Naoの誰でもわかる!英語の話

英語を勉強している人へ、面白い、ためになる話し、知識・情報などを、誰もがわかるように書いていきます。

「この気持ち、英語でどう言うの?」No.1

2012-10-24 | Weblog
1)「迷ってる」「悩んでる」

このシリーズの第1回目は、読者のcharokoさんからの質問に答えて、「迷う」「悩む」という気持ちを英語でどう表現したらいいのかについてのお話です。極めて具体的に以下のような質問をいただきました。ありがとうございます(冷汗)。

(質問)
「迷っている」「悩んでいる」という気持ちを英語でどう表現したらいいのでしょうか?例えば以下のような場合にはどう言えば?
1. ファミレスでケーキだけするか、食事にするか、あるいは、その両方にするかで迷っている。
2. 明日のパーティに行くかどうか悩んでいる。
3. めがねにするか、コンタクトにするか、出かける前に迷っている。
4. 大学院に進学するか、就職するかで悩んでいる。
I’m not sure if
I can’t choose
I can’t decide
といった言い方は知ってますけど、それらはすべて否定的な言い方(否定文)なので、できれば肯定文で言いたいんです。どういう表現がありますか?

とまあ、なかなか「難しい」質問です。なぜ「難しい」のかというと、日本語で表現されている気持ちがその下の「否定的(?)な言い方」で表現できれば、それはそれでいいわけで、肯定的(?)な表現の方が「適している」ということはないからです。「迷う」「悩む」という気持ちは、話者のその時の複雑な心境が反映されているので、それを言う、想う人の心境によって表現が変わってきます。

例えば質問にある最初の文章の「迷っている」。これは、深い「迷い」や、ましてや「悩み」を表現しなければならないわけではないですよね。ただ単に、「どうしよう?」って思っているだけで、すぐに答えが出ます。出ないと、友達から、「何してんの、そんなに時間かかって!」って言われちゃいますからね。だとすれば、そんな時は(「ん~」だけかも、ですが)、もし口にするとしたら、きっと、
I don’t know what to eat here, just a cake or a meal, or both? I just can’t make up my mind. Umm…
とまあ、ただ単に「どうしょ?」くらいの感じなので、どんな言い方でもいいでしょう!いや、決して質問を避けているわけではありませんので、念のため。

その「迷い」・「悩み」具合から言えば、質問の3番目の「コンタクトかめがねか」も同じ程度ですよね。特にふか~く考える問題ではないわけです。ただ、その時の状況によっては、「今日はひょっとしてお泊まりになるかも?だったらコンタクトは面倒だな~入れ物とか保存液とか持って行かなきゃ。ふ~ん、どうしよう?」(深い意味はありません(汗))みたいな。だとしたら、
I wonder if I should wear contacts or glasses today?
といった感じでしょうか?基本、日本人が「(何をするべきか)どうしよう?」と思った時の英語は、I wonder/am wondering (ifその他)~と思っていれば、まず間違いないです。どんな状況でも使える表現ですから。

じゃあ、質問の2番目の「パーティに行くかどうか悩んでいる」の「悩む」にあたる英語は?これも、もちろん、I am wondering if I should go to the party or not?と、wonder ifを使えばいいです。え?もっと悩んでいる?いろいろ事情があって?ってですか?ふむ、その悩み、迷いが、いろいろな事情を考えなければならないというのであれば、以下の表現を使います?
I am debating whether I should go to the party.

ここで使われるdebateは、そう、あのディベートです。ディベートする、議論する、のディベートですが、これはもともと「しっかり考える」「熟慮・熟考する」という意味合いを持っているので、相手がいなくても、自分自身の気持ちを表現するのに使うことができます。ただその場合は、ある程度、「しっかり考える気持ち」がないといけませんけどね。「じゃあ、何を食べようか本当に迷っているんだったら、質問の最初の文の状況でも使えるの?」はい、使えます。以下のようになります。
I’m debating on what to eat.(何を食べようか迷っています。)

では、質問の最後、4番目にある、「大学院に進学するか、就職するかで悩んでいる。」場合の「悩み」具合はどう表現するか?この場合でも、もちろん、これまで出てきた表現でも十分使えます。例えば、
I’m wondering if I should go to graduate school or get a job?
I’m debating whether or not I should go to graduate school or get a job.
I cannot make up my mind whether I go to graduate school or get a job.

しかし、この状況の迷い、悩みは他とはだいぶ違うような気がしないではないですよね。つまり、深刻さが違う。卒業したら進学するのか、就職するのか、それは人生の一大事です。「何を食べようかな~迷っちゃう!」とはレベルが違いますよね。そんな深刻な(シリアスな)、あるいは、哲学的な迷い(悩み)の時に使う表現があります。それは、be in/of two mindsという表現です。「(誰々が)二つのマインド(心、気持ち)の中にいる、二つのマインドを持っている」という意味です。ですから、「どうしたらいいのかわからない(can’t decide what to do)、あるいは、どの選択がベストか決めかねている(can’t decide which option is the best)」という時には、I am in/of two mindsを使うこともできます。例文を挙げてみましょう。

I am in two minds about what to do after graduation. I am interested in studying more at graduate school, but I also like the idea of starting a career as a teacher.
(卒業後に何をするかで悩んでるんだ。大学院でもっと勉強することに興味はあるんだけど、でも、教師としてのキャリアをスタートするって考えも悪くないしね。)
I’m in two mindsか、I’m of two mindsか?これは人によって好みがあるようです。どちらでもいいみたいです。もう少し例文を作ってみましょう。では、こんなのはどうでしょう。

I was in two minds whether or not to come to this party.
(このパーティに来るかどうか、だいぶ迷ったんだ。)
Many people in Florida are of two minds about the new President of the United States of America.
(フロリダ州の多くの人たちは、新しいアメリカの大統領を誰にすべきかについてまだ決めかねています。)

このbe in/or two mindsの後には、上記の例文にあるように、aboutとwhetherが多く使われます。気をつけて使ってくださいね。

最後にもうひとつ、かなり感情的に悩んでいる、迷っている、どちらかというと「板挟み」のような感情が湧いた時に使う表現を紹介しましょう。それは、be torn(引き裂かれている、破れている→悩まされる、迷う、板挟みの気持ちになる)という表現です。以下がその例文です。

I’m torn between telling her the truth and making excuses.
(僕は彼女に本当のことを言おうか、言い訳をしようか迷っているんだ。)
I’m torn between helping Jim and not helping anyone on this matter.
(この件では、ジムを助けるべきか、誰も助けないかで迷っています。)

このように、be tornの場合は、二つの選択肢に挟まれていて迷う、悩むということから、be torn between A and Bというパターンになります。be tornは、心・気持ちが破れる、引き裂かれるという感じですから「~によって(そうなる)」という言い方もできます。その時はbyを使って以下のような言い方をします。
I’m torn by doubts.
(何がなんだかわからなくて(疑心暗鬼で)苦しいんだ。)
He is now torn by sorrow.
(彼は今悲しみで心がズタズタさ。)

とまあ、迷う、悩むというのは、いろいろな言い方があるものですね~。これまでに話したパターンをまとめると、以下のようになります。

1)I don’t know what/if/whether~
2)I can’t make up my mind whether/about~
3)I wonder/am wondering if/whether I should~?
4)I’m debating whether/on~
5)I’m in/of two minds whether/about~
6)I’m torn between A and B

といったところでしょうか。でも、これだけかというと、他にもいろいろな言い方ができます。きりがないかも知れませんが、そのうちの思いつく幾つかを挙げてみますね。

7)I am having second thoughts about attending the ceremony.
(その式に出席しようかどうか迷ってるんだ。)あるいは、
She’s having second thoughts about getting married.
(彼女は、本当に結婚に踏み切っていいのか迷っているのさ。)

この文にある、have second thoughtsが「迷っている」という意味です。この言い方は、その文言の通り、「2番目の考えを持つ」ということなので、最初に考えたこと(first thought)に疑問を持って、もう一度考えたら、それでいいのかな~って思っている、つまり、2番目の考え(違った考え)が出て来たので迷っているという感覚です。

8)I am struggling with a decision whether or not I should do that.
(私は、それをするべきかどうかの決心がつかず苦悶しています。)

これは、struggle(もがく、あがく、奮闘する、苦しむ)という言葉を用いて、ある事柄について決心がつかない心境を表現しています。決心するのにかなり苦しんでいるというのであれば、このような言い方もできますね。最後にもう一つ。日本語で、「心が揺れる」って言い方がありますよね。つまり、「何かを決めかねている、迷いが生じている、ためらう」みたいな感じの表現です。こんな感じの時には、英語ではwaverを使って表現することができます。例えば、

I wavered between accepting and refusing the proposal.
(その提案を受け入れるべきか、拒否するかで心が揺れたね。)
I’m wavering between going to graduate school and getting a job.
(大学院に行くか、就職するかで迷っているんだ。)
Japan is wavering whether to eliminate nuclear power plants or to maintain them for the sake of economic growth.
(日本は原子力発電所をなくすべきか、経済発展のために残すべきかで揺れ動いています。)

気持ちが揺れ動くと言う意味のwaverも、その後にbetweenやwhetherが来ていますね。さて、「迷う・悩む」の具体的な感情によって使う表現が多少違ってくるということがわかってもらえたでしょうか。でも、その使う表現は、使う人(話者)の微妙に違う感覚を表すだけなので、聞いている人には、「ああ、迷っているんだ」くらいにしか聞こえない可能性が高いので、あまりその言葉にとらわれる必要なないと思います。幾つかの表現方法を覚えて、あとはその時の気持ちを表情とか言葉のトーンで示せば十分にその気持ちは伝わるものです。

質問の中に出てきた以下の言い方について一言。
I’m not sure if~
I can’t choose~
I can’t decide~
これらはすべて「迷う」という感覚の時に使えることについては問題ないですが、使われている動詞がそれぞれはっきりした意味を持っているので、その状況に合った時に使うことになりますね。つまり、
I’m not sure if~は、「~についてはっきりしない」sureでない時に使い、
I can’t choose~は、選ぶことが前提の時に、「選べない」わけで、
I can’t decide~は、「~についてはっきり決めることができない」という感覚の時に使うというわけです。

ということで、今回は「迷う・悩む」という気持ちを英語でどういうのか、についてお話しました。結構複雑になってしましましたが、皆さん、わかっていただけたでしょうか。質問していただいたcharokoさん、これでいいでしょうか?では、これからも日本語のある感覚を英語でどう表現したらいいのかについて、時折書いていきたいと思います。質問とかありましたら、またどうぞ。できれば簡単な方が…いやいや、難しい方が勉強になりますので、なんなりと。Okay. This is all for today. See you guys soon! nao


使える英語表現(155)「それは、やつの経験のなさと未熟さのせいってことでね。」

2012-10-14 | Weblog
表現155)I chalked it up to his inexperience and immaturity.(それは、やつの経験のなさと未熟さのせいってことでね。)

今回は最近ちょっと気になった英語表現を取り上げることにしました。自分では~使ったことはないですね。まあ、そのような表現を使う機会がなかったので考えたこともなかったんですが、ある時に仕事のメールでこの表現(chalk it up to)が使われていたので、「ん?これはどんな風に使われるんやろ?」と思い調べてみたものです。文脈で意味(~のせいにする)はわかりましたが、何でそんな単語(chalk)が使われているのかに興味が湧き、調べてみたわけです。皆さんも興味があるでしょ?ある方は読み進んでくださいね。

この表現の中核になる単語、動詞は、もちろん、chalkですよね。「でもそれって、チョークちゃうん?」そう、おっしゃる通り。黒板(今はホワイトボードの世界ですが)、そう、あの懐かしい黒板に白い粉を散らばらせる、憎っくきチョーク(chalk)のことです!何度きれいな紺のスーツにまだらの模様を付けられたことか(泣)、あ、それはともかくとして…そのチョークが動詞として使われているわけです。ちなみに、チョークが名詞の時は、a piece of chalkと、数えられるように、a piece of, two pieces ofのようにpieceを使うことをお忘れなく。知っている?Sorry…

さて、この動詞のchalkですが、その訳を見ると以下のように書かれています。
【他動】
〔チョークで図形など〕の輪郭を描く、
〔得点などを〕チョークで書く、図取りする
~を白亜と混ぜる
〔顔を〕蒼白にする
(「英辞郎on the WEB」/SPACE ALCより)

「はあ、ただ黒板にチョークで何かを書くって意味じゃないんか~。」そう、結構具体的に何をするかの意味が入っていますよね。「しかし、今回の意味が入っていない。」その通り!これじゃあ今回の表現の意味がわからない。そこを説明するのが僕の役割!ということで、説明をしましょう。まずは、上の日本語訳の二番目に注目してください。「〔得点などを〕チョークで書く」のところです。実はこの表現、さかのぼること相当前(正確な時代はわかりませんが)、イメージとしては今の近代的できれいなお店が主流でない時のお酒を飲むバーがあった時代、その当時のバーの慣習が起源となって生まれた表現であろうことがいろいろ調査した結果わかりました。とは言っても、確実ではありませんので、念のため。「でも、ん?バーでチョーク?わからへん!」いやいや、これだけでわかったら僕がわざわざ説明する意味がありませんので、ちょっとお待ちを(冷汗)。まずはそのヒントを物語風に書いてみました。さて、皆さんは読んで分かりますでしょうか?では、どうぞ。

「むかしむかし、西洋の酒場では黒板があり、それはいろいろな記録をするために使われていたそうな。ある客が来た。常連のようだ。バーボンを注文する。すると、バーテンダーはそこにある黒板に、チョークを使って「一杯」を意味する1という記号を書く。独特な書き方だ。しばらくすると、その客がまた一杯注文をした。するとバーテンダーはまたおもむろに黒板に向かい、無言でそこに書いてある1の記号を2に変える。客はまた注文をする。バーテンダーはまた黒板に手を伸ばし、チョークを使ってその記号を3に変えた。客はもう十分に飲んだようだ。バーテンダーに「Check, please.」と言う。バーテンダーは黒板を見て言う。「Three glasses. So, two twenty.」客はそれを払おうと財布を見た。が、お金がない。客はバーテンダーに向かって言った。「Put it on my tab.」(つけにしておいてくれ。)「Got it.」(わかった。)とバーテンダー。客は静かに席を立ち、バーから外の暗闇へと消えていった。」

さて、chalk it up toのchalkの使い方、この物語からわかりました?「ん~、だから~?!」という声と、「あ、なるほどね(納得!)」という声の両方が聞こえそうな(笑)。

では、お分かりの方も多いとは思いますが、その答えを解説しましょう。この物語で、chalkは客が支払わなければならない酒のグラスの数を黒板に書くために使われました。客はお金がなかったため、その数字の酒分のお金を「つけ」にしてバーを去った。つまり、chalkは、客に支払いの責務を記録するために使われたということになりますよね。言い換えると、バーテンダーは、客の飲んだ請求金額(it)をchalkで書くことにより、その客に対して(up to)支払いの責務を「負わせた」ということです。ですから、chalkは「何か(it)を、何か(誰か)に負わせる」という意味合いを持つようになり、それが転じて、「それ(it)を~の(up to)せいにする・負わせる(chalk)」、あるいは、いい意味では「~のおかげにする」という意味になったというわけです。どうでしょう、わかってもらえたでしょうか?それならいいんですが(冷汗)。

では今回の表現を含んだ会話を見てみましょう。

Jane: I heard that Tom made a big mistake in dealing with an important client. Is it true, Nao?
(トムが大事なお客さんに対して大きなミスをしたって聞いたけど。ホントなの、ナオ?)
Nao: Yeah, that’s true. He totally blew it.
(ああ、本当だよ。やつは完全にやっちゃった(失敗した)ね。)
Jane: You got so mad at him, didn’t you?
(かなり怒ったでしょ、彼に。)
Nao: Not really. I chalked it to his inexperience and immaturity. He is a good kid, so I just gave him some advice. That’s all.
(いや、そんなことないよ。それは、やつの経験のなさと未熟さのせいってことでね。いいやつだからさ、あいつは。だから、ちょっとアドバイスをしてやったくらいだよ。それだけ。)
Jane: Good for you, Nao.
(なかなかやるわね、ナオ。)

あ、心の広いところを見せちゃったみたいですね(笑)。では、今回はこの辺で。また新しい表現見つけて書きますね。僕の書く気を支えてくれるのは、それを読んでくださる皆さんがいるおかげです。I chalk it up to your readership. I mean it. Thank you, guys! Nao