Naoの誰でもわかる!英語の話

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英文を理解する:等位接続詞でむすばれる重文構造の文について(Part 1 )

2013-12-31 | 英語の学習
以下は僕の友人からのメールにあった文章です。意味はわかるので、その点は問題ないのですが、その構造については…ちょっと問題があります。どこが問題なのかを教えてほしいということなので、今回はこの文章を皆さんと一緒に考えてみたいと思います。まずは、その文章をご覧ください。

When it comes to "translation", I tend to be more demanding,
(翻訳ということになると、私はいつもより要求がましくなりがちで、)
wanting to improve my translation skill badly
(自分の翻訳技術を向上したいという気持ちがとても強くて)
and to absorb your advanced technique as much as I can.
(そして、あなたの高度なテクニックを吸収したいと思っているので。)

*my translation skillのskillと、your advanced techniqueのtechniqueは、共に複数形がいいですね。名詞を単数形にするか複数形にするのかは、意味をしっかり考えることが必要です。
この文の問題は、「When it comes to "translation", (翻訳ということになると)」の後です。構造的には「A and B and C→A, B and C」という形ですから、等位接続詞(coordinating conjunction) のandを使った文型(重文構造(compound structure)の文)となります。ちなみに、日本語で「等位」という言葉が使われるのは、andでつながれるものが文中で等しい重要性をもっているからです。そして、そのつながれるものは、基本的に等しい文法的構造・機能を持っていなければいけません。つまり、名詞と名詞、句と句、文と文、といった具合です。以下がWeblio(辞書)の定義です。ちょっと見てみましょう。

■等位接続詞(coordinating conjunction)

【名詞】
1 2つの同様に組み立てられた文法的な成分を接続する接続詞('and'や'or'のような)
(a conjunction (like ‘and’ or ‘or’) that connects two identically constructed grammatical constituents)
2 同じ状態の言語単位の結合による調整
(the coordination by conjunction of linguistic units of the same status)

 つながれるものについて、英語では「two identically constructed grammatical constituents」(二つの全く同じように作られた文法的構成物(一つのかたまり))「linguistic units of the same status」(同じ身分(体質)を持つ言語的ユニット(集まり))という言い方になっていることに留意してください。つまり、基本的に同じ「形」のものをつなぐのが、andということになるわけです。では、問題の文を再度見てみましょう。

When it comes to "translation", I tend to be more demanding, wanting to improve my translation skill badly and to absorb your advanced technique as much as I can.

この文は、以下の三つの文(S(entence))がandでつながれて一つの文章になっています。
S(entence) 1) I tend to be more demanding
S2) wanting to improve my translation skill badly
S3) to absorb your advanced technique as much as I can

「文?なんで?S2とS3は主語がないんですけど…」ですよね。でも、前に何回も言っているように、英語では、動詞が一つあれば、必ずその前にその主語となる名詞句があって、文を形成していることになります。表面的(表層構造的)にはそう見えなくても、その根底(深層構造/Basic Structure)では文構造が存在するのです。では、S1、S2、S3、それぞれのBasic Structureを見ていきましょう。

S1) I tend to be more demanding → S1BS(Basic Structure): I tend to be more demanding
これははっきりしていますよね。では、S2です。
S2) wanting to improve my translation skill badly
これは、主語はIなので、以下が深層構造(Basic Structure)と考えられます。
S2BS: I want to improve my translation skill badly

では、ここまでの文のオリジナルとBSを見てみましょう。
オリジナル:I tend to be more demanding,wanting to improve my translation skill badly
S1BS+S2BS= I tend to be more demanding + I want to improve my translation skill badly

以下がその訳となります。
「自分の翻訳技術を向上したいという気持ちがとても強いので、私はいつもより要求がましくなりがちです。」

「あれ?その訳は~A and Bの訳ではないような?」ですよね。後の文は前の文(主節)の意味を補う「文」になっています。ですので、そこまでを読んだ人は、まずそのように理解するはずです。つまり、ここまででは等位接続詞(coordinating conjunction) で結ばれている文章(*重文構造(compound structure)の文)とは理解されないわけです。しかし、その後にandが入っているので、読み手は、その後に来る文(S3)ととともに、A, B and Cの文章として理解しようとします。では、S3の文を見てみましょう。

S3) to absorb your advanced technique as much as I can

S3B) I absorb your advanced technique as much as I can

S3はandでつながっているので、「そして、あなたの高度なテクニックを吸収するために」という意味が即座に想起されます。しかし、読み手はS1、S2、そして、S3の流れで理解しようとするため、この文がどこにつながっているのかがわからなくなり、混乱します。

(今回の記事は長いので、ここまでがPart 1となります。次回のPart 2で完結しますので、また寄ってくださいね。では、See you very soon, folks!)