業者が実質的な不受理決定を行っているのに等しいので、民間事業者への委託の範囲を超えている」と述べています。区議団に寄せられた情報や相談でも、届出を受け付けてもらえなったとやむなく帰った例がありますが、明きらかな法令違反です。
本人の意思による取り下げを「うながす」?
区は回答として「本人意思による修正・変更・追加・申請の取り下げ等をうながします」と表明しましたが、促すこと自体「判断」であり公権力の行使です。
また区は、区職員による不受理判断等の対応を行うとも述べていますが、結局二重手間になるだけです。
偽装請負の疑いまさに「偽装」的報告
法務局のもう一つの指摘は、労働法令違反(偽装請負)の疑いもあるので、担当官庁である東京労働局に確かめるようにとのことでした。
区はなんと電話で話をし、労働局も相談を受けたので一般的な回答をしたに過ぎないのに、「問題ないと確認した」と区議会に報告。
3月には、立ち入り調査が行われたこと自体を隠していたことにつづいて、区民委員会では、この区民をだますような報告が明らかになり、外部委託のひどさがさらに浮き彫りになりました。
外部委託は撤回しかありません。