Naoの誰でもわかる!英語の話

英語を勉強している人へ、面白い、ためになる話し、知識・情報などを、誰もがわかるように書いていきます。

(Voicy連携)英文構造を理解する(第3回のパート2)

2022-08-14 | 英語の学習
■VP(動詞句)のV(主動詞)について(Part 2)

ちなみに、[John wants to eat a cake]の、eatの主語は、隠れて見えないですが、どこにあるでしょう?toの前でしょうか、それとも、toの後、eatの前でしょうか?言い換えると、[John wants (John) to eat a cake]か、[John wants to (John) eat a cake]か、ということですが、さてどちらでしょう?答えは、toの前です。なぜそんなことがわかるのか?それは、今から言う例文からわかります。

John wants Mary to eat a cake.ジョンはメアリーにケーキを食べてほしい、という文ですね。

eatの主語、Maryは、toの前に来ますね。つまり、to不定詞がある場合は、その後の動詞の主語は、必ずtoの前にあるということになります。さっき、[John wants (John) to eat a cake]という文を言いましたが、実はこの文章、もし、そのまま発話すると、意味が異なってきます。つまり、John wants John to eat a cake.という文は、もしそれが正しい文であれば、「ジョンは、ジョンにケーキを食べてほしい。」という意味になり、ジョンがケーキを食べてほしいと思っているジョンは、ジョン自身ではなく、別のジョンということになります。別人のジョンを代名詞に代えると、John wants him to eat a cake.ということになり、はっきりします。この文章、eatの主語は、意味上は、heですが、wantという動詞の目的語になるため、発話される時にはheがhimになります。John wants him to eat a cake.となるわけですね。

話を戻します!このように、一つの文章に複数の動詞が存在する場合は、文の意味の中心となる主動詞のみが時制を持つことができ、その他の動詞は、前の例文ではtoをともなって原形になりましたが、その他、現在分詞、+ingになったり、過去分詞になったりします。つまり、「動詞」は、時制を持つものが一番格上であり、同じ文の中では、その他のものは全て格下げされ、toをともなって原形になる、現在分詞になる、あるいは、過去分詞にならないと一つの文には存在できません。ただ、ここで一つ気をつけてほしいのは、andが入った文章です。ピリオドがないので、andが入った文章を一つの文と考えがちですが、andは、文と文を繋ぐ接続詞なので、その前後の文は別々の文となりますから、先ほど述べたルールは、それぞれの文で適用されることになります。

では最後に、最初に覚えてほしいと言ったことを再度、簡潔に言います。そして、その後に、幾つかの例文を言いますので、その意味を確認してください。

「一つの文章には一つの主動詞しかない。主動詞だけが時制を持つことができる。つまり、一つの文章に二つ以上の動詞があれば、時制を持っているのが主動詞。あとの動詞は、時制を持てないため、現在分詞や過去分詞、あるいは、toを伴った不定詞、つまり、動詞の原形になる。しかし、どんな形の動詞であれ、隠れて見えない場合もありますが、その前には、必ずその意味上の主語がある。」ということです。

では最後に例文です。意味はご自分で確認してくださいね。

She came toward me smiling and waving her hand.
I saw a cat hit by a bicycle running very fast.
Jim wants me to run for the president of the student government divided so badly by racial issues.

いかがでしょうか。では今日はこの辺で…。Naokiでした。







(Voicy連携)英文構造を理解する(第3回のパート1)

2022-08-12 | 英語の学習
■VP(動詞句)のV(主動詞)について(Part 1)

前回までに、一つの文章は、主語の名詞句、NP(Noun Phrase)と、述語の動詞句、VP(Verb
Phrase)という二つの固まりで構成されるという話をしました。どんなに複雑に見える長い文章も、必ず、NPとVPの二つのユニットで出来ているということです。そして、ネイティブスピーカ−は当然ですが、英文を自然に理解できる人は、それら二つのユニットを脳で直感的に分けることによってその正しい意味を理解します。しかし、英語を外国語として勉強している私達がそのような直感を身につけるのには時間がかかります。ですから、そのような直感が身につくまでは、そのことを意識して文章を読む、あるいは書くことが大事です。そうすることで、英文を正しく理解し、また、文法的な英文を作る習慣を身につけることができます。

さて、今回は、述語の動詞句の先頭に来る、動詞句の意味の中心となる、主動詞についてお話したいと思います。まず、覚えておいてほしいことを言います。それは、「基本、動詞があれば必ずその主語があり、そこには一つの文、センテンスが(sentence)存在すること。そして、一つの文には一つの主動詞しかなく、主動詞だけが時制を持ち、文全体の時制を決めること。つまり、一つの文章に二つ以上の動詞があれば、そのうちの時制を持っているのが主動詞で、後の動詞は時制を持てないため、現在分詞や過去分詞、あるいは、toを伴って原形になること。しかし、それらがどんな形の動詞であれ、「動詞があれば必ずその主語がある」わけなので、隠れて見えない場合もありますが、必ずその主語があり、深層構造ではその動詞を主動詞としたsentenceが存在する」ということです。これは、なんとなくわかっているような事ですが、実はしっかり理解していない人が多いように思います。私もその中の1人でしたので…。

では、ここで短い例文を見てみましょう。

John wants to eat a cake.

さて、この文章には二つの動詞、wantとeatがありますが、どちらが主動詞でしょう?
もちろん、wantに決まってますよね。でも、この文章には動詞が二つあるわけですから、「動詞があれば、必ずその主語がある」という規則に従えば、それぞれの動詞には、それに呼応する主語があることになり、とすれば、それぞれの動詞とその主語で構成される二つの文が深層では存在することになりますね。ということは、この文章は、頭の中で生まれた時には二つの文章であったものが、発話される前に一定の規則が適用され、最終的に一つの文章として表に出てきた、ということになります。

ではその二つの文とは…?wantとの主語は、John、ですね。ですから、John want (something)、[John want +NP(名詞句)]、が一つの文で、eatの主語はというと、その主語になり得る名詞句は、John、しかないので、John eat a cakeという文になりますね。つまり、
[John wants to eat a cake.]という文は、まず、頭の中で、John want [something]、「ジョンは何かを望んでいる」という文と、John eat a cake、「ジョンはケーキを食べる」という二つの文が出来、英語は左から右に文が出来るという規則になっているため、John wantが先に発話されますから、その際、wantには、いわゆる三人称単数の現在を示すsが付きます。これが主動詞のマーカーとなり、文は、John wantsになり、そして、脳はその後に来るeatの主語がwantの主語のJohnと同じ、とわかっているため、Johnを省略します。すると、[John wants_eat a cake]という文になりますが、動詞を二つ続けることはできないので、eatの前にtoを挿入し、eatを、時制を持たない原形として文の一部にします。言い換えると、eatは、toを伴った原形になることで、この文の一部になることができたわけです。
(End of Part 1)

(Voicy連携)英文構造を理解する(第2回のパート2)

2022-04-09 | 英語の学習
■英文の基本構造とVP(動詞句)について(Part 2)

次に、「found a cake on the dining table」がこの文章の、いわゆる、「述語」の「動詞句」となります。文の中核の動詞、主動詞がfound、何を見つけたかを示す目的語と言われる名詞句がa cake、そして、ケーキをどこで見つけたかを表す言葉である、on the dining tableが、onという前置詞を先頭に、the dining tableという名詞句を伴って「前置詞句」を形成し、動詞の意味を補足することになります。前置詞句は、前置詞+名詞句で構成されるので、記号で言うと、PP=P+NPとなります。ということで、found a cake on the dining tableという「動詞句」は、[動詞+名詞句+前置詞句]で構成されることになります。VP=V+NP+PPですね。

すると、My sister found a cake on the dining table.という文章は、my sisterという主語の名詞句と、found a cake on the dining tableという動詞句で出来ている、ということになりあすから、文章全体は、大きくは、S=NP+VPであり、NPは(=)[Det+N]、VPは(=)、[V+NP+PP]で出来ているということになりますね。

これが英語を話す、書く際の基本的英文構造と覚えてください。頭で覚える時には、英文は、「誰が、あるいは、何が、どうする、何を、いつ、どこで、どのように」という順番で作るものと、ということを徹底して理解してほしいと思います。日本語の語順とは大きく異なるわけです。「誰が、あるいは、何が」が主語のNP、名詞句。「どうする」がV、主動詞。「何を」が、主動詞の目的語であるNP、名詞句。そして、「いつ、どこで」にあたるところが、主動詞を説明するPP、前置詞句、となるわけです。主動詞の内容を説明する時には、前置詞句だけでなく、to不定詞を使って、その理由などを説明する場合もあります。その場合は、その意味のかたまりは、副詞句と呼ばれますが、それも主動詞を補足するもの、主動詞にかかるものですので、動詞句という大きなユニット、かたまりの一部になります。to不定詞については、英文構造を理解する上で重要な要素となりますので、次回にでもお話したいと思います。

今回は英文を構成する二つ目の大きなかたまり、動詞句、VPのお話でした。英文の基本構造、その作り方、わかっていただけたでしょうか。正しい英文を書ける、話せる人たちは、当たり前に行っている作業ですが、この基本理解がしっかり出来ていないと、より複雑な文章を作る時、あるいは、理解する時には、頭が混乱してよくわからなくなるものです。適当に語を並べると、非文法的な英文を作ってしまいます。

次回は、この英文の基本構造で重要な役割を果たす、動詞についてお話をしたいと思います。一つの英文には一つの主動詞しかない。動詞があれば、必ずその主語がある。そのようなことをお話したいと思います。テクニカルな話ばかりで面白くないと思われる方も多いとは思いますが、英語を勉強する上で極めて重要なことですので、是非我慢してお付き合いいただけたら幸いです。では、今回はこのへんで…。Naokiでした。
(End of the Story)

(Voicy連携)英文構造を理解する(第2回のパート1)

2022-04-08 | 英語の学習
■英文の基本構造とVP(動詞句)について

前回、人は、頭の中で話そうと思う内容が浮かんだら、まずその深層構造・基本構造の文を作る。そして自分が言いたいことを正しく伝えるために必要な規則をそれに適用して、実際に表に出す構造、表層構造を作り、それを口に出す、あるいは、文章として書く。この一連の流れを明らかにしようとするのが、句構造文法であり、その理解は英文の読解力や作文能力の向上に役立つというお話をしました。そして、覚えてほしいこととして、「英文は、様々な意味のかたまり、「句」から構成されており、基本、一つの英文、センテンスは、その「主語となる名詞句」と、「主動詞が先頭に来る動詞句」の二つのかたまりで出来ていること。」を覚えてほしいと言いましたよね。そして、「主語となる名詞句」、Noun Phrase、NPについてのお話をしました。

今回は動詞句についてのお話です。動詞はVerbですので、動詞句は、英語ではVerb Phraseと言い、表記される時は、その頭文字を取って、VPとなります。このVP、動詞句は、動詞が目的語を取らない場合は、動詞のみで構成されますが、動詞が目的語を取る場合は「動詞+名詞句」となります。あ、目的語は「名詞」ではなく、「名詞句」と覚えてください。これを記号で書くと、VP=V+NPとなります。また、動詞が表す内容に、場所等の具体的情報などを入れたい場合には、その後に前置詞句などを付けることになります。ちなみに、「前置詞」とは「名詞(あるいは、名詞句)の「前に置く」言葉」と理解しましょう。ということは、前置詞のすぐ後には名詞、通常は名詞句が来ます。そして、「前置詞+名詞句」で一つの意味のかたまりとなる「前置詞句」を形成することになるわけです。ちなみに前置詞は、英語でPrepositionと言いますので、記号で表記する際はPとなり、前置詞句は、Prepositional Phraseと言いますので、記号で書くと、PPとなります。まとめると、前置詞を伴った、結構基本的な英文の動詞句は、「動詞+名詞句+前置詞句」となり、記号で書くと、VP=V+NP+PP、となります。

ここまでのまとめです。まず、英文の基本構造は、S=NP+VPですね。つまり、文は、名詞句と動詞句で出来ているということです。次にその中身を見ると、名詞句は、限定詞と名詞で出来ているので、NP=Det+Nとなります。この最初に来るNPが主語ですね。次に文の述語となる動詞句は、先ほど述べた通りで、目的語を取る場合は、動詞句=動詞+名詞句+前置詞句、であり、記号で書くと、VP=V+NP+PPとなります。もちろん、前置詞句がない場合もありますので、念のため。記号は理解するまでは複雑に感じますが、一度わかると、その方が全体像がわかりやすくなるので、是非覚えてほしいと思います。

では、ここで、一つの英文を例に取って説明をしたいと思います。これから言う文章を、直感的に意味のかたまりに分けてみてください。

My sister found a cake on the dining table.
もう一度言いますね。
My sister found a cake on the dining table.

どうでしょう?まずこの文章を、大きく、意味のあるかたまりで分けると…

[My sister]と「found a cake on the dining table」

となりますよね。最初の[my sister]については、[my]がなければ、[sister]だけでは誰のことかわからないので、[my sister]で一つ意味のかたまりとなることは問題ないですよね。名詞句は、「限定詞+名詞」、つまり、NP=Det+Nという構成規則がありますので、この場合、myがsisterの意味を限定する語、限定詞、determinerで、名詞がsister、それらの二つの語で主語の「名詞句」、NPが構成されます。語の順番を変えて、つまり、sister myと言えば、これは名詞句の構成規則に反するので、非文法的なものとなります。
(End of Part 1)











(Voicy視聴用QRコード)「英文構造を理解する!」

2022-03-25 | 英語の学習
文章を読んでいただき、ありがとうございました。お時間がある皆さんには、是非ポッドキャストで私の話を聴いていただければ幸いです。以下にQRコードを載せます。よかったら聴いてください。またフォロワーになっていただければ大変うれしいです。Happy listening and enjoy studying English! Naoki

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英文構造を理解する(第1回のパート2)

2022-03-23 | 英語の学習
■英文の基本構造とNP(名詞句について)

まあ、難しい話は置いといて、その基本的考え方は、私たちが文章を作る際に、まず、最初にその基本的文型を作る…これは頭の中で、ですが…。これは、自分の考えを言葉にしようとする際に作る最初の文ということになります。ですからこれを、Deep Structure、深い層の構造、「深層構造」、あるいは、Basic Structure、基本構造、と言います。そして、その後、その深層構造の文にいろいろな規則を適用させて、最終的に自分が発話する、あるいは、実際に書く文章ができ上げるというものです。この私たちが実際に発話する、あるいは、文章として書く文章構造のことを、Surface Structure、表面の構造、という意味で、「表層構造」と呼びます。簡単に言うと、頭、脳、の中で話そうと思う内容が浮かんだら、まずその深層構造・基本構造の文を作る。そして自分が言いたいことを正しく伝えるために必要な規則をそれに適用して、実際に表に出す構造、表層構造を作り、それを口に出す、あるいは、文章として書く、というわけです。この一連の流れを明らかにしようとするのが、Phrase Structure Grammar、句構造文法、と言われるものです。ここまではわかってもらえたでしょうか?

でも、そんな理論的なことを理解することと、英語を学ぶことと、どんな関係があるのかって、思いますよね。答えは…まず、英文の基本構造がわかれば、英文読解力が向上します。どんなに複雑にみえる文章でも、それは一つ一つの単純なセンテンス、文が集まってできている、つまり、多くの文の集合体であるため、その全体の構造が理解できれば、どこがどこにかかっているかが分かるので、文全体の意味を理解できるようになります。また、英作文能力も向上します。英語を話したり、書こうとする際に、まず頭に浮かんだことから基本構造の文を作る。そして、そこに必要な規則を適用することで、自分が言いたい表層構造を作り、話したり、文章として書くことになります。その変化の過程で、正しい規則を理解し、自分の英語に反映することができるようになれば、英会話力や英作文能力が大きく向上することになります。また、そういう気持ちを持って英文を作成すれば、当然、非文法的な英文を作る頻度も大きく下がることになりますよね。自分の英語力を確実にブラッシュアップできます。

では、ここからが本題です。英文の基本構造とはどういうものか、ということですが、句構造文法では、一つの文は、先ほども言いましたように、複数の意味のあるかたまり、「句」、フレーズ(phrase)、が、一定の規則に従って繋がり、構成されると考えるので、まずは、それぞれの「句」を構成する要素を定義します。つまり、名詞句、動詞句、前置詞句などの「句」を作るための規則を定義するわけです。その規則のことをphrase structure rules、「句構造規則」と呼びます。ここで理解しなければいけないのは、英文は、「句」のかたまりで構成されているので、概念的には、一つの単語では文の構成ユニットにはならないということです。よく、「主語」は「名詞」、という言い方をしますが、実はこの言い方は間違いで、「主語」は「名詞句」というのが正しい言い方、考えた方になります。英語では、名詞はNounと言いますね。ですから、「名詞句」は、英語ではNoun Phraseと言い、その表記は、NPとなります。今回は、まずNP、名詞句について説明します。NPは、基本、「限定詞+名詞」で構成されます。限定詞とは、後に来る名詞の性格や性質などを決める、限定する、determineする言葉ということで、determinerと呼ばれます。表記の際は、Detとなります。ですから、名詞句を記号で表すと、[NP=Det+N]となります。もちろん、時には「名詞句」が、一つの「名詞」だけで構成される場合もありますが、それは理由があってのことで…例えば、複数形の時とか、抽象名詞の時とかですね…基本、文の構成ユニットは、あくまでNP、「名詞句」となります。日本語では、名詞を言う時は名詞だけを言えばいいですが、英語では、必ず、その前にaとかtheの、冠詞を付けなければいけませんし、例えば「お父さんが」という時には、my fatherといったように、誰のお父さんかを明確にしなければいけませんよね。その名詞がどのようなものであるのかを示す、限定するもののことを「限定詞」と呼びます。名詞を言う際は、必ず名詞句として一つの意味のかたまりを作る必要があります。ですから、[NP=Det+N]が基本と考えてください。今回は、まず英文を作る際に最初に来る名詞句、主語の名詞句についての話でした。次回は、いわゆる述語、あるいは、述部とも言いますが、文章を構成するもう一つの「句」、動詞句についてお話ししたいと思います。では今回はこのへんで…Naokiでした。
(End of the Story)

(Voicy連携)英文構造を理解する(第1回のパート1)

2022-03-22 | 英語の学習
英文の基本構造とNP(名詞句について)

今回は、私がアメリカの大学院で勉強したもののなかで、もっとも意味があったと思うことについてお話をしたいと思います。それは英文構造についてです。日本でそれなりに英語はできるようになり、英文についても、まあ理解していたと思っていた私にとって、その新しい考え方は、大変衝撃的なものでした。日本の学校では、英文と言えば、先生たちが第一文型とか第二文型とか言っていたことを思い出しますが、私はそれをまともに覚えたことはありませんし、そんなことを知らなくても、単語や表現、構文、文法などさえわかっておれば、英語の点数は取れました。つまり、英文構造について日本でまともに教わったこともなければ、考えたこともなかったわけです。しかし、アメリカでそれを学んだことで、私を含めた日本人が、英語を話したり、特に書く際におかす多くの間違いの原因がどこにあるのかが、わかるようになりました。実際、学生たちが書いた多くのエッセイや研究論文などの文章をチェックすると、それは明白です。この英文構造の話については、いろいろな要素がありますので、できるだけ分かりやすくする為に、数回に分けてお話したいと思います。今回は英文構造の話、第1回です。

では、まず今回のテーマ、英文構造の話で皆さんに覚えておいてほしいことを先に言いたいと思います。また何度を言うことになるかとは思いますが…。それは、「英文は、様々な意味のかたまり、「句」から構成されており、基本、一つの英文、センテンスは、その「主語となる名詞句」と、「主動詞が先頭に来る動詞句」の二つのかたまりで出来ている。」ということです。どんなに複雑にみえる文章でも、それは一つ一つの単純なセンテンスが集まってできているだけなので、まず英文の基本構造をしっかり理解すれば、後は必要な規則を適用することで、どんな英文もそれなりに理解出来るようになります。

言語学において、このような文の構造を取り扱う学問分野を「統語論」、「シンタックス(Syntax)」と言います。統語の「統」は「統一」の「統」です。「語をまとめる」って理解すればいいかと思います。言語学の主要な分野の一つです。英文構造を分析する方法としては、いろいろな理論がありますが、その中で私が最も重要と思っているのが、また、日本人が理解すべきものと考えているのが、Phrase Structure Grammar、句構造文法、と言われるものです。Phrase、「句」、とは、ある意味のかたまりのことを言います。字は、俳句の「句」です。そう、学校でよく聞いた、名詞句、動詞句、前置詞句、副詞句などのことを言います。簡単に言うと、言語は、それぞれ意味のかたまりである複数の「句」が、一定の規則に従ってつながってできており、その言語を母語とする人は、皆その規則、これを統語規則と言いますが、それを知っていて、言葉を発する際には、その規則に基づいて、必要な言葉、単語類を並べていくと考えます。この意味のある、一つにまとめられる単語群などが「句」と呼ばれ、言語学では、文の構成素、Constituentと呼ばれます。この構成素からなる英文の構造を統語規則とともに明らかにして、人の言語創造過程を理解しようとするのが、句構造文法と言われるものです。これは世界的言語学者である、ノーム・チョムスキーが考案、提唱したもので、人が文章を意味のある形に作り上げる際に、どのような過程を踏むのか、脳が正しい文章を作り上げるまでに行う過程を、そこに適用される規則とともに明らかにしようとするものです。
(End of Part 1)


(Voicy連携) 英語習得の鍵とは? (Part 2)

2021-12-14 | 英語の学習
「統合的動機」とImitationの重要性について(Part 2)

しかし、これは言うのは易しいですが、実践するのは結構勇気がいります。私も最初はそうでした。ネイティブスピーカーらしく話を話そうとすると、鳥肌が立ちました。なぜか恥ずかしいですね…自分はそう感じているんですが、実は相手はなんとも思っていません。だって、彼らにはそのような話し方が普通ですからね。それがわかって、これでいいんだと思ったら、後は段々と自然な話ぶりになっていきました。最初の一歩が大事ですね。自分の殻を破る…というより、私はよく、自分の中に新しい人格、英語人格を作る、といった表現を使います。つまり、日本語を話す時の自分と、英語を話す時の自分、最初はかなり異なった人格を持つ、あるいは、それを見せることになってもいいと思います。英語力が段々と向上してきたら、そのうち、その異なっていた人格が一つになります。そしてそれは、日本語しか話せなかった時の人格とは異なる、新しい人格になります。私自身がそれを体験して今の自分になっていると感じていますし、これまでに多くの学生たちを見てきて、それを実感しています。もちろん、人によってその違いには大小はありますが、英語が流暢に話せるようになった人にはその差が明確にわかるよう気がします。ともかく、英語を習得したいのであれば、日本語や日本的しがらみを投げ捨てて、英語の文化に飛びこむような気持ちで、英語らしい、ネイティブスピーカーらしい話し方を実践してみてください。つまり、統合的動機付けを自らすることが大事だということです。そうすれば、気づかないうちに会話力が伸びていることに気づくはずです。理論的な説明はややこしいので省きますが、それと同時に、総合的な英語力も伸びていきます。

実は、言語習得における模倣、imitationや繰り返し、repetitionは、第一言語習得理論においては、今は重要な要素とは考えられていません。なぜなら、人は聴いた言葉を模倣して、繰り返すことによって言語体系を脳に構築するのではなく、脳自身が聴いた言葉を材料にして自発的に言語体系を作るからです。しかし、私たちのような環境で外国語である英語を習得する際は、日本語と同様のインプット量を英語で得ることは、とうてい不可能です。だったら、限られたインプットをできるだけ有効に活用することが大事です。英文を聴いて理解できたら、まずその英文を聴いたまま、できるだけうまく模倣して発音し、それを何度も、何度も頭で、あるいは、実際に声に出して繰り返して記憶するよう心がけます。つまり、英語を意識的に脳に処理させて英語の体系を構築させるというわけです。そしてそのためには、インプットの量が多い方がいいわけで、ネイティブスピーカーとの円滑なコミュニケーションがそれを実現してくれます。会話がスムースにいけば、相手からのインプットが多く入ってきますから。

そして、人まねをする時に絶対しなければならないこと…それは、何度も、何度も、嫌になるくらい、まねをする人を見て、その人の言うことを聴くこと…ですよね。そうして初めて、まねをする対象の人、この場合はネイティブスピーカー、の発音、発声の仕方、話し方、抑揚、ポーズの取り方、細かい仕草等を頭に、脳に、しみこませることができます。そして、それらが脳にしみこむと、英語を話す際にそれらが自然に出てくることに驚くはずです。それが、英語の大量インプットの成果ということになります。

英語上達の鍵は、「ネイティブスピーカーの模倣、まねをすること!」皆さん、どんなに恥ずかしくても、自分のキャラに合わないと思っても、英語力向上のためには、是非、ネイティブスピーカーのまねをしてみてください。最初は人前だと恥ずかしいでしょうから、まずは人がいないところで、一人で練習してみてください。そうすれば、自分が気づかないうちに、間違いなく、英語力が伸びていきます!皆さん、一緒に頑張りましょう! では今回はこのへんで…Naokiでした。

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<Voicy連携>英語を習得するためにしなければならないこと(後半)

2021-11-03 | 英語の学習
英語を日常のバックグラウンド言語にすること!(Part 2)

「でも、私たちはみんな日本にいるわけで…英語の環境なんてないよな〜」…と言いたいところですが、現代社会はいろいろなメディアにあふれていますよね。ですから、その気になれば、自分の脳を「英語の環境」に置くことは容易にできます。問題は、今自分のいる環境で、手に入れることができる、アクセスできるメディアにはどんなものがあるのか、自分にとってどのメディアが合っているのか、そして、一番大事なことは、そのメディアに毎日継続的にアクセスして、自分の日常生活を、できれば、日本語のインプットよりも英語のインプットの方が多い日常生活に変えようという強い意志力があるかどうかが、英語力を高める重要な要素になります。

私たちは日本に住んでいるわけですから、意識しなければ日本語のインプットしかありません。英語を一所懸命勉強しているという人が「私は一日3時間勉強しています」と言えば、「へ〜頑張っているんだ〜」と思うかも知れません。ですが、朝6時半に起きて夜11時半に寝るとした場合、一日17時間のうちの3時間しか脳は英語に触れていません。そんな環境で、脳が自発的に英語を習得するでしょうか?私たちが日本語を理解し、話せるようになるために、どれだけの時間、日本語を聴いたことでしょう。英語を習得したかったら、ともかく、脳が英語をインプットする量を増やすことです。その量、また、その質によって、脳が習得していく量あるいは、質が異なります。つまり、英語力の差がそれによって変わるというわけです。

具体的に言うと、仕事の時間を除いて、朝起きて仕事に行くまで、そして、仕事から帰ってきて寝るまで、英語がバックグラウンドにずっと流れている環境を作ります。バックグラウンドの英語は、英語ニュースやドラマなどを使います。私は、家にいるときは、毎日CNNを光テレビで観ています。スマートフォンのアプリもいろいろありますよね。私が今入れているのは、NBC、ABC、CBS、BBC、NPR(National Public Radio)などです。もちろん、全部聴いているわけではありませんが…。NPRは、音だけで、知的で落ち着いたニュースが多いので、一度聞いてもらえばと思います。どれか、なんでもいいので選んで、英語を毎日聞く習慣を身に付けるが大事です。ただし、何を言っているのか、その意味を必死で理解しようとする必要はありません。あくまでバックグラウンドの英語として、わかればわかったでいいし、分からなくても気にしなくていいです。英語を聴いている脳は、英語を無意識に処理していますので、放っておきましょう。もちろん、気になった単語や表現があった時は、メモしておけばいいですけどね。

日中、どこかで英語を見る、読む時間があれば、それはないよりもいいです。そして、夕食後、寝る前に、しっかり勉強する時間を持つことです。そこで、脳が英語を無意識に処理する際に必要となる情報や規則を得ていきます。寝る前に勉強した方がいいのは、寝る前に得た情報は、寝ている間に脳で処理されて記憶に残っていくからです。勉強する時間としては、寝る前が効果的と言われます。何を勉強するかは、一人一人の英語を習得する目的によります。英字新聞を読む、好きな雑誌を読む、文法書を読む、TOEICの問題を解く。基本、何でもいいです。ただ、意識的にしっかり勉強するわけですから、辞書や文法書なども必要に応じて活用してください。

このように、英語習得に必要な規則、情報、単語や表現を意識的に勉強(learn)して、その後、英語を、脳が習得(acquire)する環境下に置くことによって、英語力を日本語力に近い状態にもっていくことが「可能」となります。もう少し分かりやすく言うと、勉強するだけ勉強したら、あとは、そこで得た情報を脳が処理するための環境と時間を意識的に作ればいい、ということになります。

これが、「習得(acquisition)を意識して英語を学ぶ」、言い換えると、「意識的な学び」を「自然な習得」に繋げる方法ということになります。でうでしょう、分かっていただけたでしょうか?」

ということで、今回は、英語を習得するために私たちがすべきことについての話でした。皆さんの充実した英語学習の一助になれば幸いです。では次回の記事まで…Please take good care and enjoy your life! Nao


<Voicy連携>英語を習得するためにしなければならないこと(前半)

2021-11-02 | 英語の学習
英語を日常のバックグラウンド言語にすること!(Part 1)

しばらく前に、私がVoicyというインターネットラジオ局でチャンネルを持ったことをご報告しました。そこの第1回の放送で、「習得を意識して英語を学ぶ」ことが大事、という話をしたのですが、実は先日、その続編として、習得を意識して学ぶとはどういうことなのか、言い換えると、英語を習得するために私たちは何をすべきなのかについて話をしました。私の英語習得理論を結構コンパクトにまとめましたので、せっかくですから、このブログを読んでくださっている皆さんにもその話を紹介したいと思い、その原稿を記載することにしました。私が話した内容とほぼ同じです。読んでいただければ幸いです。少し長いかなと思い、Part 1と Part 2に分けました。Part 2は明日掲載する予定です。最後にVoicyのリンクも入れておきますので、音声でも聴いてみたいと思われたら、是非一度、Voicyのチャンネルにもお越しください。では、以下が放送された内容の原稿(Part 1)です。I hope you will find it interesting.

「習得を意識して英語を学ぶ、とは、英語を意識的に学びながら、常にその学んだものが自分の自然な言語能力として身につくよう努力をする、という意味です。ここで重要なのが、誰が努力するのか、ということです。意識的に学ぶと言う行動は、自分でやるか、やらないかですから、自分の努力次第となります。では、自然な習得はというと、それは脳が行うもので、自分が意識してできるものではありません。脳に入ってくる情報、これをインプットと呼びますが、そのインプットを処理して、体系化して、入ってきた新しいインプットを理解する、また、そこから、自分の言いたいことが頭に浮かんだら、それを自然に言葉にして発話する。これらは私たちの脳がすることで、また、そのようなことは、基本、ほぼ無意識に行われます。つまり、英語を学ぶという行為をするのは、自分自身。そして、それを習得するのは、自分の脳、ということになります。

人が言葉を習得する際の脳内プロセスは、基本、第一言語も第二言語も同じです。脳が言語インプットを受入る、それを分析して、その意味や規則を見いだすという学習を行う。そして、1つの言語体系を作り上げるわけです。ただ、第一言語と第二言語の習得における大きな違いは、その学習の担い手にあります。第一言語の場合は、学習は、私たちの脳が勝手にしてくれたのであって、私たちは無意識のうちに日本語の複雑な文章構造や文法をマスターしました。しかし、第二言語の場合は、その学習は、自分たちの意思で、意識的に行なわなればならないということです。

では、その後の言語体系の構築はというと、それはどちらも脳が自発的に行います。つまり、学習については、無意識に行われる、意識的に行う、の違いがありますが、言語を身につける、習得することにおいては何の違いもなく、脳が私たちの意思とは関係ないところで行うことになります。ということは、私たちが第二言語としての英語をマスターする際に必要なことは、まずは意識的に勉強する、学習すること、そして、そこで得た多くのインプットを脳に習得させるようにすること、となります。

では、脳に英語を習得させるようにするためにはどうしたらいいのか?基本的には、私たちが日本語を習得してきた時にやっていたことをやればいい…それは、脳に、英語が日本語と同様、「生きるために必要な言葉」、もっと簡単に言うと、日常の言葉と思わせるようにすればいいのです。ちなみに、ヒトという種は、「生存に必要なもの」として、そのDNAに言語の遺伝子を持って生まれてきたと言われています。「生存に必要なもの」である言語だから、遺伝子は自然に脳のいろいろな機能を活性化させて、その結果、日本語の言語体系を脳内に構築しました。

では、英語はというと?私たちにとって、「生存に必要…」じゃないですよね。だから、もともと持っている言語の遺伝子はそう簡単には動いてくれない。では、脳が、英語を日常の言葉と認識するためには、何が必要でしょう?それは、「英語の環境」です。ヒトは言語を習得するにあたって、その言語が話されている、聞ける環境にいたからこそ、その言葉を身につけることができました。ですから、英語を習得するための絶対条件は、英語の環境に、「身」を置く、ではなく、性格に言うと、「脳」を置く、ことです。
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